世界的オペラ歌手のドミンゴ氏、セクハラ疑惑で9人が告発

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世界的なオペラ歌手のプラシド・ドミンゴ氏(78)からセクハラを受けたとして、9人の女性が告発した。AP通信によると、歌手8人とダンサー1人は1980年代後半に、ドミンゴ氏からセクハラを受けたという。
同氏を告発した9人のうち、メゾソプラノ歌手のパトリシア・ウルフ氏のみが実名での報道に応じた。
ドミンゴ氏は告発の内容を否定した一方、「それでも、私が誰かを傷つけたり不快に思わせていたかもしれないと聞くのは、それがどんなに昔のことであっても心が痛い」と話した。
「私を知る人、一緒に仕事をしたことがある人なら、私が意図的に誰かを傷つけたり、攻撃したり、辱めるような人間ではないと知っている」
その上で、「こんにち、我々が測られるべきルールや基準が、過去のものとは大きく変わっていることを認識している」とも述べている。
ドミンゴ氏が芸術監督を務めるロサンゼルス・オペラは、「外部からの助言」の助けを借りて調査を行うと約束した。
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ドミンゴ氏は1962年に、ソプラノ歌手のマルタ・オルネラス氏と結婚した
ウルフ氏は、ドミンゴ氏に体を触られたことはないが、ステージから降りるたびに自分に近付き、「きょうは家に帰らなくてはならないのか」と聞いてきたと語った。
別の女性は、ドミンゴ氏にスカートの上から触られたことがあると話した。また、無理やりキスされたという女性も3人いた。
これらの出来事は、楽屋やホテルの一室、会議の最中、ドミンゴ氏が役員など要職にある複数の歌劇場で起こったという。
被害を主張する歌手はAP通信に対して、「ビジネスランチはおかしいことではないが、ランチの最中に手を握ったり、こちらのひざに手を置いたりする人はおかしい。ドミンゴ氏はいつもどうにかして身体を触り、キスしてきた」と語った。
AP通信によると、他にも6人の女性が、ドミンゴ氏から「性的に迫られ」て不快な思いをしたと語っている。
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ドミンゴ氏(左)はホセ・カレーラス氏(中央)、故ルチアーノ・パヴァロッティ氏と共に「3大テノール」として知られていた
スペイン出身のドミンゴ氏は最初の妻と、再婚相手のソプラノ歌手マルタ・オルネラスさんとの間に、子供が3人いる。
現在も精力的に活動しており、世界中でコンサートが売り切れになっている。
ロンドンでも定期的に舞台に立ち、最近では1月にロイヤル・オペラハウスの「椿姫」に出演した。2020年6月には、「ドン・カルロ」への出演も決まっている。
一方でドミンゴ氏は9月18日から米フィラデルフィア・オーケストラのコンサートに出演する予定だったが、告発を受け、同オーケストラはドミンゴ氏への招待状を取り消したと発表した。