香港政府長官、問題の条例案は「死んだ」 完全撤回はせず

Carrie Lam Image copyright AFP
Image caption 香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、「条例案は死んだ」と強調した

香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は9日、犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める「逃亡犯条例」の改正案は「死んだ」と発言した。ただし、抗議デモの参加者が求めている完全撤回には至らなかった。

この改正案をめぐっては数週間にわたって抗議デモが続いており、すでに政府は永久的に審議を中止することを決めている。

この日の記者会見で林鄭行政長官は、改正条例案に関する政府の取り組みは「完全に失敗した」と話した。

「政府の誠意がまだ疑われ、立法会(議会)で審議を再開するのではという懸念がまだ残っている。なのでここで今一度、そのような計画はないと重ねて申し上げる。条例案は死んだ」

林鄭氏は以前、現在の議会会期が終わる2020年に改正案は「死ぬ」と話していた。

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香港デモ、参加者たちは手話でやりとり

林鄭行政長官のこの発言には、すでに不満の声があがっている。

公民党のアルヴィン・ユン議員はBBCの取材に対し、「条例案は死んだというのは政治的な説明であって、立法上の言葉ではない」と指摘。条例案はなお審議プロセスの途中にあると説明した。

「なぜ長官が撤回という言葉を使おうとしないのか分からない」別の馬鹿げた嘘だ。条例案は来年7月まで『立法プログラム』に存在している」と指摘し、正式な撤回を求めた。

香港はかつて、150年以上にわたってイギリスの植民地だった。

イギリスと中国は1984年に、「一国二制度」の下に香港が1997年に中国に返還されることで合意した。香港は中国の一部になるものの、返還から50年は「外交と国防問題以外では高い自治性を維持する」ことになった。

香港市民には、言論の自由や表現の自由など、中国本土ではみられないような権利が保障されている。

しかし、「逃亡犯条例」の改正案が通った場合、中国政府による香港統治が迫り、その高度な自治性が維持されなくなるのではないかという懸念が高まっている。

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香港政府は6月半ばに改正案の審議停止を決めたが、その後も抗議デモは続いており、そのうちの何回かは警察との衝突が起きた。

7月1日にはデモ隊の一部が立法会に突入し、数時間にわたって占拠した。

デモ参加者の多くは林鄭氏の辞任を求めているほか、警察に対し、拘束されたデモ参加者を起訴しないよう訴えている。

7日の行進は中国本土からの旅行者に人気がある九龍半島の繁華街で行われ、本土からの旅行者の注目を集めようとした。

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「23万人」集結、北京語で中国本土へアピール 「逃亡犯条例」改正案の廃案求め

<解説>「条例案は死んだ」で十分か? ――ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ、BBCニュース(香港)

林鄭行政長官の声明は、確かに強い語調だった。「条例案は死んだ」というその言葉に言い逃れの余地はない。しかし、デモ参加者が実際に求めている、逃亡犯条例改正案の即時撤回には至らなかった。

代わりに林鄭氏は、現在の議会会期中は法案を棚上げしすることで自然消滅させることを選んだ。

その目的は明確だ。香港市内の大通りを埋め尽くす抗議デモは今や1カ月間続いている。7日には10万人以上の市民が参加した。中国政府寄りの政党の党首たちでさえ、林鄭政権の適合性や長官の場違いな発言を疑問視し始めた。

そして、林鄭氏はまたもや降参させられ、改正案の審議は「完全な間違いだった」と認めさせられた。問題は、これで十分なのかということだ。

(英語記事 Hong Kong extradition bill is 'dead' says Lam

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