香港警察が大学包囲 構内に「強硬派」残るが物資不足も 

Protesters run on a street during an attempt to leave Polytechnic University Image copyright Getty Images
Image caption 香港理工大学から脱出しようとするデモ参加者たち

反政府・民主化デモが続く香港では、デモ隊が立てこもった香港理工大学(PolyU)を警官隊が包囲している。19日午後の時点で、「強硬派」約100~200人が構内に残っているものの、中にはオートバイに乗ったり、橋からロープをつたって降りたりして脱出した人もいるという。

19日早朝には、18歳未満の生徒200人が、高校の校長など教育関係者に付き添われ、大学構内を出た。当局は未成年の生徒たちの身元を確認し、記録した上、釈放した。ほかに大人約100人が構内を出たところ、ただちに逮捕された。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストのサイトによると、大学構内を出た抗議参加者の一部は、低体温症になったり、脚にけがをしたりしている。投降した1人は、「寒さと空腹」のため出ることにしたと話し、構内に残る多くも「負傷しているものの、医薬品が足りていない」と明らかにした。

ロイター通信によると、大学から出た16歳の若い女性は「投降することにした」と述べ、「昨日の朝から逃げようとしていたけれども、どうやって外に出たらいいか分からず、逮捕されるのが怖かった。必死だった」と話したという。

警察はデモ参加者に対し、武器を捨てて投降するよう呼びかけている。当局によると、17日夜に香港理工大学で起きた衝突では116人がけがをした。

Image copyright Reuters
Image caption 香港理工大学を脱出して手当てを受ける抗議参加者たち

中国が香港高裁を批判

警察はこれまで大学や学校での摘発を控えていたが、12日に香港中文大学に立ち入って以降は、大学を舞台にデモ参加者との衝突が続いている。

こうした中、香港の高等裁判所は18日、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が10月に発令したデモ参加者のマスクや覆面の着用を禁止する「覆面禁止規則」は違憲に当たるとの判断を下した。林鄭行政長官は、植民地時代の緊急状況規則条例(緊急条例)を発動してこれを制定したが、デモ参加者は従わなかった。

しかし、中国政府は19日、この高裁判断を批判し、「覆面禁止規則」は「(香港の憲法に相当する)香港基本法に適合している」と指摘する談話を出し、これを判断できるのは中国の国会に相当する全国人民代表大会常務委員会だけだと強調した。その上で中国は、香港の高裁判決は「香港政府の管理統治権を大幅に弱める」と批判した。

お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
香港でなぜ抗議が続くのか アイデンティティーの危機

<関連記事>

物資枯渇

香港理工大学大学内のデモ参加者はBBCの取材で、救急用品などの物資が枯渇してきていると話した。

BBCのロビン・ブラント記者はツイッターで、デモ参加者が構内から逃げ出そうとしたところを警察に逮捕された様子を報じた。

一方、大学に近い尖沙咀では18日夜、学生の親たち200人以上が座り込みで抗議を行った。民主派活動家で議員だった羅冠聰(ネイサン・ロー)氏は、「動揺する200人以上の親が、理工大の外で座り込み、自分の子どもに会いたいと願っている。数百人の学生がまだ理工大の構内に閉じ込められていて、親たちは何もできない。待つしかできない」とツイートした。

香港の公共放送・香港電台(RTHK)は、香港政府は先週末の衝突を受け、24日に予定されている区議会(地方議会)議員選挙を「開催できる機会が減った」と述べたと報じた。ただ、選挙の延期や中止により、さらにデモが激化する可能性もある。

イギリス政府は香港に対し、選挙を前に「暴力を辞め、全ての関係者が意味ある政治的対話に参加する」よう呼びかけている。ジェレミー・ハント前外相はBBCの取材で、一部のデモ参加者が「中国との軍事衝突を引き起こそう」としていると批判した。

また、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官も、「香港政府には香港に静けさを取り戻すという重要な責任がある。警察当局の努力だけでは政情不安や暴力は解決できない」と話している。

Image copyright Reuters
Image caption 大学から逃げ出そうとしたデモ参加者は警察に逮捕された

<解説> 涙と誇り ――グレス・ツォイ、BBCニュース(香港)

香港理工大学に閉じ込められた学生を心配した親たちが18日夜、平和的なデモ行進に参加した。参加者は約200人、場所は大学から約300メートルしか離れていない観光地区の尖沙咀だ。

デモ行進に参加したエンさんは、17日夜に18歳の息子が大学構内に取り残されていることを知ったという。それから、エンさんはずっと大学の近くで息子を待っている。

「息子は一人きりで危険な状況に直面したことがないから、怖がっている」とエンさんは目に涙をためて話す。

一方で、こうした状況にあっても、息子を誇りに思っていると言う。

「息子は泣かなかった。強くて、他人を助けようとする子だ。息子には、あなたは何も悪いことはしていないし、素晴らしい子だから、怒らないと話した」

エンさんは息子に、大学構内に残って迎えにいくまで待つように伝えたという。エンさんは、香港の混乱の責任は政府にあると考えている。

「香港政府はどんどん無謀になっている。市民からの最低限の要求さえ無視する! 私は香港生まれじゃないけど、とても香港を愛している! 香港は素晴らしい場所なのにこんなことになってしまって、胸が痛む!」

(英語記事 HK protesters use rope ladders to flee siege

関連トピックス

この話題についてさらに読む