英下院、12月12日の解散総選挙を可決  ブレグジットこう着打破へ

Tellers

イギリス下院(定数650)は29日夜、ボリス・ジョンソン首相が提出した12月12日を総選挙の投票日とする法案を438対20の賛成多数で可決した。かねて総選挙の前倒しに反対していた最大野党・労働党が法案支持に回ったことで、情勢が大きく動いた。与野党は総選挙によって、欧州連合(EU)離脱をめぐる膠着(こうちゃく)の打破を目指している。

イギリスで12月に総選挙が行われるのは1923年以降で、初めてとなる。

法案成立には上院での承認が必要だが、今週中には成立する見通し。その後、11月6日にも議会は解散される。

ジョンソン首相は法案の審議に際し、ブレグジット(イギリスのEU離脱)とイギリスそのものの未来について、国民に「選択肢を与えるべきだ」としていた。

<関連記事>

イギリス議会では現在、ジョンソン首相がEUと取りまとめた離脱協定案の審議が保留状態にある。これを受けてイギリス政府は28日、EU離脱を2020年1月31日に延期することでEUと合意した。

ジョンソン首相は総選挙で新たに離脱協定案について信任を獲得し、現状を打破したい考えだ。

投票後にジョンソン氏は、イギリスが「ブレグジットを実現するため、ひとつにまとまる」時が来たと話した。

ジョンソン氏は9月、EU離脱をめぐる採決で造反した議員21人を与党・保守党から追放していたが、今回うち10人の復帰を認め、保守党議員として投票することを認めた。

4度目の正直

ジョンソン首相にとって、解散総選挙を求める採決はこれで4度目。下院は過去3回にわたりジョンソン氏の提案を否定してきたが、今回は6時間の審議の末、法案を可決した。

審議の冒頭で、労働党のステラ・クリーシー議員による、政府法案に対する議員修正案の提出を認めるという提案が、312対295で可決された。

これを受け、労働党は政府法案について16歳と17歳のイギリス人にも投票権を与えるという修正案を提出した。スコットランドやウェールズの議会は、16歳と17歳に投票権を認めている。

しかし、この修正案は審議の対象にならなかった。

また、より多くの学生が選挙に参加できるよう、12月9日に総選挙を行うべきだとする修正案は、295対315の反対多数で否決された。

「一世一代のチャンス」

労働党のジェレミー・コービン党首はこれまで、離脱条件についてEUと合意のないブレグジットの可能性がなくならない限り、総選挙の前倒しには応じないという立場だった。しかし、EUが離脱期限の延期に応じ、合意なし離脱の可能性はなくなったとEU加盟各国から確約を得たため、総選挙に応じると姿勢を変更した。

コービン党首は採決後、「この総選挙はイギリスを変革し、国民を抑圧している既得権益を倒す一世一代のチャンスだ」と語った。国民の「貧困状態を悪化させた」「この破壊的な政府」を打倒すると述べ、「この国が今まで見たこともないような、最も野心的で先鋭的な選挙戦を、今から開始する」と強調した。

しかし、党内にはEU離脱の是非を問う2度目の国民投票を行うべきだとの意見もあり、総選挙に反対する議員もいた。

採決ではコービン党首を含む労働党議員127人がジョンソン首相の法案を支持した。一方、100人以上が棄権したほか、11人が反対票を投じた。

「首相にふさわしくない」

ブレグジットの完全中止を求めている野党・自由民主党とスコットランド国民党(SNP)は、現在考えられる最善の方法が総選挙だとして、ジョンソン氏の法案を支持する姿勢を見せていた。

自由民主党のジョー・スウィンソン党首は、ジョンソン首相もコービン氏も「首相にふさわしくない」と述べ、自由民主党が次期政権を握ることも不可能ではないと語った。

スウィンソン氏はスカイニュースに対して、「私は次期首相になる身として(総選挙に)立候補する。この不安定な政情ではそれが可能だ」と述べた。

一方、SNPのカースティー・ブラックマン議員は、スコットランドのEU離脱を阻止するためにあらゆることをするつもりだと発言。さらに「十年にわたる緊縮財政」の打開も目指すとしている。2016年の国民投票で、スコットランド住民は圧倒多数でEU残留を支持した。

ブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首は総選挙を歓迎。膠着状態が解消され、「ブレグジットがついに成功する見込みだ」とツイートした。

(英語記事 UK set for 12 December general election

関連トピックス

この話題についてさらに読む