香港の行政長官、「広い心で市民の声を聞く」 区議会選での敗北受け

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Image caption 香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は急激に支持を失いつつある

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は25日、区議会選挙の結果を受け、政府は広い心で市民の声に耳を傾けると述べた。24日に行われた区議会選では、民主派が地すべり的勝利を果たした一方、親中派は大きく議席を減らした

地元メディアの集計結果によると、民主派は全18地区のうち17地区で勝利した。投票率は71%超と、過去最高を記録している。

この選挙は、6月から続く民主化・反政府デモをめぐる林鄭長官や政府の対応について国民の意思を問う選挙として注目されていた。

25日にウェブサイトで発表された声明で林鄭長官は、政府は選挙結果を尊重すると述べた。

結果については「さまざまな分析や解釈がある」としたものの、「現状や社会に深く根付いた問題に対する市民の不満を表しているとする見方が多い」と話した。

その上で、「政府は市民の意見を真摯(しんし)に聞き、真剣に反映させる」と語った。

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Image caption 選挙結果を受けて喜びの声をあげる民主派の市民

犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改定案をきっかけに始まった抗議活動は、より幅広い反政府・民主化デモへと発展し、収束の気配はない。

警察はデモ参加者の制圧に実弾を使用し、複数のけが人が出ている。一方、デモ参加者も警官を襲撃しており、親中派の市民が火をつけられる事件も発生した。

こうした中で行われた24日の区議会選は、林鄭長官の危機への対応について市民が是非を問う投票となった。投票は目立った騒ぎもなく、平和裏に行われた。

香港政府と中国政府は、この選挙では「物言わぬ大衆」からの支持を得られると期待していたものの、実現しなかった。

一方で、親中派の有力議員が相次いで落選した。

香港の今後は?

区議会議員の政治的権力は小さく、ごみ収集やバス路線といった各区の問題に取り組む。そのため、通常は区議会選にはそれほど注目が集まらない。

しかし香港の選挙法では、区議会議員のうち117人が、行政長官の選出に関わる選挙委員会(定数1200)に参加することになっている。

これまでは全18地区を掌握していた親中派からこの117人全員が選出されていたものの、今回、民主派が地すべり的勝利を収めたことで、民主派からの選挙委員会参加が見込まれている。

さらに、今回の選挙結果は非常に象徴的なものとなった。

暴力行為が加速するにつれ、市民のどれほどがデモ参加者を支持しているのかはっきりしていなかった。当局は、この選挙によってデモ参加者を小さな過激派グループ扱いできるようになるのではないかと期待していた。

しかし実際には、多くの選挙区で、初出馬の若い立候補者が政府を支持する大物議員を破った。その多くは、デモ参加者への支持を公にしていた立候補者だった。

民主運動家からは、野党が圧倒的勝利を収めたことで、デモ参加者の要求に政府の耳を傾けさせられるのではないかという期待の声があがっている。

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中国政府の反応は?

中国政府は今回の選挙について声明を発表していない。しかし、来日中の王毅外相は、都内で安倍晋三首相と会談後、「何が起ころうとも香港は中国の一部だ」と記者団に話した。

「香港を混乱させようとしても、香港の繁栄と安定を傷つけようとしても、そのような動きは一切成功しない」と外相は述べた。

中国の国営メディアも、結果の報道には慎重だ。

新華社通信はまだ選挙結果を伝えていない。環球時報の英語版は、選挙は平和裏に行われたと報じる一方、結果は「異例」な状況によるものだと説明。逃亡犯条例をめぐる不安定な政局によって、民主派が票を動かしやすかったのだとしている。

同紙はさらに、「西側勢力」が野党を手助けした疑いがあると報じている。

投票に先駆け、中国の国営メディアは香港市民に対し、親中派の議員に投票することで安定を取り戻し、不安定な情勢に反対するよう呼びかけていた。

(英語記事 HK leader will 'seriously reflect' after election

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