イスラエル、米下院2議員の入国を禁止 トランプ大統領も支持

Congresswomen Rashida Tlaib (left) and Ilhan Omar Image copyright Getty Images
Image caption 米下院のラシーダ・タリーブ議員(左)とイルハン・オマール議員

イスラエル政府は15日、イスラエルを批判する活動を支持してきた米下院のイルハン・オマール議員とラシーダ・タリーブ議員(共に民主党)の入国を禁止した。

イスラエルには、同国の経済や文化、学問などを標的に「ボイコットや略奪、制裁」をする人物の入国を拒否できる法律がある。両議員は来週、イスラエルが占領しているヨルダン川西岸や東エルサレムを訪問する予定だった。

2人をめぐってはドナルド・トランプ米大統領がツイッターなどで批判し、イスラエルは入国を差し止めるべきだとの主張を展開していた。

入国させれば「弱み見せる」

トランプ大統領はツイッターで、「オマール議員とタリーブ議員の訪問を認めたら、イスラエルは大きな弱点を見せることになる。2人はイスラエルと全てのユダヤ人を憎んでいるし、その考えを変える手立てはない。ミネソタ州とミシガン州で2人が再選されるのは困難だろう。不名誉な議員だ!」と述べた。

その後、記者団の前でもトランプ氏は、「イスラエルが2人を入国させる理由が思いつかない」と語った。

「入国させたいならそうできるが、そんなことをする理由が分からない」

トランプ氏はかねて、この2人を含む4人の非白人女性議員に対し、「もといた国に帰れ」などの差別発言を繰り返している。

オマール氏は、入国禁止措置は「民主主義的価値への冒とくであり、友好国からの政府関係者の訪問への対応としてはぞっとするものだ」と話した。

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2議員は「反ユダヤ」?

オマール氏とタリーブ氏はイスラエルに対する態度で批判を浴びているが、反ユダヤ主義ではないと反論している。

7月に下院がイスラエルに対するボイコット運動を否決した際、タリーブ氏はイスラエルは「人種差別的だ」と批判した。

「言論の自由と、イスラエル政府の人種差別的な政策をボイコットする権利への攻撃を黙ってみていることはできない」とタリーブ氏は述べていた。

一方、オマール氏をめぐっては、今年2月に投稿したイスラエルと親イスラエル派ロビイストに関するツイートが、反ユダヤ主義的だったとの批判が出ている。

オマール議員はこれについて謝罪し、このツイートはロビイストを批判するもので、ユダヤ教徒全般に向けてのものではなかったと説明した。また、「ユダヤ系の友人や同僚たちに、反ユダヤ的比喩をめぐる痛ましい歴史について私を教育してくれたこと」に感謝すると話した。

入国許可と言われていたが…

在米イスラエル大使のロン・ダーマー氏は7月、「連邦下院と、イスラエルとアメリカの素晴らしい友好関係に敬意を表して」2人の訪問が認められるだろうと話していた。

しかしイスラエル内務省は声明で、2人の入国を禁じると発表。「滞在中にイスラエルを傷つけようとしている人物に対して入国を許可することは考えられない」と説明した。

イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は、「イスラエル以上に、アメリカとその議会を尊重している国はない」と話した上で、「しかしこの女性下院議員の目的がイスラエルを害することだというのは明らかだ」と語った。

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Image caption タリーブ議員はパレスチナで暮らす祖母も訪ねる予定だった

報道によると、2人は18日からイスラエルを訪問し、エルサレムの神殿の丘など、政治的に問題となっている場所にもおもむく予定だった。

また、イスラエルとパレスチナの平和活動家との会談や、エルサレム、ヨルダン川西岸のベトレヘムやラマラ、ヘブロンといった場所への訪問も予定されていた。

ヨルダン川西岸訪問は、パレスチナ側の和平交渉官ハナン・アシュラウィ氏が率いるミフタが企画したという。

タリーブ氏はパレスチナに住む祖母を訪ねるため、さらに2日間滞在を延長する予定だった。タリーブ氏はパレスチナ系アメリカ人として初めて、下院議員となった。

入国禁止措置への反応は?

アメリカのデイヴィッド・フリードマン駐イスラエル大使は、入国を拒否するイスラエルの決定を支持し尊重するとの声明を発表。

イスラエルについて、「より一般的な武器をもつ人の入国を禁止するのと同様に、彼女たちのような活動家から国を守る権利を保持している」と述べた。

米国イスラエル公共問題委員会(AIPAC)もツイッターで、2議員の反イスラエル的な立場には賛同しないと表明。ただし、「すべての下院議員は、我々の民主的な同盟国イスラエルを直接訪れ、経験できるべきだ」と、入国禁止には反対した。

共和党のマーコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)も、理由はAIPACとは異なるが、「入国禁止は間違い」との考えを示している。

「入国禁止は、ユダヤ人国家への攻撃を勢いづけるため、2議員がずっと心から望んでいたことだ」

民主党のナンシー・ペロシ下院議長(カリフォルニア州選出)は、「この悲しいどんでん返しには深く落胆している」と述べた。

そして、イスラエルの入国拒否は「弱さの印」であり、トランプ氏の発言は「無知と無礼の印」だと批判した。

入国禁止は過去にもあった?

イスラエルによる外国要人の入国拒否はまれなことだが、前例が無いわけではない。

2015年には、国連のマカリム・ウィビソノ人権担当特別報告者を、反イスラエル的な職務に就いているとして入国禁止にした。

つい先月も、レバノン出身のスペイン社会労働党の関係者について、安全保障を理由に入国を禁止した。

ただし、米下院議員の入国を禁じたのは初めてだ。イスラエルはAIPACを通してたびたび下院議員団を受け入れており、今月上旬にも、民主党41人、共和党31人の下院議員が同国を訪問していた。

(英語記事 Israel bars two members of US Congress

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