ポール・マッカートニー、「素晴らしき哉、人生」をミュージカルに

マーク・サヴェッジ、BBC音楽担当記者

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Image caption サー・ポールが用意した楽曲は「予想を超えた」と、プロデューサーたちは言う

サー・ポール・マッカートニーは音楽家としての長いキャリアを重ねる中で、これまで映画音楽、オラトリオ(宗教楽曲)、詩集、児童書、そして100曲以上のヒットシングルを発表してきた。

そして77歳になった今、次の初挑戦に乗り出した。舞台のミュージカルだ。

サー・ポールはフランク・キャプラ監督による名作映画「素晴らしき哉、人生」のミュージカル版を手がけている。人生に絶望して自殺しようとする男を、守護天使が救う物語だ。

映画が公開された1946年に4歳だったサー・ポールは、「誰でも共感できる普遍的な物語」だと話している。

プロデューサーのビル・ケンライトによると、ミュージカルの初日は「2020年後半」の予定。ケンライトはこれまでに、ロンドン・ウエストエンドでヒットした「Blood Brothers」やイギリスを全国ツアーで巡業しているミュージカル「ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート」などを手がけた。

映画「ビリー・エリオット」(2000年)の脚本とその舞台ミュージカル版の戯曲や、最近ではエルトン・ジョンの半生を描いた映画「ロケットマン」の脚本を執筆したリー・ホールが、「素晴らしき哉、人生」の戯曲を担当する。楽曲の歌詞も、サー・ポールと一緒に手がける。

ミュージカル「ビリー・エリオット」でオリヴィエ賞やトニー賞を受賞したホールは、「自分が一番好きな映画が、『素晴らしき哉、人生』だ。すべてが詰まっている。笑いとペーソス、そして貴重な人間性で、何世代にもわたって観る人の心を動かしてきた」と作品を語った。

「この作品を舞台化する機会を与えられるのは、それだけでとてつもなく光栄なことなのに、それをポール・マッカートニーと一緒にやるなんて、もうあり得ないほどだ」

「ポールはウイットにあふれて、感情表現は素直で、メロディーはあまりに素晴らしい。おかげで、この名作の物語に、まったく新しい深みと広がりをもたらしている。自分こそ守護天使に見守られているんじゃないかと思う」

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Image caption アメリカで毎年のようにテレビ放送され、「最も感動的な映画」として常に上位に選ばれる「素晴らしき哉、人生」はジェイムズ・ステュアート主演で、キャロリン・グライムスが娘のズーズーを演じた

映画「素晴らしき哉、人生」がミュージカル化されるのは、今回が初めてではない。

1986年には、シェルドン・ハーニック(「屋根の上のバイオリン弾き」)の歌詞とジョー・ラポーソ(「セサミ・ストリート」の「Cはクッキー」など)の楽曲によるバージョンが、ミシガン大学で初演された。しかし、フィリップ・ヴァン・ドーレン・スターン作の短編小説「The Greatest Gift」が原作のため、作品の権利関係について大いにもめ、初日が繰り返し延期された。

商業的興行がようやく始まったのは1991年になってのことだったが、作曲者のラポーソはすでにがんで死去していた。2006年にはニューヨークのオフ・ブロードウェーでリバイバル上演されたものの、劇評の賛否は割れ、米紙ニューヨーク・タイムズは映画のあらすじ改変を批判し、「ずしんと感動する要素がない」と書いた。

「かつては素晴らしき人生だったのに」というのが、同紙の劇評家アニータ・ゲイツの判定だった。

最近では、キース・ファーガソンとブルース・グリアーの戯曲・楽曲コンビによるバージョンが、今も米国内を巡業して学校や教会で上演されている。

素朴に聞こえるが実は

マッカートニー版を企画するプロデューサーのケンライトは、先行のアメリカ版が形になるはるか前から、「素晴らしき哉、人生」をミュージカルにしたいと考えていたのだと話す。プロデューサーとして出発した直後にすでに、キャプラ監督に手紙を書いてミュージカル化の許可を求めたほどだという。

「素晴らしく素敵な手書きの返事」が監督から届いたものの、答えは「ノー」だった。しかしそれから数十年後に、「いきなり」ミュージカル化の権利をオファーされたので、サー・ポールに楽曲を書かないかと打診してみた。

「こういうことは大体そうだが、これも一通のメールから始まったんだ」とサー・ポールは言う。

「ミュージカルを書きたいと思ったことは実際あまりないんだが、ビルと一緒にリー・ホールと会って軽く話をしてみたら、これは面白いし楽しいかもしれないと思い始めた」

サー・ポールが最初に用意したデモ・テープは、「予想を超えるものだった」とケンライトは言う。

「聴いていると、思ってもみなかったところに運ばれる。最初は素朴に聞こえるが、実はそうじゃない。それがポールの天才だ」

ジェイムズ・ステュアートとドナ・リード主演の映画は、劇場公開された時点では決してヒット作ではなかった。

しかしその後は、クリスマス時期になるとテレビ放映され、アメリカ国民に広く愛されるようになった。アメリカ映画協会は、「アメリカ映画ベスト100」に選んでいる。

サー・ポールの音楽は、シルク・ド・ソレイユがビートルズの曲をフィーチャーした「LOVE」をはじめ、これまでも様々な舞台作品で使われている。

サー・ポールは、ミュージカル映画「Give My Regards to Broad Street」も手がけているが、1984年の公開されると批評家の酷評に見舞われた。

(英語記事 Sir Paul McCartney to write It's A Wonderful Life musical

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