人類の起源はボツワナ北部か、DNA分析で特定=研究チーム

ヘレン・ブリッグス、BBCニュース

Pan de Makgadikgadi, Botswana, Afrique Image copyright Getty Images
Image caption 人類誕生の地とされるボツワナ・マカディカディ塩湖。現在は塩田が広がっている

現生人類が20万年前にアフリカ南部のボツワナ北部で誕生したとする研究結果が28日、英学術誌ネイチャーで発表された。

オーストラリア・シドニーのガーヴァン医学研究所の遺伝学者、ヴァネッサ・ヘイズ教授らの研究チームは、コイサン人など現在アフリカで暮らす人々から採取した細胞のミトコンドリアDNA(母から子へと受け継がれるDNA)を分析。遺伝学と地質学、そして気象のコンピューター・シュミレーションを組み合わせることで、約20万年前のアフリカ大陸がどのような状況だったのかを描くことに成功したという。

人類誕生の地とされるのは、ザンベジ川の南側地域。現在は塩田が広がるが、かつては巨大な湖が存在したという。

研究者によると、同地域には人類が7万年住んでいたものの、その後の気候変動で肥えた緑の回廊が広がったことで、世界各地へと移動していったという。

ヘイズ教授は、「解剖学上の現生人類が約20万年前、アフリカで誕生していたことはしばらく前から明らかになっていた」と話す。

「我々の祖先が出現した具体的な場所と、その後の移動について、長年議論されてきた」

しかし、ヘイズ氏が導きだした結論に対し、他の研究者からは懐疑的な見方も出ている。

水辺の安住の地

議論の的になっている地域は、ボツワナ北部のザンベジ盆地だ。

研究者は、人類の祖先がマカディカディ塩湖として知られるアフリカの巨大な湖沼系の近くに住み着いたと考えている。この場所には、現在では塩田が広がっている。

「非常に広大な土地で、水が豊富で非常に肥えた土壌だったと考えられる。実際に、現生人類や野生動物が生き延びる上で適した生息環境だったようだ」とヘイズ氏は説明する。

Image copyright Chris Bennett, Evolving Picture, Sydney, Australia
Image caption ナミビア・カラハリで狩猟民族ジュホアンから火の起こし方を習うガーヴァン医学研究所の遺伝学者、ヴァネッサ・ヘイズ教授(中央の女性)

この地に7万年余り定住した後、人類は各地へと移動を始めた。降雨量の変化により、13万年前と11万年前に合わせて3度、「移動の波」が発生。第一陣は北東部へ、第二陣は南西部へと移動した。一方で残りは今日まで同地域に留まったという。

人類史の再構築

今回の研究結果をめぐっては、ある専門家はミトコンドリアDNAだけで人類の起源を再構築することはできないと指摘。一方、、東アフリカに住む人々の起源を知るヒントにな化石の発見をもとに、異なる見解を示す学者もいる。

今回の研究には関わっていない英ロンドン自然史博物館のクリス・ストリンガー教授は、現生人類「ホモ・サピエンス」の進化は複雑で、「現代のミトコンドリアの分布をもとに現生人類の起源の場所を1カ所に絞ることはできない」と、BBCニュースの取材で述べた。

「この研究はデータに溺れていると思う。ゲノムのごく一部しか用いておらず、我々の起源の全体像を示すことはできないので」

そのため、人類の起源は1カ所ではなく、まだ把握されていない場所が多数存在していた可能性がある。

人類の進化の過程

  • 約40万年前:ネアンデルタール人(現生人類の祖先と分岐したとみられる)、ヨーロッパからアジアにかけて出現
  • 約30万年前~約20万年前:ホモサピエンス(現生人類)、アフリカに出現
  • 約5万年前~4万年前:現生人類がヨーロッパに到達

(英語記事 Origin of modern humans 'traced to Botswana'