女性器の分泌液を移植し、感染症治療 アメリカで近く開始

ミシェル・ロバーツ健康担当編集長、BBCニュースオンライン

BV bacteria covering cells Image copyright Getty Images
Image caption 細胞を覆うBVの細菌

アメリカでこのほど、女性器の感染症対策の一環として、女性器の分泌液の移植プログラムが考案された。近く、ドナー(提供者)の募集が始まるという。

ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームによると、他人の分泌液から健康な細菌を移植することで、細菌性膣炎(BV)の感染を防ぐことができる。

欧米では大便から腸内細菌を移植する便微生物移植が始まっており、研究チームはここから発想を得たと説明している。

BVは抗生物質で治療可能だが、繰り返しかかる患者が多い。

BVとは? なぜ起こる?

BVは性交渉による感染症ではない。

一般的な感染症で、アミン臭と呼ばれる魚のようなにおいのおりもので気づくことが多い。

BV自体は通常、深刻な症状にはならないが、性感染症や膀胱炎などの尿路感染症にかかりやすくなるため、治療する必要がある。

また、妊娠している女性がかかると、早産となる危険性が高くなるという。

細菌のバランス

女性器には腸と同じように細菌が存在するが、BVはこの細菌のバランスが崩れたときになりやすい。

食生活やライフスタイルの変化、服用している薬などで、細菌の生態系が崩れる場合がある。

これまで、腸内細菌については数多くの研究がなされてきたが、女性器についてはあまり知られていない。

専門家によると、女性器の健康な細菌は弱酸性の環境を好むが、女性器内の水素イオン指数(pH)がアルカリ性に寄りすぎると、BVを引き起こす細菌などが繁殖しやすくなるという。

女性器内のpHは、さまざまな要因で変化する。性交渉(精液や唾液はわずかにアルカリ性寄りだ)や洗浄液の使用、月経周期によるホルモンの変化などがあげられる。

移植でどう変わる?

研究チームはBV患者への移植の準備に向け、適切なドナーの条件を模索してきた。すでにアメリカ食品医薬品局(FDA)から認可を得ているため、近く募集を始められると期待している。

学術誌「Frontiers in Cellular and Infection Microbiology」に発表された論文によると、研究チームは20人のボランティアを募り、「理想的な」ドナーの条件を調査した。

その結果、ラクトバチルス・クリスパタスと呼ばれる細菌が多いほど、分泌液が保護力の高い乳酸を持ち、pHも低く保たれることが分かった。

ドナーとなるには、サンプル採取の30日前から性交渉が禁じられる。また、サンプルはHIVを含むあらゆる感染症のスクリーニングを受ける必要がある。

研究チームの一員であるローラ・エンザイン博士は、「移植する分泌液は、ドナー自身で採取してもらう。その方が受け入れられやすい」と話した。

「採取は簡単」

ドナーとなった女性は、生理カップやペッサリーのようなプラスチック製の円盤を挿入してサンプルを採取する。

エンザイン博士は「簡単かつ手早く、この1回で移植に十分なサンプルが採取できる」と話した。

一方、移植するサンプルはアプリケーターに入れられ、患者はタンポンと同様の方法でこれを挿入して移植を行う。

エンザイン博士によると、「資金が確保できればすぐに始められる」という。

「研究に参加してくれたドナーの数人が、移植プログラムに参加したいと言っている」

「まずは40人に移植するところから始める予定だ。実際に移植を受ける人と、偽薬を受け取る人がいるが、どちらにもBV治療のための抗生物質を投与する」

(英語記事 Vaginal fluid transplants 'available soon in US'

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