メイ英首相が最後の演説  「『妥協』を嫌悪すべきではない」

Theresa May Image copyright Reuters
Image caption メイ氏は「勝つか負けるか」の政治に警鐘を鳴らした

ブレグジット(イギリスのEU離脱)の道筋をつけられず辞任に追い込まれたテリーザ・メイ英首相が17日、首相として最後となる演説をし、拡大する「妥協なき絶対主義」が議論と民主的価値を脅かしていると訴えた。

メイ氏はこの日、王立国際問題研究所「チャタムハウス」で、多岐にわたって考えを述べた。ブレグジットをめぐって自分がまとめた案に支持を集められなかったメイ氏は、保守党党首と首相を来週辞任することが決まっている。

その中で、「内外の政治の状態が心配」だと述べ、「国内でも海外でも、その内容についても論調についても、政治の状態を心配しています」と首相は述べ、「私たちのこれまでのあらゆる成功の基礎となっている価値観は、あって当たり前のものと安心してはなりません」と呼びかけた。

さらに、「妥協なき絶対主義」が「勝者と敗者」という見方に基づいた政治文化を生み出していると指摘。「悪い言葉」を放置すると、それは後に「悪い行動」につながる可能性があると警告した。

ブレグジットや、気候変動など緊急性の高い国際問題においては、議論の「共通部分」を探すよう政治家に強く促した。そして、「妥協」という言葉を嫌悪すべきではないと訴えた。

「多国間の合意は大事」

メイ氏は現在の国際状況について、ポピュリズムや独裁主義が国際秩序を脅かしているとし、気候変動問題のパリ協定やイラン核合意(ともにアメリカが離脱)など、多国間の合意が重要だと強調した。

その上で、「前進するために妥協する用意があるのは、私たちの価値観や信念に背くことでは決してありません。むしろそれを守るものです」と訴えた。

また、政治の真価が発揮されるのは、「最善の結果を得るために、説得、チームワーク、互いの譲歩が必要とされる場」においてだと主張。

「一方には、勝者と敗者の政治や、絶対主義の政治、常に言い争っている政治があり、それが私たちすべてを脅かしています」と述べた。

「勝者総取り」を非難

ブレグジットについても、2016年の国民投票の結果は尊重される必要があると前置きした上で、「離脱か残留かに向けた勝者総取り方式のアプローチ」が、政治的なプロセスに悪影響を及ぼしたと話した。

その上で、「どの道を進むにしろ、長い時間に耐えられるものでなくてはならない。それにはある種の妥協が必要です」と述べた。

「言葉が行動を生む」

メイ氏は「言葉遣い」にも言及した。

「悪い言葉を放っておくのは、悪い行動へと続く最初の一歩です。憎悪と偏見が人々の発言だけではなく行動にも影響を及ぼす、より暗い社会へと続いていくのです」

最近の議論では、恨みがどんどん深まり、「グループ間の敵対感情」がむき出しになっていると指摘。政治が生み出す、公共の利益や進歩に関する「非常に大きな可能性」を損なっていると話した。

また、「相手の視点をおとしめずに反対意見を表明する。その能力を失っている人が少なくありません」と述べた。

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ただし、自分自身の言葉遣いにも配慮が欠けることがあったと認めた。その例として、昨年11月に、合法的にイギリスに入国しているEU諸国の人々のことを、「列に割り込んでいる」と表現したことを挙げた。

「私の言葉は、本来あるべき完璧なレベルだったでしょうか? ノーです」

あるべきリーダー像は

メイ氏はさらに、リーダーのあるべき役割を、人々の本当の心配事に対処することだと定義。実現不可能な約束をしたり、「人々が聞きたがるだろうと思うことを話す」のが、指導者の仕事ではないと述べた。

この日のメイ氏の演説に対しては、議員たちから「首相は人種差別的で外国人嫌悪の言葉を放っておいたではないか」、「ポピュリズムの原因は首相にある」といった批判が出ている。

(英語記事 PM warns against politics of 'winners and losers'

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