香港は「法の支配が崩壊寸前」 衝突激化で警察が警告
香港中文大学では、学生たちが火炎瓶を投げ、警官隊は催涙ガス弾を発射するなどした
香港の警察当局は12日、法による支配が「完全な崩壊の間際」に迫っていると警告を発した。香港では民主化デモが5カ月以上続き、この日は大学で学生と警官隊の激しい衝突が発生した。
香港中心部では昼休みの時間帯に約1000人が路上に集まり、車両の通行を止めた。
職場の服装で参加した人々は、「自由のために戦う、香港とともに!」などと声を上げた。

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香港中心部のビジネス街では、職場の服装で集まった人たちが道路を封鎖した

警察はこの日だけで260人を逮捕。6月のデモ開始以来の逮捕者は3000人を超えた。
キャンパスで衝突
一方、香港中文大学では、学生やデモ参加者たちがキャンパス内にバリケードを設置。警官隊に向け、れんがや火炎瓶を投げた。これに対し、警官隊は催涙ガス弾とゴム弾を発射した。
香港城市大学でも、学生たちが構内と周囲の道路を封鎖し、警官隊が入れないようにした。バリケードとして置かれたバン型自動車が炎上する場面もあった。
学生と警官隊のにらみ合いは夕方まで続いた。

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香港中文大学における学生たちと警官隊の衝突は1日中続いた

香港理工大学でも、キャンパス付近の交通を妨害する動きがあった。
こうした動きを受け、8つの大学が13日の休校を発表した。
「暴徒による無差別の暴力」
警察の報道官は12日午後の記者会見で、「暴徒たちが場当たり的で無差別な暴力を罪のない(人々)にふるっている無数の例」があるとして、デモ参加者たちを批判。
「香港の法の支配は、完全に崩壊する間際まで追い込まれている。マスクをした暴徒たちは危険を顧みずに暴力を激化させ、責任を逃れられると思っている」と話した。
また、中国政府の支持者が11日に反政府の抗議者によって火をつけられた事案について、殺人未遂事件として捜査を進めていると明らかにした。
警官の発砲を擁護
この記者会見では、警察官が11日にデモ参加者に発砲したことについて、警察幹部が警察官の判断を擁護した。
「私たちの同僚は1人からの脅威だけでなく、銃を奪おうとたくらんだ集団からの脅威に直面したことが判明した」
「こうした状況では、警察は自らと周囲の人々を守るため、ガイドラインに沿って対応している」
デモ参加者が警官に撃たれた様子、フェイスブックで配信 香港
警察官に撃たれた人と、抗議者によって火をつけられた人は共に入院中。火をつけられた人は重体となっている。
ショッピングモールでも
朝のラッシュ時間帯には、鉄道の運行が中断されたほか、道路封鎖により大規模な渋滞が発生した。正午近くになると、反政府の抗議者たちは香港中心部のビジネス街に移動し、突発的なデモ行為を繰り広げた。
抗議活動は午後も続いた。ショッピングモール「フェスティバルウォーク」では、デモ参加者がクリスマスツリーに火を放った。ハンマーでガラスを割る人たちもいた。

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ショッピングモールではクリスマスツリーに火が放たれた

BBCワールドサービスのグレイス・ツォイ記者は、「香港最高レベルの大学が戦場になった」、「警察は11日、キャンパスに警官隊を出動させており、戦略を変えたと思われる」と報じた。
また、「何十人もの学生がけがをした。少なくとも1人は、突起物で目を突かれた。夜に入っても、学生たちは降伏しないと誓っている」と伝えた。