ブラジル、G7のアマゾン火災支援を拒否 

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アマゾン森林火災:ヘリコプターからの映像、BBC記者が解説

アマゾン川流域の広大な熱帯雨林で次々と森林火災が発生している問題で、ブラジル政府は26日、主要7カ国首脳会議(G7サミット)でG7が合意した2200万ドル(約23億3000万円)の消火対策支援を断る意向を示した。消火活動への消極姿勢が批判されているジャイル・ボルソナロ大統領の首席補佐官が、ブラジル・メディアに明らかにした。

仏ビアリッツで24日と25日に開かれたG7サミットで、各国はアマゾン川流域の森林火災対策に資材や資金を提供すると合意した。開催国フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、G7諸国が2200万ドル(約23億3000万円)の金融支援を提供すると述べた。

これについて、ブラジル政府のオニクス・ロレンゾニ大統領補佐官は「グロボ」ニュースサイトに、「ありがとう。しかしその資金は欧州の森林復活に使ったほうが良いのではないか」と述べた。

「マクロンは世界遺産の教会で予想できた火事さえ、防ぐことができないのに、我が国に消火の仕方を教えたいだって?」と、ロレンゾニ氏は今年4月にパリで起きたノートルダム大聖堂火災に言及し、マクロン氏を批判した。

大統領補佐官はさらに、ブラジルは原生林の守り方を「どんな国」にも教えられると強調した。

ボルソナロ大統領は、アマゾン火災の問題が世界的に注目された直後は、記録的な数の火災を消し止める能力はブラジル政府にはないと述べ、消火活動に消極的な姿勢を示していた。

マクロン対ボルソナロ

アマゾンの森林火災を「国際的危機」と呼ぶマクロン氏は「ただちに」、空中消火の飛行機の費用として資金を提供すると表明。さらに、フランスは「数時間のうちに軍による具体的な支援を火災の地域に」を送る用意があると述べた。

これに対して、ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は、アマゾンを「救う」ため「同盟」するというマクロン氏の計画は、まるでブラジルを「植民地か無人地帯のように扱っている」と反発した。

森林火災をめぐりマクロン氏と公然と対立を続けるボルソナロ氏は、マクロン氏が「アマゾン地域に不当で余計な攻撃」を率先して行っていると批判し、「G7諸国の『同盟』というアイデアの後ろに真意を隠している」と攻撃してきた。

さらにボルソナロ氏はツイッターで、ブラジルの主権を尊重するよう呼びかけ、実際にアマゾン川流域にある諸国の「合同計画」をまとめる必要を、隣国コロンビアの大統領と協議したと明らかにした。

その一方でロイター通信によると、ブラジル政府のリカルド・サレス環境相は報道陣にG7の資金援助を歓迎すると述べた。

ボルソナロ氏とマクロン氏はこれに加えて、マクロン氏の妻をめぐるボルソナロ氏の発言にマクロン氏が強く反発するというやりとりも起きている。

消火活動に軍を

ブラジル国立宇宙研究所(INPE)の人工衛星データによると、アマゾン川地域で起きる森林火災の件数が過去最高に達し、2018年の同時期と比べて83%増加している。

アマゾンの開発を重視するボルソナロ氏はINPEのデータに反発し、所長を解任。政府にアマゾンの火災を消火する能力はない、環境保護団体が補助金削減の腹いせに放火したのかもしれないなどと発言していた。

しかし欧州連合(EU)が、消火活動に取り組まなければ南米関税同盟(メルコスール)との自由貿易協定(FTA)を批准しないなどと圧力をかけた結果、23日には消火活動に軍の出動を認めると態度を軟化させた。

ブラジル国防省はこれを受けて、消火活動に兵4万4000人を派遣できると発表。25日には、国内7州で軍の出動が承認されたと明らかになった。

被災地域に水を投下するため、戦闘機も待機しているという。

ボルソナロ氏は25日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相からも支援の申し出があり、それを受け入れたとツイートしていた。

Image copyright AFP
Image caption アマゾン火災対策を求める抗議行動がブラジル各地で週末にかけて続いた

ローマ法王もアマゾン保護を呼びかけ

世界最大の熱帯雨林が広がるアマゾン川流域には、300万種もの動植物が生息し、100万人の先住民が暮らしている。大量の酸素を放出して二酸化炭素を吸収するため「地球の肺」と呼ばれ、地球温暖化の進行抑制に欠かせない役割を担ってきた。複数の国にまたがるが、そのほとんどはブラジル領内にある。

森林火災への危機感が高まり、ブラジル国内だけでなく世界各地で抗議行動が行われている。

25日にはカトリック教会のフランシスコ法王も、ヴァチカンのサンピエトロ広場で「アマゾンで広がる巨大な火災について、誰もが心配している。全員が努力することで、近く消火されるよう祈りましょう。あの森の肺は、この惑星に不可欠なものです」と呼びかけた。

26日には環境保護活動に熱心な米俳優レオナルド・ディカプリオさんが、熱帯雨林の保護に500万ドルを主催する環境保護団体を通じて提供すると表明した。

(英語記事 Amazon fires: G7 to release funds for fire-fighting planes /Brazil to reject G7 money to fight Amazon fires

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