米下院司法委、トランプ氏の弾劾条項を可決 本会議採決へ

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Image caption 下院司法委は14時間の審議を経て、弾劾条項2項目を可決した

米下院司法委員会は13日、ドナルド・トランプ米大統領に対する弾劾条項2項目を含む弾劾訴追決議案を、23対17で可決した。決議案は、野党・民主党が多数を占める下院本会議に送られた。下院本会議は来週にも、決議案を採決する。

弾劾調査を進めた下院情報委員会や同司法委員会などは10日、トランプ氏を大統領権限の乱用と議会妨害の2項目で弾劾する方針を示した。これを受けて司法委員会は12日、14時間にわたりこれを審議。13日にはわずか10分の手続きで、決議案を可決し、本会議に上程すると決めた。

アメリカ建国以来、憲法で定めらた弾劾手続きの対象になる大統領は史上4人目。上院の弾劾裁判によって罷免された大統領は、今のところいない。

トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、これまで通り弾劾手続きを「でたらめ」の「やらせ」だと攻撃。民主党が「弾劾をさまつなものにして」、「まったく間抜けな真似をしている」と述べた。トランプ氏はさらに、「この国にとって悲しいことだが、自分にとっては政治的にとても良いことのようだ」と話した。

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Image caption 司法委で投票する際に合衆国憲法を掲げる民主党のプラミラ・ジャヴァパル下院議員

2つの弾劾条項

下院司法委が可決した2つの弾劾条項の内、権力乱用の項目は、トランプ氏が来年の米大統領選で対立候補になるかもしれない民主党のジョー・バイデン前副大統領とその息子について、ウクライナに汚職捜査をさせようと働きかけたとする内容。トランプ氏は政敵に対する捜査の見返りに、軍事援助の凍結解除やホワイトハウスでの首脳会談の実現をウクライナの大統領に提示したしたとされる。

議会妨害の項目は、ウクライナへの働きかけについて下院が調査を始めると、トランプ氏が一貫してこれに抵抗し、妨害しようとしたという内容。

司法委の民主党委員たちは、トランプ氏が個人的利益のために大統領権限を利用し、それによって国の安全保障や国益を損なったとして、その一連の振る舞いは「国への裏切り」だと非難した。

司法委のジェロルド・ナドラー委員長(民主党)は決議案可決後に記者団に対して、このようなことをしなくてはならないのはアメリカにとって「厳粛で悲しい日」だと述べ、下院全体として「速やかに行動する」と約束した。

これに対して、弾劾手続きに反対する与党・共和党のマット・ゲイツ下院議員は、「民主党にとっては、弾劾がお気に入りの麻薬なんだ」と批判した。

下院本会議ではどうなる

激戦州から選出された一部の民主党議員が、本会議で弾劾決議案に賛成するかどうか迷っているという。しかし、現在の下院は民主党が233議席、共和党が197議席と、民主党が共和党より36議席多いため、本会議では可決に必要は過半数は獲られる見通し。

民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は12日、この歴史的な採決について、党議拘束するつもりはないと述べた。

上院ではどうなる

下院が弾劾決議案を可決した場合、上院は来年1月にも弾劾裁判を開き、トランプ大統領を無実と判断するものとみられる。

上院で多数を占める共和党の議会幹部は、騒ぎ立てることなく速やかに手続きを終わらせたい考えを示している。

トランプ氏は、バイデン前副大統領や、ウクライナのガス会社役員だった息子のハンター・バイデン氏の証人喚問を希望している。

共和党幹部のミッチ・マコネル上院院内総務は12日、保守派フォックス・ニュースに対して、上院の弾劾裁判でトランプ氏が解任される可能性は「ゼロ」だと言明した。

マコネル氏は、共和党の上院議員団はホワイトハウスの法律顧問たちと緊密に連携し、法的戦略を組み立てることになると話した。

「この間に私がやることのすべては、ホワイトハウス法律顧問と調整してやることになる。どう対応するかについて、大統領の方針と我々の方針は一致することになる」

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ビギナー向けに解説 弾劾調査とトランプ氏

トランプ氏の問題行動とは

下院民主党による弾劾調査は、情報機関の匿名告発者が今年9月に、トランプ氏とウクライナ大統領との電話会談に問題があったと議会に報告したことを機に始まった

ホワイトハウスが公表した通話記録によると、トランプ氏は7月25日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との電話で、来年の大統領選で対立候補になるかもしれない民主党のジョー・バイデン前副大統領とその息子について捜査するよう働きかけていた。

民主党が進めた調査で複数の関係者が証言したところによると、トランプ氏は政敵に対する捜査要求と引き換えに、すでに米議会が承認していたウクライナへの軍事援助4億ドルの凍結解除を提示したほか、ホワイトハウスでの首脳会談の実現を提示したとされている。

ロシアとの対立が続くウクライナはアメリカにとって重要な同盟国。そういう相手にトランプ氏が個人的利益のために圧力をかけたのは大統領権限の乱用だと、民主党は主張している。

トランプ氏はウクライナ政府に対して、バイデン親子の汚職疑惑を捜査するよう働きかけたほか、2016年米大統領選に介入したのはロシアではなくウクライナだという陰謀論を認めるよう要求したとされる。バイデン親子の汚職疑惑はウクライナ当局によって否定されている。ウクライナの選挙介入説は複数の米情報機関が一致して否定し、2016年選挙に介入したのはロシアだと断定している。

(英語記事 Key committee passes Trump impeachment charges

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