英科学者に企業が3億円賠償 血糖測定の発明で=最高裁判決

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Image caption イアン・シャンクス教授(72)は13年にわたる法廷闘争の末、賠償金を勝ち取った

イギリスの最高裁は23日、消費財メーカーのユニリーバに対し、40年近く前に同社で血糖測定技術を発明した科学者に200万ポンド(約2億8000万円)を支払うよう命じる判決を出した。

イアン・シャンクス教授(72)は1980年代、ユニリーバの関連会社に勤務中にこの技術を開発。現在、多くの糖尿病患者に使用されている。

ただし、開発された技術の権利はユニリーバが持っている。そのためシャンクス教授は、こんにちまで技術による利益を受け取る立場になかった。

シャンクス教授は、13年にわたる裁判の結果にほっとしていると語っている。

娘のおもちゃから着想

シャンクス教授は、ユニリーバが英ベッドフォードシャーに置いていた子会社で働いていた1982年、血液などの液体に含まれるグルコースの濃度を測定する新技術を開発した。

教授は、娘が持っていたおもちゃの顕微鏡キットについてきたプラスチックフィルムとガラス板をクリップで留めて試作品を作成。この技術は、糖尿病患者が血糖値をモニタリングする際に使うグルコース測定器のほとんどに使われるようになった。

「13年にわたるいばらの道」

シャンクス教授は2006年に損害賠償を求めてユニリーバを提訴。最高裁に至るまで、全ての裁判で敗訴していた。

しかし最高裁は23日、シャンクス氏の発明がユニリーバに「特筆すべき利益」を与えたことを認め、全員一致で同社に賠償を命じた。

裁判官を務めたキッチン卿によると、シャンクス教授はこの技術の権利がユニリーバにあると認めた上で、損害賠償を求めていたと説明。

キッチン卿はまた、ユニリーバがこの技術で得た利益は「膨大かつ重大」なものだったと指摘。シャンクス教授には同社がこの技術の特許から得た約2400万ポンドから「正当な分け前」が与えられると述べた。

判決後、シャンクス教授は損害賠償をめぐる「13年のいばらの道」がようやく終わったことに喜んでいると話した。

一方BBCの取材では、2007年に心筋梗塞を起こしたことを明かし、この闘争が大きなストレスになっていたと語った。

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Image caption 指を刺して血液を採取し、血糖値を測定する装置

シャンクス教授は賠償金を得るためではなく、未来の発明者を助けたいと言う想いからこうした苦難に耐えたと語った。賠償金のほとんどは裁判費用に充てられるという。

「企業に勤めている発明者が何かとても利益を生む重大なことを行ったとき、その報酬を得る機会が与えられるほうがいいと思っている」とシャンクス教授は語った。

また、自分の開発した技術が数億人の糖尿病患者を助けたかもしれないことに、大きな誇りを感じていると話している。

ユニリーバの広報担当者は英紙ガーディアンの取材に対し、判決は「残念だ」と回答。シャンクス教授は「ユニリーバのために新製品を開発している間に得た給与やボーナス、福利厚生」に加えて、この技術のライセンス収入の一部を得ることになったと説明した。

(英語記事 Expert wins £2m decades after diabetes invention

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