トランプ氏「不法移民の脚を撃て」 側近に提案=米記者新刊

US President Donald Trump visits the US-Mexico border Image copyright AFP

厳格な移民政策を提唱してきたアメリカのドナルド・トランプ大統領が今年3月、同国南部のメキシコ国境からの移民流入を阻止するため、移民の脚を銃で撃つよう持ちかけていたことが、米紙ニューヨーク・タイムズ記者の最新著書で明らかになった。

匿名の政府幹部十数人ものインタビューをもとにした、マイケル・シアー記者とジュリー・デイヴィス記者の共同著書「Border Wars: Inside Trump's Assault on Immigration(国境戦争:トランプの移民攻撃の内幕)」は、ニューヨークタイムズより出版された。

この本には、トランプ大統領がメキシコとの国境を封鎖しようとしていると報じられた、2019年3月当時の話が記録されている。

移民の脚を撃てばいい

同書には、ある専門家の話として、トランプ大統領が複数の過激な移民対抗措置を持ちかけたと綴られている。

トランプ氏は側近に対し、米兵が移民の脚を銃で撃てばいいと非公式に提案したものの、それは違法行為になると言われたという。

トランプ氏は以前、投石する移民には米兵が発砲してはどうかと発言していた。

ヘビやワニ放流、電気を流し…

同書によると、この匿名の専門家は、「大統領はたびたび、国境の壁強化について内々に話していた。水を張った溝にヘビかワニを放せばいいと言って、側近に費用の見積もりを出すよう促していた。大統領は国境の壁に電気を流し、移民の体に刺さるように壁の上部にびょうを付けたがっていた」と証言した。

さらに、トランプ氏から、次の日の正午までにアメリカとメキシコ国境の完全な閉鎖を実施するよう指示された側近が、「パニックに近い状態に陥り」、「必死に」トランプ氏をなだめようとしたという。

「トランプ氏の国境閉鎖命令は、大統領の激しい怒りによるめまぐるしい1週間を触発する決定点となった。政府職員が24時間ぶっ通しでパニックになるなど、当時、ホワイトハウス外に知られていたよりもはるかに混乱していた」

Image caption メキシコ国境の状況。サンディエゴ近郊に壁の試作品がつくられた(Prototype construction area)。赤色線は2017年以前から設置されている歩行者用フェンス、黄色は2017年以前から設置されている車両用フェンス

側近は国境閉鎖についてトランプ大統領を思いとどまらせることに成功したという。しかしトランプ氏は後に、自分の移民取り締まり策の邪魔をしたと判断した多くの高官を解任。その中には、メキシコ国境対策の遂行を担ってきたキルステン・ニールセン国土安全保障長官(当時)も含まれていたとされる。

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国境で何が起きているのか

メキシコ国境から流入する不法移民対策は、トランプ大統領の選挙公約の要だった。

国境の壁の建設はすでに始まっている。国防総省は先月3日、36億ドル(約3800億円)の国防予算を壁建設に転用すると明らかにしていた。

今年2月、トランプ氏は、メキシコとの国境での状況を「危機」と呼び、連邦予算決定権を握る議会を迂回(うかい)するため、軍事予算から壁建設費約80億ドル(約9000億円)を工面するために非常事態を宣言した。

6月には、国内への不法移民の流入に歯止めをかけることを目的とした不法移民対策をめぐり、メキシコと合意した。

メキシコは同国南側のグアテマラ国境に国家警備隊数千人を派遣。先月には、不法にアメリカへ入国した移民の数が、5月以降56%減少し、対策の成果があったと発表した。

政権発足後に不法移民が増加

複数の統計によると、米国内へ不法入国する人の数は、2000年以降減少傾向にあったものの、トランプ氏が大統領に就任して以来、再び増加しているという。

今会計年度(2018年10月~2019年9月)にメキシコ国境で拘束された人の数は80万人を超えている。これは、2018年9月までの1年間の人数の倍以上にあたる。

移民の多くは母国での迫害、貧困、暴力から逃れるため、アメリカ国境を目指し北上している。

(英語記事 Trump 'suggested shooting migrants in the legs'

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