「GDPに代わる幸福度の指標を」 アイスランド首相が提起

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Image caption アイスランドなど北欧諸国では、家庭を重視した政策が評価されている

アイスランドのカトリン・ヤコブスドッティル首相が、経済成長の指標にとらわれない、環境や家庭を重視する予算編成を、各国政府に呼びかけている。

ヤコブスドッティル氏の考えには、英スコットランドのニコラ・スタージョン自治政府首相、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相も共鳴。全員が「ウェルビーイング(well-being、幸福)」政策の推進を掲げている。

ヤコブスドッティル氏は、従来の国内総生産(GDP)の数値に代わる新たな指標が必要だと、ロンドンの王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)で演説した。

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Image caption アイスランドのヤコブスドッティル首相は、現代社会が抱える問題には新たな経済思考が必要だと訴える

ノーベル賞学者もGDP批判

ノーベル経済学賞を受賞した米コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授を含め、経済学者の中にはGDPについて、気候変動や格差、デジタルサービスなどの現代社会特有の現象の影響を反映していないと批判する人がいる。

スティグリッツ氏は先月、英紙ガーディアンで、2008年の金融危機は「一般的に使われている指標の欠陥を究極的に示したものだった」と述べた。

GDPは、この危機の引き金となった米住宅バブルのゆがみを明らかにできなかったとされる。

ウェルビーイングの重視

人口約35万人のアイスランドがGDP以外の指標を必要としている大きな理由は、環境問題における危機だと、ヤコブスドッティル氏は言う。

同氏はチャタム・ハウスの演説で、アイスランドのオクヨクットル氷河の消滅を強調。この消滅については、科学者たちが地球温暖化によるものとしている。

「ウェルビーイング」重視の予算編成は、発展国と途上国にとって同等に適切かとの質問に対しては、「公共の予算にどう優先順位をつけるかだ。どんな時でもウェルビーイングに力点を置くことは可能だ」と答えた。

そして、途上国は発展国のように二酸化炭素(CO2)を排出する工業化の道を進むのではなく、再生可能エネルギーの利用に「思い切る必要がある」と述べた。

アイスランドの課題

経済活動に重点を置くGDPは、生活の質や、格差による社会的悪影響などの要素が反映されにくい。

2017年から現職のヤコブスドッティル氏は、アイスランド詩人の、「妻とのセックスはGDPにカウントされないが、売春婦とのセックスはカウントされる」という言葉を紹介した。

「アイスランドは近隣国よりも抑うつ剤の使用量が多い。スポーツや芸術を通して(うつの)予防に力を入れる必要がある」と述べた。

(英語記事 Iceland puts well-being ahead of GDP in budget

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