米アニメ「サウスパーク」、中国で閲覧不可に 制作陣が「謝罪」

Randy (left, with moustache) making toys in a Chinese prison Image copyright South Park / Comedy Central
Image caption サウスパークの最新話では、登場人物のランディー(左側のひげのあるキャラクター)が中国の刑務所でおもちゃを作る場面があった

アメリカのコメディーアニメ「サウスパーク」が中国の大部分で視聴できなくなった。中国政府の検閲が原因とみられる。これを受け、同アニメの制作陣が皮肉たっぷりの「謝罪文」を発表した。

サウスパークの最新話では、登場人物のランディー・マーシュが中国を訪問。その際に投獄され、強制労働させられ、中国共産党の再教育を受けるという場面があった。

現在、中国ではサウスパークのほとんどのエピソードとそのレビューが、インターネット上で閲覧できなくなっている。

制作陣は「謝罪文」で、「中国の検閲を歓迎します。共産党万歳!」と書いている。

最新話では何が?

最新話の「Band in China(一味が中国へ)」では、ランディーが大麻ビジネスを拡大しようと中国を訪れる。

ランディーはそこで逮捕され、刑務所に入れられ、強制労働と再教育の対象となる。

ランディーが雨の中で立っているところに、刑務所職員が電気ショックを浴びせる場面もある。

それからランディーは、「共産党の一員であることを誇りに思う。党は個人より重要だ」と書かれたカードを読む。

ランディーはその後、刑務所職員が服役囚の頭を銃で撃つところを目撃。すし詰め状態の部屋に連れて行かれ、そこでくまのプーさんとピグレットと話をする。

中国では2017年以降、インターネット上でくまのプーさんと習近平国家主席が似ていると揶揄(やゆ)されたことから、くまのプーさんを検閲の対象にしている

サウスパークの中でピグレットは、「プーと中国の主席が似てるって言う人がいるから、僕たちは中国で違法なんだ」とランディーに話す。

それを聞いたランディーは、「ここはまったく狂っている」と返事をする。

Image copyright AFP/Weibo
Image caption 習近平・国家主席とバラク・オバマ米大統領(当時)を、プーさんとティガーになぞらえたこの画像が、2013年にインターネットに出回りはじめた

中国で検索してみると

アメリカでこのエピソードが放映されて以降、中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」でサウスパークと検索しても、「関連する結果はありません」と表示される。

また、「嗶哩嗶哩(ビリビリ)」や「愛奇芸(アイチーイー)」、「优酷網(ヨウク)」といった動画サイトからサウスパークが削除された。検索結果には簡単な説明が出るものの、視聴することはできない。

映画のレビューなどが掲載されている大手SNS「豆瓣(ドウバン)」でサウスパークを検索すると、「関連法の規定により、検索結果は表示されません」と表示される。

検索エンジン「百度(バイドゥ)」ではなお検索結果が表示されるが、大半は古いニュースだ。一番上に表示されるサイトは、この番組が10代の若者に与える悪影響を批判している。

微博では検閲を回避するため、最新話を表す「S23E02(シーズン23、第2話)」という記号でやりとりしているユーザーもいる。

制作陣は「公式に謝罪」

原作者のトレイ・パーカー氏とマット・ストーン氏はツイッターで、「中国に対する公式の謝罪」を発表した。

「NBAのように、私たちは中国の検閲が私たちの家や心にまで入ってくるのを歓迎します」

「私たちは自由と民主主義よりお金を愛しています。習(国家主席)はくまのプーさんにまったく似ていません」

「すばらしき中国共産党万歳! この秋のトウモロコシが豊作でありますように! ねえ中国、これでいい?」

NBA(米プロバスケットボール)への言及は、ヒューストン・ロケッツのゼネラル・マネジャー(GM)が先に、香港で続く反政府・民主化デモを支持するツイートをしたところ、中国側から激しい批判を浴びたことを受けたもの。

中国のスポンサーやパートナー企業などから協力停止などが相次いで発表されたことで、ダリル・モーリーGMは謝罪を表明。

ロケッツやNBAはただちに、モーリー氏のツイートから距離を置いた。NBAは、モーリー氏のコメントは「残念だ」と述べている。

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中国の検閲事情

中国では、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアが使えず、グーグルもブロックされている。今年5月には、ウィキペディアの全ての言語版が中国で閲覧できなくなったと発表した。

当局の検閲システム「グレート・ファイア・ウォール」を使い、中国政府はインターネット上の情報を規制している。

新聞やテレビといったメディアも中国共産党の傘下にあり、ソーシャルメディア上では特定の単語やフレーズが検閲される。

たとえば、香港で6月から続いているデモの情報は限られている。政治的に繊細な問題について議論すれば、インターネットへの接続自体を禁止されることがある。

(英語記事 South Park in mock apology after China censorship

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