米大統領、タリバンとの「秘密会談」中止 米兵死亡の爆破受け

Donald Trump Image copyright Reuters
Image caption トランプ米大統領は、タリバン指導者との秘密会談を予定していたが中止したとツイートした

アメリカのドナルド・トランプ米大統領は7日、アフガニスタンの和平を目指し、同国の反政府武装勢力タリバンとの「秘密会談」を米国内で予定していたが、それを取り止めたと表明した。タリバンは「アメリカは多くの損害を出す」と非難している。

トランプ氏は7日夜、ツイッターの連続投稿で、8日に大統領公式別荘キャンプデイヴィッドで予定されていた秘密会談の中止を発表した。

この会談には、タリバン指導者とアフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領が出席の予定だったという。

米兵死亡の爆破事件が理由

アフガニスタンの首都カブールでは5日、米兵1人を含む12人が死亡した自動車爆破事件が発生。タリバンが関与を認めた。

トランプ氏は、これが今回の決定につながったとツイートした。

タリバンは、アフガニスタン政府を米政府のかいらいと非難し、直接交渉を拒んでいる。そのため、会談は米政府との間で別々に開かれる予定だったとみられる。

「成熟と経験が不足」

トランプ氏のツイートを受け、タリバンは声明を発表。直前まで、すべて順調に進んでいたと述べた。

ザビフラ・ムジャヒド広報官は声明で、米政府は1件の爆破を受けて協議から離脱したとして、成熟と経験が足りないと批判した。

また、タリバンとアフガニスタン政府が今月23日に会談を開くことで合意したと明らかにした。

これについてアフガニスタン政府は、タリバンとの直接交渉を望んでいるとする、従来からの姿勢を繰り返し表明するにとどめた。

ガニ大統領の報道官セディク・セディキ氏は記者会見で、「われわれは、アフガニスタンの政府と国民によって導かれ共有されるプロセスを非常に重要に思っている」と述べた。

「いい人と交渉できない」

タリバン指導者を米国本土に招いて会談を開くのは、米政府にとって異例の動きといえる。

この点について、マイク・ポンペオ国務長官は8日、FOXニュースの番組で、それまでの和平協議は進展が困難だったと説明。「いい人と交渉できたことはほとんどなかった」と述べた。

これまで米政府とタリバンとの協議は、カタールの首都ドーハで9回重ねられてきた。

今月2日には、米政府でアフガニスタン和平担当特別代表を務めるザルメイ・ハリルザド氏が、20週以内に同国駐留の米兵5400人を撤退させることで、タリバンと大筋で合意に達したと明らかにした。ただし、タリバンがアフガニスタンを攻撃拠点として利用しないことが条件だとした。

米軍は現在、兵士約1万4000人をアフガニスタンに駐留させている。

お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
タリバンと平和は築けるのか? BBC記者がアフガニスタンで取材

タリバン、国土の7割で活動

アフガニスタンでは、2001年の米同時多発テロを受けて米軍が侵攻して以来、18年間にわたって戦争が続いている。米政府は、当時アフガニスタンで政権を握っていたタリバンが、同時多発テロの背後のテロ組織アルカイダをかくまっているとしていた。

米軍の侵攻により、タリバンは政権を追われ、新政府が樹立された。しかしその後、タリバンが実行支配する地域が広がり、米政府はタリバンを相手に和平協議を重ねてきた。

タリバンは現在、2001年の米軍侵攻以降、最も勢力を拡大している。昨年から目覚しい勢いで支配地を取り戻しており、BBCの取材では、アフガニスタンの国土の70%で活動しているとみられる。

2001年以降、米軍を中心とする有志連合軍の兵士3500人近くが死亡している。うち2300人以上が米兵だ。

アフガニスタン側の犠牲者の数は把握するのが難しい。今年2月の国連の報告では、3万2000人以上の民間人が亡くなっている。米ブラウン大学ワトソン研究所は、これまでにアフガニスタンの兵士5万8000人、タリバン側の兵士4万2000人が殺されたとの報告を発表している。

<分析>リース・デューセット国際問題編集委員長

米政府でアフガニスタン和平担当特別代表を務めるザルメイ・ハリルザド氏が先週、カブールに到着し、「大筋合意」の知らせをもたらして以降、ほぼ毎日、タリバンによる攻撃が続いている。アフガニスタンでは怒りの声が高まっており、状況はアメリカも同じだ。

タリバンは外国部隊を標的にしていると述べている。しかし、アフガニスタンの民間人が被害に遭うケースも繰り返し起きている。

新たな合意案は、暴力行為を減らす努力しか含まれていないと言われている。米幹部外交官は、米政府との協議の後にアフガニスタン政府との協議に臨むタリバンから、停戦は同政府との主要な取引材料にしたいという訴えがあり、それを聞き入れたと説明した。

アフガニスタン政府の幹部は、怒りながら私に、「停戦はわれわれの取引材料でもある」と話し、同政府は現在の合意案は受け入れないと表明した。同国の指導者たちは米国について、タリバンに正当性を与えており、タリバンを大胆にしていると批判している。

そしていま、トランプ大統領も声に出したような、懐疑的な見方が広がりつつある。タリバンの交渉人がドーハで合意した約束を、現場の指揮官たちは守らないのではないか、という見方だ。

(英語記事 Taliban: US has most to lose from cancelled talks

関連トピックス

この話題についてさらに読む