アルカイダ重要人物、軍事作戦で死亡か=アフガニスタン当局

画像提供, NDS Afghanistan
アフガニスタン国歌保安局(NDS)がアシム・ウマル氏だとする人物の写真(NDS提供)
アフガニスタン国家保安局(NDS)は8日、国際テロ組織「アルカイダ」の重要人物の1人がアメリカとアフガニスタンの共同軍事作戦で死亡したと発表した。
死亡したのは、アルカイダの関連組織「アルカイダ・インド亜大陸(AQIS)」の指導者アシム・ウマル氏。9月25日にアフガニスタン南部のヘルマンド州で行われた反政府武装勢力タリバンに対する軍事作戦で亡くなったという。
この軍事作戦では少なくとも40人のアフガニスタン市民が犠牲になったと伝えられている。
ウマル氏について、アメリカとアルカイダは死亡を確認していない。
一方、タリバンはウマル氏死亡説を否定。広報担当者は、この発表は「敵によって粉飾されたプロパガンダ」だと述べるとともに、軍事作戦は「市民に大きな犠牲を残しただけだ」と批判した。
<関連記事>
NDSがツイッターで公開した声明によると、アメリカとアフガニスタンの共同軍事作戦は、「タリバンが拠点とするムサ・カラ地区」で行われ、ウマル氏や他のAQISメンバーが「隠れていた」建物を標的とした。
ウマル氏のほか、6人のAQISメンバーが殺害されたが、その「ほとんど」がパキスタン出身だという。この中には、ウマル氏がアルカイダの現指導者アイマン・アル・ザワヒリ容疑者への「使者」にしていたとされるアブ・ライハン氏も含まれている。
NDSは声明と共に、ウマル氏の生前と死後を写したとされる写真を掲載している。
軍事作戦の詳細や、死亡したAQISメンバーの死体がその後どうなったかは明らかになっていない。
アルカイダの指導者がタリバンの保有する敷地内にいたことは、タリバンがアメリカとの和平交渉のため、どれほど本気でアルカイダと手を切ろうとしているのか、疑問を投げかけている。
アメリカは2001年9月11日の米同時多発テロ事件の後、この事件を起こしたとされるアルカイダの創設者、故オサマ・ビンラディン容疑者の引き渡しをタリバンが拒否したことから、当時タリバンが政権を握っていたアフガニスタンに攻め込んだ経緯がある。
ドナルド・トランプ米大統領が今年9月にタリバンとの和平交渉を打ち切ると宣言するまで、タリバンはアルカイダなどのテロ組織とのつながりを断ち切るのと引き換えに、アメリカ軍とアフガニスタン撤退で合意するかのように見えていた。
タリバンは2001年に政権を失って以降、アフガニスタン政府や外国軍と激しい戦闘を繰り返し、現在はアフガニスタンの大部分を掌握している。
画像提供, EPA
軍事作戦では少なくとも40人のアフガニスタン市民が犠牲になったと伝えられている
ヘルマンド州高官は、軍事作戦によって結婚式に出席していた多くの市民が殺されたとした。
アメリカ当局は、多数の市民に犠牲が出たとの報道について調査しているとしている。
一方で、犠牲者の多くは軍事作戦そのものではなく、二次的な爆発か、戦闘員が起こした自爆テロによるものではないかと話している。アメリカとアフガニスタンはかねて、タリバンが市民を人間の盾として利用していることを非難している。
米CBSニュースは、この軍事作戦にアメリカの特殊部隊が参加したと伝えている。
ウマル氏は、AQISが発足した2014年9月から指導者を務めている。詳細は明らかではないが、もともとはインド出身で、アルカイダの拠点があったアフガニスタン国境に近いパキスタンのミランシャに滞在していたといわれている。
また、アルカイダに加入する以前は、インドとパキスタンのカシミール領有問題に絡んで活動している「ハルカトゥル・ムジャヒディン(HuM)」や「ジェイシモハメド(JeM)」といったパキスタン側の武装集団に参加していたとされている。