米ボーイング、5200億円の損失を計上 737マックス運航停止の補償で

ラッセル・ホッテン、BBCニュース、ニューヨーク

Boeing 737 Image copyright Reuters

米航空機大手ボーイングは18日、墜落事故が相次いだ同社製737マックス型機の運航停止に伴う補償などで、49億ドル(約5270億円)の損失が発生すると発表した。この49億ドルは、運航停止の影響を受けた顧客への補償に充てられるという。

ボーイングで最も売れ行きの良かった737マックスの運航が、全世界で停止になって以降、同社はこれまでで最悪の危機に直面している。

同社は来週、第2四半期決済を報告する予定で、この損失により、同社の利益が吹き飛ぶこととなる。

声明の中でボーイングは、「現時点での最良推定値」は、737マックスの運航が、第4四半期にあたる今年10月から12月の間に再開されるという仮定に基づいたものであり、「実際にサービスが再開される時期は、この予測とは異なる可能性がある」としている。

また、この予定通りに行かなかった場合や、再開予定時期が遅れた場合には、「さらなる財務的影響につながる可能性がある」という。

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「乗客の安全以上に重要なことはない」

声明の中でグレッグ・スミス最高財務責任者(CFO)は、「我々は、これらの課題を克服しながら、我々の流動性を管理し、貸借対照表の順応性を最大限に高めるために、適切な措置を講じている」としている。

デニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)兼会長は声明の中で、「これは、ボーイングにとっての正念場だ。我々にとって、我々の旅客機で飛行する乗客乗員の安全以上に重要なことはない。737マックスの運航停止は大きな逆風を生み、今四半期の財務的影響は、現在抱えている課題を反映し、今後の財務的リスクに対処する上で手助けとなる」と述べた。

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年内の運行再開は

ボーイングは、引き続き航空規制当局と連携し、737マックスの2019年第4四半期中の運航再開を目指すとしている。

一方、米連邦航空局(FAA)のイレーン・チャオ運輸長官は18日、737マックスの年内の運行再開が許可される可能性はあまりないことをにおわせた。

チャオ氏は、FAAは現在「規定の行動計画ではなく、徹底的なプロセスに沿っている。(中略)安全であることが認められれば、FAAは同型機への禁止命令を解除するだろう」と述べた。ボーイングの声明については言及しなかった。

Image copyright AFP
Image caption 世界中の300以上の737マックス型機の運航が停止された

ボーイングの損失計上の発表を受け、18日の米株式市場の時間外取引では、投資家の間で安心感が広がり、同社株価は2%上昇した。

今年4月、ボーイングは自社株買いを停止した。737マックスの運航停止による生産の低下で、少なくとも10億ドル(約1080億円)のコスト増となったと説明していた。

米サウスウエスト航空は18日、737マックスの使用について、11月初旬まで停止すると発表。すでに、ユナイテッド航空やアメリカン航空も同様の措置を表明している。

サウスウェスト航空はまた、新規の操縦士の雇用を中止するという。

半年間で2度の墜落

737マックスをめぐっては、半年の間に2度の墜落事故が発生している。

エチオピアの首都アディスアベバからケニア・ナイロビに向かっていたエチオピア航空302便は3月10日、離陸直後に墜落し、乗客乗員157人全員が死亡した。

この5カ月前の昨年10月には、ライオン航空機がインドネシア沖に墜落し、189人の犠牲者を出した。

失速防止システムの誤作動

事故調査官は、事故の原因となった、機体の失速を防ぐ目的で搭載されていた操縦特性向上システム(MCAS)を重点的に調べている。

このシステムは、機首が上がり過ぎて失速しないようにするためのもの。

Image caption 事故機の垂直速度の変動を示すグラフ。上がエチオピア航空302便、下がエアイオン航空610便。出典:フライトレーダー24

エチオピア航空機事故では、事故直前に複数回にわたり機首を強制的に下げさせる誤作動が発生し、操縦士が機体を立て直せなかったことが分っている。また、ライオン航空機の事故調査結果によると、失速していない時でさえ、機首を何度も強制的に下げさせる誤作動が起きていたという。

ボーイングは、MCASソフトウェアの修正プログラムの開発・リリースに向け、航空規制当局と連携している。

(英語記事 Boeing takes $5bn hit to cover 737 Max crisis

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