【ラグビーW杯】 応援歌、相撲、トイレ… 来日ファンが驚く8項目

レベッカ・シールズ、BBCニュース(東京)

A commuter walks past posters advertising the Japan 2019 Rugby World Cup in the Tokyo district of Aoyama Image copyright Getty Images
Image caption ラグビーワールドカップがアジアで初めて開催される

ラグビー界の大男たちが、全力で駆け抜け、スクラムで押し通す準備を進めている。相手は、「日本スタイル」という新しいかたちのラグビーワールドカップ(W杯)だ。

ラグビーの祭典がアジアで開催されるのは今回が初めてだ。開会式は9月20日。訪日客はすでに、開催国・日本の文化に魅了されている。歌や、ビールにまつわる慣習、そして……トイレにも。

1. 「日本最大の屋外バー」

W杯大会組織委員会は、ビール好きのラグビーファンが日本に不意打ちを食わせ、スタジアムの酒を一滴残らず飲み干すのではないかと恐れおののいている。これには、ちゃんとした理由がある。 

前回の2015年イングランド大会では、ファンゾーンや競技会場でのビールの消費量が190万リットルに達した。サッカー大会の開催経験もある競技施設によると、ラグビーファンの平均のビール消費量は、サッカーファンの6倍だったという。

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Image caption ラグビーファンは、サッカーファンの6倍もビールを飲むという

しかし、心配は無用だ。バーの酒が足らなければ、ファンが惨めな思いをすると理解している、今大会のワールドワイドパートナーのハイネケンは、ビール生産量を8割増やした。

そして、すしを食べ過ぎて座席から動けない人には、さらにいい知らせがある。日本のスポーツ大会には、座席を回ってビールを販売する「売り子」がいる。

組織委は16日、全国の11会場で1650人の売り子を導入すると明らかにした。試合が盛り上がったときや、気温が暑すぎる場合には、座席でビールを手渡しで受け取れる。

2. ウェールズ語の応援歌も問題なし

カラオケをカウントしないなら、日本人は、音楽好きの民族として有名ではないと言ってもいいだろう。

ところが、16日に福岡県のミクニワールドスタジアム北九州で行われたウェールズ代表の公開練習では、約1万5000人のファンがウェールズの応援歌である賛美歌「カロン・ラン」を合唱。赤いチームカラーに身を包んだ、ウェールズから来日したファンの涙を誘った。

ウェールズラグビー協会は、ファンでいっぱいのスタジアムの写真をツイッターに投稿し、「信じられない。北九州市でのわれわれの公開練習がまもなく始まる。1万5000人以上がこの街のスタジアムを埋め尽くしている」と述べた。

日本人が出場チームの文化を美しく表現したのは、北九州市で事前キャンプを張るウェールズ代表だけではない。

9日に事前キャンプ地の千葉県柏市に入った、優勝候補のニュージーランド代表「オール・ブラックス」もまた、地元の子供たちによるニュージーランド先住民マオリの戦いの踊り「ハカ」で歓迎された。

さらに驚くべきことは、兵庫県尼崎市の園田学園女子大学が、マオリ語と英語で、ニュージーランド国歌を披露したことだろう。

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Image caption ニュージーランド代表「オール・ブラックス」の歓迎セレモニーで、ニュージーランド先住民マオリの戦いの踊り「ハカ」を披露した子供たち

3. 大男がもっと大きい男と面会

日本人は、参加国を称賛することと同様に、来訪者に自分たちの伝統を披露することにも意欲的だ。アイルランド代表チームには、国技の相撲を披露した。

15日、アイルランド代表の歓迎セレモニーが、キャンプ地である大阪府堺市の大浜相撲場で開かれた。

タイグ・バーン選手はツイッターで、「相撲道場でのすばらしい朝」だったと称賛した。

相撲稽古中は通常、静かにしなければならないが、宮崎市でキャンプを行うイングランド代表は、その真逆の環境に身を置いた。16日、宮崎県庁で、和太鼓や尺八の演奏によるにぎやかな歓迎を受けた。

