イラク議会、アブドルマフディ首相の辞任を承認 反政府デモ拡大で

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Image caption 反政府デモは首都バグダッドなどで1日も行われた

2カ月にわたり反政府デモが続くイラクで1日、臨時議会が開かれ、アーディル・アブドルマフディ首相の辞任が承認された。アブドルマフディ氏の後任は未定。

イラクの現行法では、国会議員による首相の辞任の扱いについては明確な規定がない。しかしAP通信によると、1日の臨時議会では、議員らは最高裁の法的見解に基づいて判断を下した。

憲法に基づき、バルハム・サリフ大統領が新首相を指名することとなる。報道によると、アブドルマフディ政権は新政権が発足するまでの間、現在の地位にとどまるという。

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Image caption アーディル・アブドルマフディ首相側は10月29日、辞意を表明した(写真は10月23日)

今年10月に開始した反政府デモでは、首都バグダッドや他の複数都市で約400人が死亡、数千人が負傷している。イラク国民は雇用機会の拡大や、政治的腐敗の撲滅、そして公共サービスの改善を要求している。

デモ隊と治安当局との衝突は、バグダッドや南部ナジャフなどで1日も続いた。

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Image caption デモ隊は「イランはイラクから出て行け」と繰り返しながら、領事館に火を放った(27日、イラン南部ナジャフ)

辞任の背景

アブドルマフディ首相側は10月29日、イラク国内で影響力をもつシーア派聖職者トップからの求めに応じ、議会に辞表を提出する意向だと発表した。

大アーヤトッラー(シーヤ派高位の宗教学者、ウラマーに与えられる称号)のアリ・アル・スィスターニ氏は、デモ隊への武力行使を非難し、議員に対して政府への支持を撤回するよう求めた。

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Image caption 1日の南部ナジャフでの反政府デモ

前日には40人以上が殺害され、反政府デモの開始以降、最悪の日となった。

警察官に死刑判決

デモ隊は1日、デモの犠牲者を悼むために黒い服に身を包み、南東部の港湾都市バスラの路上を占拠した。

これは、バグダッド南東部ワシト州でデモ参加者を殺害したとして、警察官1人に死刑判決が下されたという国内報道を受けての行動だった。報道によると、他の警察官1人にも7年の禁固刑が言い渡されたという。

報道内容が事実だとすると、2カ月におよぶ政情不安をめぐり警察官に死刑が宣告されるのは初めて。

ローマ教皇が非難

ローマ教皇フランシスコ1世は、イラクの治安部隊による殺傷能力の高い武器の使用を非難している。

毎週行われている日曜日の礼拝で、ローマ教皇は、イラクの状況を「懸念」し見守っており、「ここ数日間の抗議デモで、数十人の犠牲者を出した厳しい対抗措置があったことを知り、辛く思う」と述べた。来年、イラクを訪問する意向という。

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2019年の世界で相次いだ抗議デモ 共通項は

実現しない改革への不満

イラクでは昨年10月末に、アーディル・アブドルマフディ政権が発足した。新首相は様々な改革を約束したものの、高い失業率や政府汚職の蔓延(まんえん)、不十分な公共サービスは改善されず、住民の不満は募る一方だった。

今年10月1日に、若者を中心としたデモが首都バグダッドで始まった。治安部隊がこれを強硬に取り締まると、抗議行動も激化して国内各地に広まった。

まず6日間にわたり続いた一連のデモでは、市民149人が死亡。アブドルマフディ首相は内閣改造や政府高官の減給を約束し、若者の失業率改善のための施策を発表した。

これに対して抗議者たちは、要求への対応が不十分だと反発し、10月末に抗議行動を再開した。治安当局が殺傷能力のある武器を使用して応戦したことから、デモは激化し、イラク全土へと拡大した。

当局は、デモ隊との衝突で、治安部隊十数人以上が死亡したとしている。

(英語記事 Iraq PM's resignation accepted amid unrest

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