穏健とリベラルの対立が浮き彫りに 米大統領選・民主党討論

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Image caption 30日の討論で熱弁するバーニー・サンダース氏(中央)。左はピート・ブダジェッジ氏、右はエリザベス・ウォーレン氏

米ミシガン州デトロイトで30日、2020年大統領選に向けた野党・民主党の候補者によるテレビ討論会が行われた。リベラル主義を強く押し出すエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)や民主社会主義者のバーニー・サンダース上院議員(バーモント州)に、穏健派の候補者から批判が集中する場面が見られた。

今回の討論には男性7人、女性3人の計10人が参加し、健康保険制度や国境政策、ドナルド・トランプ大統領にどうやって勝つかなどを議論した。

討論では冒頭から、一部の候補者がウォーレン氏やサンダース氏を攻撃。政策が現実的でなく、トランプ大統領を倒して民主党政権を樹立する最善の案ではないといった批判が出た。

本命視されているジョー・バイデン前副大統領や、唯一の黒人女性候補者カマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州)など残りの10人は、翌31日に討論を行う予定。

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討論ではまず、サンダース氏が提唱している国民全員を対象とする無料の健康保険制度「Medicare for All」の導入が「政治的自殺」になるかという質問が出された。健康保険はその後も討論の焦点となった。

候補者はサンダース氏の「Medicare for All」と、バラク・オバマ前大統領の政権下で2010年に成立した医療保険制度改革法、通称オバマケアのどちらを支持するかで激しく議論した。

健康産業で働いた経験のあるティム・ライアン下院議員(オハイオ州)とジョン・ディレイニー前下院議員(メリーランド州)は共にサンダース氏の案を非難し、雇用を通じた健康保険がなくなれば労働者階級の国民に悪影響があると指摘した。

これについてサンダース氏は、健康産業が何億ドルもの利益を上げている一方で、何百万人ものアメリカ人が十分な保険に入っていない、あるいは全く加入していない状況があると述べた。

ウォーレン氏は「誰かから健康保険制度を奪おうとしている」民主党員はいないと述べて、問題の再提起を図ろうとした。その上で、党内の議論では「共和党の論点を使うのをやめるべきだ」と諭した。

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Image caption (左から)バーニー・サンダース氏、エリザベス・ウォーレン氏、ベト・オローク氏、ジョン・ヒッケンルーパー氏、ジョン・ディレイニー氏

討論では、米・メキシコ国境の管理問題についても意見が分かれた。

インディアナ州サウスベンド市のピート・ブダジェッジ市長と、国境を接するテキサス州のべト・オローク前下院議員は、現状のシステムを変える政策を提示したが、越境は違法のままにすると話した。

これに対しウォーレン氏とサンダース氏は、国境にたどり着いた家族を犯罪者扱いすべきではないと強調した。一方のライアン氏は、そのような提案は不法移民を奨励するだけだと反論した。

人種問題については、オローク氏や自己啓発講師のマリアンヌ・ウィリアムソン氏から、黒人のアメリカ市民に対して奴隷制度への賠償金を払うべきだとの意見が出た。

一方、エイミー・クロブシャー上院議員(ミネソタ州)などは、教育の向上など全てのアメリカ人が恩恵を受けられる制度を提案した。

銃規制や政界の闇資金、気候変動については、参加者全員の意見がおおむね一致していた。

穏健派とリベラル派

30日の討論では、有権者に訴えかけ、トランプ政権を打倒する政策がどのようなものかという点で、民主党内の穏健派とリベラル派の分断があらわになった。

ミネソタ州選出のクロブシャー氏やモンタナ州知事のスティーヴ・ブロック氏など、共和党が強い地域の候補者は、自らの経歴に集中して議論を展開した。

また、この10人の中で支持率が突出しているサンダース氏とウォーレン氏の一騎打ちを期待する声もあったが、両氏は一緒に攻撃されている時は結託しているように思われた。

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最初に2人を名指しで批判したのはディレイニー氏で、両氏の「なんでも無料に」政策は「独立した有権者をうんざりさせる実現不可能な約束だ」と述べた。

ウォーレン氏はディレイニー氏との応酬の中で、候補者はできないことばかりに注力すべきではないと話し、大きな喝采を浴びた。

また、クロブシャー氏は民主党員はもっと率直になるべきで、「討論に勝つことより選挙に勝つことを心配するべきではないか」と話した。

BBCのアンソニー・ザーカー北米記者は今回の討論について、ウォーレン氏とサンダース氏の支持率を脅かすような展開はなかったと分析。穏健派の候補が新たに支持を得るといった場面もなかったため、31日の討論の内容によっては、穏健派の第一人者であるバイデン氏が最終的に利益を得るのではないかと話した。

この日の討論にはこのほか、ジョン・ヒッケンルーパー前コロラド州知事が参加した。参加者は、CNNによって無作為に選ばれている。

31日の討論は?

31日の討論には、バイデン氏とハリス氏のほか、コーリー・ブッカー上院議員(ニュージャージー州)、フリアン・カストロ前サンアントニオ市長、キルステン・ジリブランド上院議員(ニューヨーク州)、マイケル・ベネット上院議員(コロラド州)、タルシ・ギャバード下院議員(ハワイ州)、ジェイ・インスリー・ワシントン州知事、ビル・デブラジオ・ニューヨーク市長、起業家アンドリュー・ヤン氏が参加する。

民主党は来年7月に大統領選の候補者を決定する。現時点では、バイデン氏が他候補を圧倒的にリードしており、エマーソン大学キニピアック大学の調査では30%以上の支持率を得ている。

(英語記事 Democrats clash over healthcare and immigration

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