英軍に戦争犯罪の疑い BBCの取材で新情報、ICCが捜査も

British soldiers approach a Chinook helicopter in the Nahr-e Saraj district, Helmand Province, Afghanistan Image copyright PA
Image caption アフガニスタンに展開した英軍部隊

イギリス軍部隊による戦争犯罪の疑いについて、国際刑事裁判所(ICC)が初の捜査に乗り出す可能性が出てきた。BBCの調査報道を受けたもの。

BBCが18日夜(日本時間19日午前)放送する番組「パノラマ」は、英軍部隊がイラクとアフガニスタンで民間人を殺害し、それを国が隠ぺいしてきた証拠をつかんだ。

ICCはこの新証拠を非常に深刻に受け止めているとした。英国防省は、疑惑は立証されていないと述べている。

同省はICCに全面的に協力したとし、ICCがさらに介入する理由は見当たらないと述べた。

殺害めぐる新情報

ICCはこれまでも、英軍部隊が戦争犯罪に関与したことを示す、信用できる証拠があると結論づけていた。

疑惑の大半は、拘束した人々を不当に扱ったとされるもの。

最もよく知られているのが、イラク南東部バスラのホテル従業員バハ・ムサ氏のケースだ。ムサ氏は2003年、英軍部隊により拷問を受け殴打され死亡した。

Image caption 今回新たな虐待疑惑が浮上したイラクのキャンプ・スティーヴン

イラクでの公的機関による捜査の結果、英軍兵士1人だけが、戦争犯罪で有罪となった。

しかし今回、パノラマは英紙サンデー・タイムズとの共同取材で、英軍に拘束されていた人々の殺害疑惑に関する新たな情報を入手した。

それは、イラク歴史的疑惑チーム(IHAT)の捜査官らが、ムサ氏が殺害される3カ月前にバスラの英軍基地で虐待が横行していた証拠を見つけたというものだ。IHATは、英軍によるイラク占領時の戦争犯罪疑惑について調べている。

2人は虐待後に死亡?

虐待があったとされるのは、ロイヤル・スコットランド連隊の第3大隊ブラック・ウオッチが管理していたキャンプ・スティーヴン。

IHATは、2003年5月の1週間以内に、2人が相次いで死亡した件について捜査した。英国防省はこの2人が罪のない民間人だったと認めている。

IHATは英軍兵士と職員らから証言を収集。2人は頭部に袋をかぶせられた状態で死んでいるのが発見されたが、その前に虐待を受けていたとの供述を得た。

英検察は訴追せず

英軍の検察当局は今年夏、2人の死亡をめぐっては、誰も訴追しないと決定した。

元検察幹部のケン・マクドナルド卿は、パノラマが入手した証拠を見た後、誰も訴追されなかったのは「がく然とする」と述べた。

「これらの男性が亡くなる前、身体的に虐待されていたのはかなり確率が高い。その結論がだいぶ明らかになってきたのではないか」

「すでに調査した」

一方、ドニミク・ラーブ外相は17日、「証拠を伴うすべての申し立てについては調査をした」とBBCに述べた。

英国防省は、作戦は法律に則って実行されており、申し立てに対しては広範囲な調査がなされたとしている。

同省報道官は、「調査と訴追の決定は、国防省からは正当に独立してなされるものであり、外部の監察や法的助言も受けている」とBBCに話した。

また、「指摘のあった事案について慎重に検討した結果、独立した検察当局が訴追しないと決定した」と説明。

「BBCの訴えは警察および検察当局に伝達した。当局が申し立てを検討する可能性はある」と述べた。

(英語記事 War crimes court considers probe into UK army

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