イギリスのEU離脱、10月末は困難に 官邸は総選挙をあらためて示唆

MPs announcing vote Image copyright JESSICA TAYLOR
Image caption 「離脱協定法案(WAB)」の早期成立を目指すための短期の審議日程案は否決された

英首相官邸は23日、欧州連合(EU)が1月までブレグジット(イギリスのEU離脱)期限を延期するようなら、議会の解散総選挙を目指す方針をあらためて示した。

ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)の離脱期限が9日後に迫る中、英下院は22日、「離脱協定法案(WAB)」の審議を3日間とする政府動議を否決した。これにより、離脱期限が延長となる見通しとなった。

ボリス・ジョンソン英首相はこの時点で、法案審議を「保留」にした。

首相官邸はこれを受けて、解散総選挙の可能性を示唆したが、イギリスでは議会解散は首相の専権事項ではなく、下院の同意が必要。9月にも政府による解散の提案を下院は否決している。

英下院は22日、WABを賛成329、反対299で可決。協定案の審議を可能にする最初のハードルをクリアした。しかしその数分後、WABの早期成立を目指すための3日間という短期の審議日程案は否決され、審議は「宙ぶらりん」の状態となった。

この結果を受け、欧州理事会のドナルド・トゥスク議長(EU大統領に相当)はツイッターで、「合意なしブレグジットを回避する」ため、イギリスを除く「EUの27加盟国に対し、イギリスからの期限延長の要請を承認するよう求める」考えを示した。

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19日の審議の結果、ジョンソン首相がEUに送る羽目になった離脱期限延期の要請は、1月31日まで3カ月の延期を求めている。しかしジョンソン首相はこの時、この手紙に署名せず、別添の手紙で「期限延期は間違い」なのでEUとして英下院議員たちを説得するよう呼びかけていた。

英首相官邸筋はあらためて、首相は1月末までの離脱延期を受け入れるつもりなどないと述べ、この日の下院が「最後のチャンスを台無しにした」と話した。

「もし議会の求める延期にEUが合意するなら、この国が前に進むには総選挙しかない。この議会は壊れている」と、官邸筋は話した。

解散総選挙の可能性も

合意のあるなしに関わらず10月31日に離脱を決行する方針のジョンソン首相は22日の下院で、「EU加盟国と協議し、意向を伺うつもりだが、EU側が結論に達するまで、我々が結論に達するまで、我々はこの法案をめぐる議会進行を一時停止するだろう」と述べた。

一方で、政府は「唯一の責任ある方針を選び、合意なし離脱への準備を加速させるだろう」、「はっきりさせておく。我々は期限を延期すべきではなく、10月31日にEUから離脱すべきだという我々の方針は変わっていない」と強調。「下院が来年1月あるはそれより先まであらゆるものを延期する判断を下した場合」、解散総選挙を目指すだろうと述べた。EU側が短期間の延長を提案した場合については言及しなかった。

英政府関係者は、EUが離脱期限の延期に合意した場合、ジョンソン氏は解散総選挙の実施を検討する方針としている。

2011年に任期固定制議会法が成立し、現在は首相の解散権は廃止されている。下院で可決される必要があるが、仮に今週ジョンソン首相が解散を提案した場合、総選挙は最短で11月28日に実施されることとなる。

野党の反応

英最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、ジョンソン氏は「自分の不運を招いた張本人だ」と非難。下院議員は「この協定案が経済にもたらす影響について、通達や分析が不足している状態のまま、非常に重要な部分の審議に突入させられることを拒否した」と述べ、「分別ある」日程での協定案の審議を提案した。

EU残留を支持するスコットランド国民党(SNP)のイアン・ブラックフォード院内代表は、下院議員は「ジョンソン氏の提案は受け入れられないと、非常に明確に表明した」、ジョンソン氏にとって「新たな屈辱的な敗北」となったと述べた。

自由民主党のジョー・スウィンソン党首は、EUから離脱延期の合意を取り付けるため、「この瀬戸際政策を終わりにして、なんらかの政治的手腕を発揮」するようジョンソン氏に求めた。

期限内の離脱を強調

ジョンソン首相は19日、トゥスク議長宛てに、離脱期限の3カ月延期を求める手紙を送ったものの、署名しなかった。その一方で、「親愛なるドナルド」と同時に送った手紙では、延期は間違いだと書き、こちらには署名している。

ジョンソン首相はさらにトゥスク氏を含む複数の欧州首脳に電話をかけ、離脱延期を求める手紙は「議会の手紙で、自分の手紙ではない」と強調したという。

保守党のジェイコブ・リース=モグ院内総務は、下院議員に対し、離脱期限までにブレグジット実現に必要な法整備を終わらせるのは「非常に難しい」と述べた。

「柔軟な延長」も

BBCのカティヤ・アドラー欧州編集長によると、EU加盟国の大半は1月31日までの期限延長の承認する考えという。

一方で、BBCのアダム・フレミング・ブリュッセル特派員は、EU側は「フレクステンション(flexible『柔軟な』とextention『延長』を合わせた造語)」を検討しているとしている。これは、イギリスに1年間のブレグジット延長を認めつつ、議会が離脱協定を批准した段階でそれを打ち切るというもの。

(英語記事 Brexit bill 'in limbo' as MPs reject timetable

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