マレーシア航空機撃墜、「ロシア高官の指示」=国際捜査チーム

An investigator inspects the wreckage of flight MH17 Image copyright Reuters
Image caption 撃墜されたマレーシア航空MH17便(ボーイング777型機)の残骸

2014年にマレーシア航空の旅客機が撃墜され、乗っていた298人全員が死亡した事件で、国際合同捜査チーム(JIT)は14日、撃墜に関与したウクライナ東部の分離派指導者に、ロシア政府高官が指示を出していたとみられると発表した。

オランダ主体のJITによると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の最側近が、ウクライナの反政府勢力と定期的に連絡をとっていたという。

JITによると、このロシア政府高官は、ウラジスラフ・スルコフ元副首相と、ロシアが2014年に一方的に併合したクリミアのセルゲイ・アクショノフ首相の2人。また、複数の電話のやりとりの中で、セルゲイ・ショイグ国防相の名前も挙がっていたという。

ロシア人らが関与

オランダのアムステルダムからマレーシアのクアラルンプールに向かっていたマレーシア航空MH17便(ボーイング777型機)は2014年7月、反政府勢力が支配するウクライナ東部の上空を飛行中にミサイルに撃墜された。

オランダ人193人、マレーシア人43人、オーストラリア人27人、インドネシア人12人、イギリス人10人、ベルギー人4人、ドイツ人4人、フィリピン人3人、ニュージーランド人1人、カナダ人1人が犠牲になった。

JITはロシア人3人とウクライナ人1人が撃墜に関わったと結論づけ、今年6月、4人を殺人罪で起訴した。

裁判は被告の出廷の有無にかかわらず、2020年3月9日にオランダで開かれる予定。

ロシアは、こうした事件の捜査や起訴は同国の信用を傷つけるためのものだと非難している。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、JITはあらかじめ決めておいた結論につじつまを合わせるために内容を操作していると述べ、JITの主張を一蹴した。

4人の容疑者

JITや検察によると、殺人の疑いがかけられているのは次の4人。

  • イゴーリ・ギルキン容疑者――ロシア連邦保安局(FSB)の元大佐。ウクライナの反政府勢力が支配していた東部ドネツクで、防衛相の役割を担っていた。本人は事件への関与を否定している。
  • セルゲイ・ドゥビンスキー――ロシア参謀本部情報総局(GRU)の職員。ロシアと定期的に連絡を取っていたギルキン容疑者の代理役だった。
  • オレグ・プラトフ――GRU特別部隊の元兵士。ドネツクで諜報部門のナンバー2だった。
  • レオニド・ハルチェンコ――唯一のウクライナ人。ウクライナ東部で反政府の戦闘部隊を指揮していた。

捜査チームの主張

JITは、ロシアを旅客機撃墜に直接結び付けてはいないものの、盗聴された電話の音声では、被告4人のうち2人とやりとりを交わしていたとされる。

この電話音声では、MH17便についての言及は確認できない。しかし、JITはロシア政府当局者は地上で何が起きているかを把握していて、ウクライナの親ロ派が一方的に独立を宣言したドネツク人民共和国(DPR)における「行政、財政および軍事問題」に影響を与えていたと考えている。

JITは捜査の結果、撃墜に使われた地対空ミサイルは、ロシア南西部クルスクの同軍第53旅団からウクライナ東部に運び込まれたとしている。

Image caption MH17便の航路。オランダのアムステルダムを2014年7月16日の午前10時31分に離陸した飛行機は、同午後1時20分にウクライナのドネツク近郊で交信したのを最後に墜落した

ロシアが装備品準備か

JITは、ロシア連邦保安局(FSB)が、ウクライナの反政府勢力に対し、盗聴されない電話などの装備品を用意したとみている。

セルゲイ・ドゥビンスキー氏は、セミョノフという名前の人物への電話で、「これは特別な電話で、買うことはできない。モスクワから手に入れた。FSBを通じてね」と述べたとされる。

電話の内容は

DPR指導者は誰かに指示されたものではなく、自発的に行ったと主張しているが、JITは複数の証人から、ロシア政府による指示があったとの証言を得たという。

JITによると、DPRの元トップ、アレクサンドル・ボロダイ氏は電話で、「私は、命令を実行し、ただ1つの国家であるロシア連邦の利益を守っている。それが最終的に重要なことだ」と述べたという。

事件6日前の携帯電話でのやりとりを盗聴したとされる音声では、ボロダイ氏とスルコフ元副首相が、ロシアの軍事支援について相談していたとされる。

(英語記事 'Russia directed rebels' accused in MH17 disaster

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