米政府、パリ協定離脱を正式通告 気候変動対策に暗雲

Trump, speaking here at a conference in Pittsburgh, has vowed to deregulate the oil and gas industry Image copyright Reuters
Image caption トランプ米大統領はピッツバーグの集会で、石油とガス関連産業の規制を緩和すると述べていた

アメリカは4日、気候変動への国際的な取り組みを決めた2015年の「パリ協定」からの離脱を正式に国連に通告した。これにより、アメリカは世界で唯一、同協定に参加していない国となる。

ドナルド・トランプ米大統領は2017年6月にパリ協定から離脱すると宣言。マイク・ポンペオ国務長官は今年10月、パリ協定がアメリカに「不公平な経済的負担」を強いていると述べて、離脱を正式通告する計画を発表していた。

離脱のプロセスは1年を要し、大統領選の翌日に当たる2020年11月4日に正式な離脱となる。

「現実的なダメージ」

パリ協定は、地球の気温上昇を産業革命前と比較して2度未満に抑え、1.5度未満に抑えるための取り組みを推進するもの。

2015年12月にパリで開催された国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択され、現在、アメリカを含めて188カ国が参加している。

アメリカの離脱により、欧州連合(EU)は合意内容を実現するために相当の努力を要することになった。

シンクタンクの国際・欧州問題研究所は昨年12月に発表した報告書で、トランプ大統領による離脱決定はパリ協定に「非常に現実的なダメージ」を与え、「他国が追随する倫理的・政治的な理由」を作り出したと指摘。

パリ協定に署名したものの、自国での批准はしていないロシアやトルコの例を上げている。

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アメリカ政府は、同協定の離脱を通告できる最初の日にこれを実行した。一方、実際の離脱は来年の大統領選の結果にかかっている。もしトランプ氏が敗北すれば、勝者が離脱の是非を決定できる。

しかし科学者や環境保護活動家からは、それまでの間にトランプ政権が気候変動への対策におよぼす影響を懸念している。トランプ氏がアメリカの環境保護法を次々と「見つけては破壊」しようとしていると批判する声もある。

「パリ市民の代表ではない」

トランプ大統領はアメリカをエネルギー超大国にすると約束。ガスや石油、石炭の生産コストを削減するため、多数の汚染対策法を破棄しようとした。

また、バラク・オバマ前大統領の環境計画はアメリカのエネルギー業界に対する戦争だと指摘していた。

昨年にパリ協定から離脱する意向を示した際には、「私はパリではなくピッツバーグの市民を代表するために選ばれた。アメリカの国益にならない協定からは離脱するか再交渉を行うと約束する」と述べている。

しかし報道によると、トランプ政権はパリ協定について再交渉の努力をせず、離脱可能な日を待っていたとみられている。

アメリカは世界の炭素排出量の15%を占めている一方、気温上昇に対処しようとしている発展途上国にとっては重要な財政と技術の供給元でもある。

パリ協定の内容

気候変動、あるいは地球温暖化は工業や農業による排出ガスが原因とされている。パリ協定は、排出ガスによる気温上昇を制限することを目的に作られた。

  • 地球の気温上昇を、産業革命前と比較して2度未満より「かなり低く」抑え、1.5度未満に抑えるよう「さらに努力をする」
  • 2050~2100年の間に、人間の活動による温室効果ガスの排出量を、樹木や土、海洋が自然に吸収できる量に抑える
  • 各国の排出量削減への貢献度を5年に1度調査し、目標を上げていく
  • 気候変動に対応し、再生可能エネルギーへ切り替えるための「気候資金」を、先進国から途上国に供給する

(英語記事 US notifies UN of Paris climate accord withdrawal

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