英与野党党首、最後の対決 総選挙に向け各党が活動開始

Boris Johnson
Image caption ボリス・ジョンソン首相は、労働党が政権を握った場合には「経済的な大惨事」が起きると警告した

イギリスのボリス・ジョンソン首相は30日、12月12日に行われる総選挙前で最後となる首相質問に臨んだ。最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、欧州連合(EU)離脱や国民保健サービス(NHS)政策などで首相を追及し、激しいやりとりが交わされた。

コービン党首は、NHSが発足以来で「最大の危機」に瀕していると指摘。有権者にとっては、次の総選挙がNHSを救う「一世一代のチャンス」だと述べた。

また、選挙活動期間中にテレビ討論で一騎打ちするようジョンソン首相に求めた。

これに対しジョンソン首相は、労働党が政権を握った場合には「経済的な大惨事」が起きると警告した。

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イギリスとEUは先に、ブレグジット(イギリスのEU離脱)の期限を2020年1月31日まで延期することで合意した。

協定法案の審議で膠着(こうちゃく)状態にある下院は29日、現状打破に向け12月12日に総選挙を行う法案を可決。上院は翌30日、わずか4時間の審議でこれを承認した。

イギリスでは毎週水曜日に首相質問が行われるが、議会は総選挙の5週間前に当たる11月6日に解散するため、この日が最後の首相質問となった。

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Image caption 労働党のジェレミー・コービン党首は、ジョンソン首相がNHSを崩壊させたと非難した

コービン氏は、ジョンソン首相がNHSを崩壊させたと非難。予算削減によってがんの治療や手術などでも患者の待機時間が延びたと指摘した。また、NHSの民営化が加速しているが、労働党が政権を握ったあかつきにはこれを覆すと述べた。

「NHSは人々をよくするためのもので、少数の富裕層をさらに豊かにするものではない。選挙でどちらを選ぶべきかはこれ以上ないほど明らかだ」

「有権者はこの選挙で、保守党と自由民主党による長年の予算削減、民営化、富裕層への補助金といった政策からの本当の転換を選ぶことができる」

これに対しジョンソン首相は、有権者が「はっきりとした選択」を迫られることには同意だと述べた。ただしその選択は、NHSに「類まれな」大金をつぎ込む保守党政権か、「経済を崩壊させる」労働党かだと語った。

ジョンソン氏は、コービン党首のブレグジットをめぐる「どっちつかず」の姿勢では「有害で退屈で無気力な」時間が長引くだけだと指摘。コービン氏は真の指導者ではないと揶揄(やゆ)した。

その上で、2020年は保守党政権の下では「素晴らしい年」になるが、コービン氏が首相となればEU離脱やスコットランド独立について再び投票を行うはめになると語った。

「それが未来だ。労働党の下でふらふらとうろたえるか、保守党と共に明るい未来へ進むか。それがイギリスが直面している選択肢だ」

イギリス総選挙、今後の予定

  • 解散総選挙法案は今後、48時間以内にエリザベス女王の裁可を経て、正式な法律となる見通し
  • 11月4日:10月末を持って退任するジョン・バーコウ下院議長の後任を決定する
  • 11月6日:日付が変わるとともに下院は閉会し、「解散」となる
  • 11月14日:午後5時に立候補者と投票所の情報が発表される
  • 11月26日:有権者登録の締め切り。また、郵便投票の申請もこの日の午後5時までとなっている
  • 12月12日:投票は午前7時から午後10時まで。その後、深夜から次の日にかけて開票が行われる

EU残留派の野党は協力へ

EU残留を訴える複数の野党はすでに、当選者を最大限に出すために立候補者を調整する方針だ。

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Image caption 自由民主党のジョー・スウィンソン党首はブレグジットの完全中止を掲げる

ブレグジットの完全中止を掲げる自由民主党のジョー・スウィンソン党首は、「少数の議席」についてこうした「調整」を行う用意があると話した。

その上でスウィンソン党首は、「首相候補として、ボリス・ジョンソンとジェレミー・コービンを倒すつもりだ」と、対決姿勢を表明。「我々にはブレグジットを食い止め、イギリスにより良い、輝かしい未来をもたらす野心的なビジョンがある」と語った。

緑の党のジョナサン・バートリー共同党首も、自由民主党やウェールズ党プライド・カムリと協議を進めていると認めたものの、「まだ何も決まっていない」としている。

一方、スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相(スコットランド国民党、SNP)は、この総選挙はスコットランド独立をめぐる2度目の住民投票への道を開くと話した。

これに対しスコットランド保守党は、イギリス残留を求めて選挙戦に臨むとしている。

50人以上が再選狙わず

こうした中、これまでに50人以上の下院議員が次の選挙に立候補しないと発表している。

保守党のニッキー・モーガン文化相は再選を狙わないと発表した際、議員生活が自分の家族に「明らかな影響」を与えたと説明した。

「現代の下院議員として職務に当たる中で受けた虐待は、究極的には、議会がなすべきことをできていれば報われるものだった。それは公的生活を送るすべての人を代表し、有権者の意思を尊重し、国益のための決定を行うことだ」

イギリスでは近年、議員への脅迫が激化し問題となっている。

保守党政権で閣僚を歴任したアンバー・ラッド氏も再選を狙わないと発表。ラッド氏は9月にブレグジットをめぐる議会採決で造反し、保守党を離れている。

このほか、ジャスティン・グリーニング元教育相やクレア・ペリー元閣外担当相など、保守党の有力な女性議員が立候補しないと発表した。

また、閣僚経験者のサー・アラン・ダンカンは、27年間の議員生活に幕を閉じると表明。「反ソーシャルメディア」で行われている「下品」な政治的な議論がきかけとなったと話した。

(英語記事 Leaders in pre-election clash on NHS and economy / Corbyn in election pitch against 'corrupt system'

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