「お互い知っている」 英王子による性被害主張の女性、BBCが取材

17歳のときに英王室のヨーク公アンドリュー王子との性交を強制されたと訴えているアメリカ人女性が、BBCの調査報道番組「パノラマ」のインタビューに応じた。
英メディアに初めて登場したヴァージニア・ジュフリー(旧姓ロバーツ)氏は、米富豪ジェフリー・エプスティーン被告(故人)の性的人身取引疑惑で被害を訴えている1人。17歳だった2001年、被告と親交のあったアンドリュー王子と無理やり性的関係を持たされたと訴えている。
ジュフリー氏はインタビューで、自分もアンドリュー王子も「何が起きたかお互い知っている」と話した。
一方アンドリュー王子は、今月16日に行われたBBCの報道番組「ニュースナイト」のインタビューで、ジュフリーさんと性的関係を持ったことはないと「きっぱりと」否定している。
王子はその後、スキャンダルを受けて公務を控えると発表した。
(編集部注・ Jeffrey Epstein被告の姓は、日本語メディアで「エプスタイン」と表記されることもありますが、BBCでは当人を知る関係者たちの発音に近い「エプスティーン」と表記しています)
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ジュフリー氏は2001年と2002年に計3度にわたり、ロンドンとニューヨーク、そしてヴァージン諸島にあるエプスティーン被告所有の島で、アンドリュー王子との性行為を強要されたと主張している。
バッキンガム宮殿はこの疑惑について、「事実に反しており、根拠がない」としている。また、アンドリュー王子もBBCの取材で、そうしたことは「起きたことがない」と話していた。
1時間におよぶ「パノラマ」のインタビューでジュフリー氏は、「人生の中でも特に恐ろしい体験だった」と語った。
「彼は何が起きたか知っている。私も何が起きたか知っている。でも真実を話しているのは片方だけだ」
このインタビューは、アンドリュー王子のインタビューより先に撮影されたが、12月2日にBBC Oneで放送予定だ。
アンドリュー英王子、未成年女性との性行為を否定 BBC取材
アンドリュー王子は、エリザベス女王の第三子。2001年から2011年までイギリスの国際貿易担当特使を務めていた王子は2010年暮れ、ニューヨークのセントラルパークでエプスティーン被告といるところを撮影された。
当時の被告はすでに未成年を売春に勧誘・斡旋(あっせん)した罪で有罪を認めた後だったため、アンドリュー王子は当時も、被告との交際を批判された。
王子はこれらの件についてBBCの取材に応じ、すでに性的犯罪で有罪となっていたエプスティーン被告の家に滞在したことは「過ち」だったと認めた。
一方で、被告との友人関係は後悔しておらず、「非常に良い成果もあった」と説明。また、ジュフリーさんについてはまったく覚えていないと述べたほか、ジュフリーさんと共に写っている写真が本物かどうかについても疑念を示した。
王子のインタビューが放送されると、こうした発言に多くの批判が集まった。またスキャンダルを受け、アンドリュー王子とつながりのあった大学や慈善団体、企業などが次々と関係の解消を発表していた。
その後、公務を控えると発表したアンドリュー王子は自身のウェブサイトに掲載した声明で、「判断を誤りジェフリー・エプスティーンと関わったことについて、これまでと同様にはっきり後悔し続けている」と説明した。
「彼の自死によって多くの疑問が残った。特に被害を受けた人たちには。影響を受け、何らかの締めくくりを望んでいるすべての人に深く同情している。今はただ、こうした人たちが人生を立て直せることを願うことしかできない」と王子は書き、「必要ならば、適切な法執行当局の捜査に協力する用意がある」と表明している。
アンドリュー英王子のインタビュー、幕引きになるはずが 批判と嘲笑と
ロンドン警視庁の方針変わらず
ロンドン警視庁は28日、2001年にエプスティーン被告にロンドンで人身売買させられたとジュフリー氏が訴えている件について、捜査しないという従来の決定は変わらないと発表した。
警視庁は、今年8月にエプスティーン被告がニューヨークの拘置所で死亡した後、この決定の見直しを進めていた。
アレックス・マリー警視監は、法律上の助言を受け、「本件の人身売買捜査は、イギリス国外での活動や人間関係に集中するものになると、明確になった」と説明し、「我々の立場は変わらない」と述べた。