ジョンソン首相、EU離脱阻止法案との対決姿勢明らかに

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英上院が欧州連合(EU)離脱期限の延期をEUに要請することを英首相に義務付ける法案を可決したことを受け、ボリス・ジョンソン政権は8日、新法の「限界に挑む」として、対決姿勢を明らかにした。

この法案は最大野党・労働党が議会に提出したもので、与党・保守党から多数の議員が政府に造反し、下院を通過した。上院でも可決されたため、9日にもエリザベス女王の裁可を得て成立する見込みだ。

一方のジョンソン首相は合意のあるなしに関わらず、10月31日にブレグジット(イギリスのEU離脱)を強行したい構え。9日にはあらためて解散総選挙の動議を提出し、事態の打開を図るとみられている。

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ドミニク・ラーブ外相は、この法案は「お粗末」なもので、EUとの交渉におけるイギリス政府の立場を「弱体化」させると批判した。

ラーブ氏は英スカイニュースの番組に出演し、「この法案はあまりにお粗末で、(EU離脱を)たびたび遅らせるし、EUが悪意をもって課す懲罰的で厳しい条件を、実質的に飲まざるを得なくなってしまう」と述べた。

その上で、「政府は新法を尊重するが、同時にこれはできの悪い法律なので、実際に何を合法的に要求する内容なのか、その限界を試したい」と話した。

また、最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首について、この法案でイギリスを「流砂に追い込み」ピンチに陥れたと批判した。

サジド・ジャヴィド内相も、政府は「絶対に」離脱期限の延長をEUに要請したりしないと強調。「我々は10月31日に離脱する」と話した。

BBCの報道番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演したジャヴィド氏は、「今から10月19日までには余裕がある。何が起きるか待つべきだ」と述べた。

ジョンソン首相は新法を無視できるか

新たな法律では合意なし離脱の敢行を認めず、10月19日までにイギリスとEUが離脱条件について合意できなければ、首相は10月31日のブレグジット期限延長をEUに要請しなくてはならないと定めている。

新たな延長期限は2020年1月31日だが、EU側が別の日付を指定してきた場合は、首相はそれを2日以内受け入れなければならない。

また、EUの指定した日付を否定できるのは政府ではなく下院だと定めているほか、閣僚は下院にブレグジットの進ちょく報告が義務付けられる。

ジョンソン首相をめぐっては、この法律全体、あるいは一部を合法的に無視できると考えているとみられている。

首相が法律に従わなかった場合、10月に最高裁判所で緊急の司法審査が行われる可能性もある。

ロバート・バックランド法相兼大法官はツイッターで、「過去24時間の間に私と首相は法治主義の重要性について話し合った」と述べた。

また、辞任の憶測を否定し、「私は首相を支持しているし、内閣にとどまるつもりだ」としている。

一方、労働党のシャミ・チャクラバルティ影の法相は、政府の立場は「無責任でエリート主義」だと批判した。

チャクラバルティ女男爵はスカイ・ニュースの番組で、「ボリス・ジョンソンとそのお仲間のための法律と、その他の人々のための法律は別物だという考えにはぞっとする」と話し、「歴史上、指導力のない独裁者はどこの国でも、自分こそ国民の支持を得ていると言い訳して、法律を破ったり議会を閉鎖したりしてきた」と批判した。

その上で、新たな法律の内容は「非常に明確」で、ジョンソン首相は「個人的に」これに従う義務を負っていると説明した。

解散総選挙の可能性は?

政府による解散総選挙動議の再提出を前に、選挙時期の決定権をめぐる駆け引きは週末も続いた。政府は4日にも動議を提出したが、この時は可決に必要な3分の2の支持を得られなかった。

野党側は、10月中旬のEU首脳会議で離脱協定の行方が決まるまでは総選挙には応じない構えを見せている。

ジャヴィド内相は、総選挙でブレグジット党と連携しない方針を示し、「(保守党は)自分の2本の足で立てる」と話した。

労働党のジョン・マクドネル影の財務相は、合意なしブレグジットの可能性が排除された時点で「できるだけ早く」総選挙を行ないたいと述べた。一方、スコットランド国民党(SNP)との連携については、「少数政権になるなら少数政権のままでいく。連立はしない」と可能性を退けた。

また、保守党は次期総選挙では新たな下院議長候補を立て、現職のジョン・バーコウ氏と対立させる方針。バーコウ議長は合意なしブレグジット阻止法案に先立ち、議会の審議権を政府から下院議員に移す法案の審議を認めており、それに対する報復措置とみられる。

(英語記事 PM to 'test law to limit' to avoid Brexit delay

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