BBCスポーツのトム・フォーダイス記者は、「日本で行われたイングランド代表歓迎セレモニーでのかなり激しい太鼓演奏」の動画をツイートした。

4. 衝撃のハイテクトイレ体験

ファンも選手も同様に畏怖の念を覚えているのが、洗浄や乾燥など多様な機能で外国人を当惑させることで知られる、驚くほどハイテクなトイレだ。

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Image caption 日本のトイレは驚くほど革新的で知られている

その機能は、トイレの蓋の開閉から暖房便座など多岐にわたる。さらにシンクまで付いている。

まさに必要としていたトイレットペーパーを個室ドアの下から差し入れてくれるように、BBCのルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ東京特派員はツイッターで、操作ボタンの意味を、イラストを使って説明した。

「ラグビーワールドカップで来日して、困惑している人へ。簡易的な取り扱いガイドをどうぞ」

この投稿に対し、ある人は、「これは非常に重要な情報だ。アオテアロア(ニュージーランド)の人々と共有する」とリプライした。

5. 夢のポケモンスタジアム

技術の話題を続けると、9月22日のイングランド対トンガ戦を観戦するファンは、温かくもてなされることとなる。会場の札幌ドームはすぐれた総合競技場で、野球場やサッカーのピッチ、イベント会場などへの転換が可能だ。

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Image caption 用途に応じて様々な会場へと転換可能な札幌ドームはこの世のものとは思えない

札幌ドームは、プロ野球の日本ハムファイターズや、Jリーグのコンサドーレ札幌の本拠地として使用されている。野球場にする場合、内野を取り囲むかたちで人工芝と客席が設置される。

ラグビーワールドカップでは、そのかたちは変化する。まるでポケモンのように。人工芝は取り除かれ、すでに用意されている天然芝が敷かれる。客席も配置が変わるため、ファンには最高の位置からの観戦が保証される。

会場の転換には約8時間かかる(友よ、天才を急かすなかれ)。魔法が使われている様子は、このすばらしいタイムラプス動画で確認できる。

6. 神話由来の大会マスコット

これが、大会公式マスコットのレンジーだ。

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Image caption 邪悪を退けるとされる想像上の聖獣、獅子がモチーフの「レン」(左)と「ジー」

レンジーは、想像上の聖獣、獅子がモチーフになっている。獅子は、古来より幸福を招き、邪悪を退けるとされる。

ワールドラグビーによると、レンジーは現金も招く(少なくともラインセンス料が懐に入る人には)という。

オフィシャルストア14店舗では、帽子からばんそうこうに至るまで、あらゆる商品にレンジーがあしらわれている。

たったの13万5000円で、レンジーの人形(木目込み人形)が手に入る。本当に欲しいのなら……。

7. 19~88歳のボランティア隊

9月20日から11月2日までの間、40万人を超える海外のラグビーファンが日本に集まる見込みだ。混乱を最小限にとどめるため、開催12都市に、計約1万3000人のボランティアが集められた。

最年長は安田十四雄さん(88)。最年少で、横浜出身の猪又海咲さん(19)は将来、スポーツ科学の仕事に携わることが目標だ。

すべてのボランティアが、ワールドカップの歴史を学んだ。試合会場や最寄駅の周辺で、世界各国からのファンを案内することとなる。

8. 天候との戦いに…シャンプーを

現在、日本は台風シーズン真っ只中だ。組織委は、あらゆる天候パターンを分析している。破壊的な気象条件に見舞われた場合には、会場が変更されたり、試合が順延あるいは中止となる。

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Image caption サッカーボールをシャンプーに浸す?

決勝トーナメントの場合には、試合は順延あるいは会場が変更される。一方予選プールでは、天候不順により試合ができない場合には、試合は引き分けとされる。そうなれば、予想外の結果が生じる可能性がある。

アイルランド対スコットランド戦が行われる22日は、激しい雷雨になるとみられる。そこでスコットランド代表は、シャンプーに浸したボールを使って練習をしている。

一方、23日にジョージアと対戦するウェールズは、ボールをベビーオイルに浸して練習している。

(英語記事 Songs, sumo and toilet trauma: Rugby fans descend on Japan

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