気候変動が「加速」、過去5年で世界気温は最も暑く=世界気象機関

マット・マクグラス、BBC環境担当編集委員

ice Image copyright Getty Images

世界気象機関(WMO)は22日、温室効果ガスの影響で、世界の平均気温が過去5年間で観測史上最も暑くなるなど、地球温暖化の兆候やその影響が加速していると発表した。

WMOは、米ニューヨークで9月23日に開かれる国連気候行動サミットを前に、気候変動に関する最新の報告書を公表した。

報告によると、2014年から2019年までの5年間の世界の平均気温が、観測史上最も暑くなり、同期間の海面上昇についても著しい加速がみられる。二酸化炭素(CO2)排出量が過去最高となったことが要因という。

WMOは、二酸化炭素削減の対策強化が急務だと指摘している。

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報告書は、近年確認されている前例のない規模の温暖化について、その原因や影響の拡大に関する最新の科学分析をまとめたもの。

報告書によると、世界の平均気温は1850年以降、摂氏1.1度上昇。2011年から2015年の間に0.2度上昇したという。

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二酸化炭素排出量は2割増

2015年から2019年までの間に大気中に排出された二酸化炭素は、2015年までの5年間と比べ、2割上昇している。

恐らく最も心配なのが、海面上昇に関するデータだろう。

1993年から現在まで、海面の高さは年間平均3.2mmずつ上昇している。ところが、2014年5月から2019年にかけては、毎年5mmずつ上昇している。2007年から2016年までの10年間では、1年あたりの上昇は平均4mmだった。

WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、「海面上昇は加速している。我々は、将来的な海面上昇を深刻にするおそれのある、南極とグリーンランドの氷床の急激な減少を懸念している」と述べた。

「今年、バハマとモザンビークで悲劇的な影響を目の当たりにしたように、海面上昇と激しい熱帯暴風雨は人道的および経済的な大惨事を引き起こした」

報告書はまた、気候変動による熱の9割以上が海に吸収されていると強調。2018年の海洋蓄熱量は観測史上最高だったという。

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報告書は、いま地球上のどこを見たとしても、状況は同じだと強調。人為的な温暖化は、熱波や山火事などの異常気象の規模や激しさに影響を与えているとしている。

「非常に危険な方向へ加速」

インペリアル・コレッジ・ロンドン(ICL)グランサム研究所の所長で、レディング大学気象学部の教授、ブライアン・ホスキンス氏は、「我々人類による気候変動は、非常に危険な方向へ加速している」と指摘する。

「我々は、子供たちからの大きな求めに耳を傾けるべきだ。これは緊急事態だ。温室効果ガス排出量をゼロにすることを目指して急速に削減しつつ、不可避な気候の変化に適応するため、取り組まなければ」

日本と豪の登壇予定なし

WMOの報告書は、米ニューヨークで9月23日に開かれる国連気候行動サミットに向けて、気候変動について通達する目的で発表された。

このサミットについて、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、言葉ではなく行動について議論するためのものだと説明。開催に先立ち、「サミットに参加する首脳に対し、しゃれた演説ではなく、具体的な対応策を持ってくるよう指示した」という。

「人々は解決策を、対応策を、そして行動を求めている。私は、次の10年間で二酸化炭素排出量を劇的に削減し、2050年までにカーボンニュートラル(炭素中立、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量)を実現するための、多くの意義ある計画を発表できることを期待する」

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温暖化対策訴える16歳少女、ヨットでニューヨークへ

気候変動対策を求める若者たちの中心的存在のグレタ・トゥーンベリさん(16)は20日、ニューヨークで、若い活動家と共に行進した。グレタさんは、23日のサミット冒頭で演説する予定。

グレタさんに続き、約60カ国の首脳や閣僚が、地球温暖化の原因を削減するための新たな対策案あるいは国連加盟国による取り組みについて演説するとみられる。

中国、インド、フランス、ドイツ、イギリスは気候行動サミットで演説する予定だが、日本とオーストラリアは登壇が認められていない。

グテーレス事務総長は2050年までに二酸化炭素排出量を正味ゼロにすることを目指すことに加え、各国に化石燃料への補助金を削減し、新規の石炭火力発電所の建設中止を求めている。この石炭火力発電をめぐり、日本の安倍晋三首相とオーストラリアのスコット・モリソン首相は、参加が認められなかった。

Image copyright No Coal Japan
Image caption 気候変動活動家は、石炭の上に立つ日本の安倍晋三首相の風船を使い、石炭燃料を支持する安倍に抗議するつもりだ

アメリカ、ブラジル、サウジアラビアもサミットには出席しない。

今回のサミットの成功は、天秤にかけられたままだ。対策を実行する緊急性と、遅延によっていずれは判断がより難しくなるという事実については議論になっていない。

エネルギー産業などからの排出量削減が重要

ターラス事務局長は、「とりわけエネルギー産業、工業、輸送面から温室効果ガス排出量を削減することが非常に重要だ。我々が気候変動を軽減し、パリ協定で定められた目標を達成することになるかどうかが重要だ」と述べた。

「産業革命前より摂氏2度以上も高い世界の気温上昇を止めるには、温暖化を食い止めようという野心を3倍持つ必要がある。そして、上昇を1.5度に留めるためには、5倍にしなければならない」

(英語記事 Climate change 'accelerating', say scientists

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