中国、香港デモ隊に「火遊びするな」 中央政府を過小評価しないよう警告

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9週目に突入した香港での抗議行動は、収まる気配はない
中国は6日、香港で9週間にわたり続いている、反政府や民主化を求めるデモの参加者に対し、「火遊び」しようとすれば「火によって滅びるだろう」とし、「中央政府の確固たる姿勢を過小評価」しないよう強く警告した。
国務院香港マカオ事務弁公室(HKMAO)はこの日、2週間で2度目となる記者会見を行なった。HKMAOが香港に関する会見を開くのは異例。
HKMAOの楊光報道官は、「過激なデモ」が、香港を「非常に危険な状況の瀬戸際に」 陥れていると述べ、デモ隊に対し、「自制を弱さだと誤解」しないよう忠告した。
さらに、林鄭氏に辞任を迫ろうとしても「何にもならないだろう」とした上で、一連の抗議行動は香港経済に「深刻な影響」をもたらしたと述べた。
中国政府はこれまで、香港のデモについてたびたびけん制してきたが、今回の発言はその中でも最も厳しい警告の1つとなった。
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「西側諸国が干渉」と
楊光報道官は、デモの最前線には「過激で暴力的な」者たちが、デモの中心には、「誤った方向へと導かれ、良くない意図を持った」市民がいたと述べた。
また、舞台裏で香港問題に干渉し、不安を煽ったとして、西側諸国の「反中国勢力」を非難した。
その例として報道官は、香港での抗議行動を「美しい光景」だと発言したアメリカの野党・民主党幹部ナンシー・ペロシ下院議長や、香港警察による武力行使について捜査を呼びかけたイギリスのジェレミー・ハント前外相を挙げた。
一方、民主化を求める林卓廷(ラム・チュクテン)議員は、BBCに対し、抗議行動の背後に「外部からの圧力」はないと述べた。
「これは、国外の政権が企てたものではなく、香港の人々が自発的に行なっている活動だ」
専門家は、抗議行動には先導者がおらず、予測不能なかたちが多く、「フラッシュ・モブ」のような市民的不服従や、ソーシャル・メディア・アプリを介した呼びかけなどが含まれると指摘している。
中国軍の介入は
中国人民解放軍(PLA)が香港に兵士を駐留させている一方で、地域問題に干渉することは想定されていない。法律上、香港政府がPLAに対し、治安維持や災害援助などへの協力を要請することは認められてはいるが。
PLAの介入の可能性について問われた楊光報道官は、中国政府は、香港警察が秩序を回復できると確信していると述べるに留まった。
先週、香港に駐留するPLAは、中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボ)」に、暴動防止訓練を行なう兵士の動画を投稿し、不安を引き起こした。
香港デモ、議会突入の前と後 当初は静観していた警察
9週目に突入
香港では9週にわたり、反政府や民主化を求めるデモが続いている。
5日にはゼネストが呼びかけられ、抗議者が道路を封鎖。デモの影響は空の便にも広がり、200便以上が欠航となった。
デモは当初、刑事事件の容疑者を香港から中国本土へ引き渡せるようにする「逃亡犯条例」改正案に抗議するものだった。改正案が通れば、中国政府による統治が迫り、自治性が維持されなくなるのではないかという懸念が高まったからだ。
香港政府は6月半ばに改正案の審議停止を決めたものの、デモ参加者は完全撤回を求めている。
さらに、警察による暴力への独立調査や、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の辞任などを求めている。
デモが起きると、結局は警察との激しい衝突に終わることが多い。こうしたデモは、中国政府に対する抗議だと捉えられている。そして、いかに多くの香港人が、自分たちの自由の侵食を不安に思っているのか映し出している。
香港はかつて、150年以上にわたってイギリスの植民地だったが、1997年に「一国二制度」の下に中国に返還された。そのため、香港市民には返還から50年の間は、言論の自由や表現の自由など中国本土ではみられないような権利が保障されている。
How Hong Kong police have responded to protests
568people arrested
1,800rounds of tear gas
300rubber bullets fired
(これまでに568人が逮捕された。警察は催涙ガスを1800回使用し、ゴム弾300発を発射した。 出典:香港警察)