【英総選挙2019】 ブレア元首相、労働党首を批判 総選挙敗北で

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Image caption 1997~2005年に労働党党首をつとめたブレア氏は、総選挙の結果についてコービン党首を批判した

イギリスのトニー・ブレア元首相は18日、最大野党・労働党は選挙期間中、欧州連合(EU)離脱をめぐって「こっけいとも言える優柔不断さを発揮し」、「(残留派と離脱派)どちらの討論からも遠ざかった」と述べた。

元労働党党首として政権を率いたブレア氏は、ロンドンで演説。ジェレミー・コービン党首以外の指導者の下であれば、伝統的な労働党の支持基盤でより多くの議席を保持できたのではないかと語った。

12日に行われた総選挙で労働党は59議席を奪われ、1935年以来の大敗を喫した。特に、これまで労働党への支持が強かったイングランド北部の通称「赤壁」で議席を減らした。

1930年代から労働党が議席を持ち、ブレア氏が24年間守ったセッジフィールド選挙区も、保守党に議席を奪われた。

ブレア氏はこの結果が「我々を辱めた。我々はイギリスの期待に応えられなかった」と話している。

一方、BBCの報道番組「ニューズナイト」でのインタビューでは、「労働党はそのわがままによって、結果的にブレグジット(イギリスのEU離脱)を手助けしてしまった」と指摘した。

「我々の失敗ではない。失敗の原因はブレグジットを推進した人たちにある。しかし労働党の誤った主義主張と、ひどい無能さが招いたことだ」

コービン党首は17日、労働党議員に対して選挙での大敗の「責任を取る」と話し、「来年初め」にも党首を辞任すると述べている。

一方、リチャード・バーゴン影の法相などコービン氏擁護派は、ブレア氏の発言は物事を「簡略化しすぎている」と批判した。

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ブレア氏は1997~2005年に労働党党首をつとめ、3度の選挙戦を勝利した。ブレア氏はかねて、コービン党首の下で労働党が左傾化していることを批判してきた。

ブレア氏は演説で、、ブレグジットへの明確な立場を示さず、「40%以下の支持率しか持たない」党首の下で、「ブレグジット総選挙」という「ゾウのわな」に合意すべきではなかったと話した。

労働党は2017年の前回選挙では、EU離脱を支持するとしていた。しかしその後、影の閣僚などからの圧力を受け、離脱をめぐる2度目の国民投票を指示する方向に転換した経緯がある。

今回の選挙活動でコービン党首は、政権を奪取した場合にはEU離脱協定を交渉しなおした上で国民投票にかけ、その際にはEU残留も選択肢に入れるとしていた。

一方で、2度目の国民投票が決まっても、選挙期間中は残留と離脱どちらかを支持することはせず、「誠実な仲介業者」として両派をまとめる役を担いたいと話していた。

こうしたコービン氏の姿勢に対しブレア氏は、「もしコービン氏がブレグジットを支持しているとさえ言えば、彼の長きにわたるEU懐疑論と合致していた」と指摘。「もし政界で困難が訪れた時は、自分の信条で動いた方がいい。なぜなら少なくとも、擁護に説得力が出るからだ」と述べた。

また、自分は党首としてのコービン氏を批判しており、「個人」を攻撃しているわけではないと話した。

しかし、「国民は、コービン氏がイギリスや西側諸国が支持する価値観とは根本的に敵対していると思っている」と述べた。

ブレア氏は、コービン党首は「左翼的経済政策と西側の外交政策への深い敵対心が混ざった、擬似革命的な社会主義」を体現しているが、この組み合わせは「今までもこれからも」伝統的な労働党員の支持は得られないと指摘した。

「労働党への投票で葛藤した

労働党内の反ユダヤ主義疑惑については、ブレア氏は「この不愉快な問題の対処に失敗したことで労働党に投票した有権者の中には、生まれて初めてその決定に葛藤を覚えた人もいるだろう」と批判した。

さらに、労働党の政策は支持を集めているというコービン氏の主張にも反撃。鉄道の再国営化など個別の政策には支持があるかもしれないが、全体としては「100ページもある願い事リスト」でしかないと話した。

「どんな馬鹿でも、何でもただで約束できる。しかし国民はだまされない」

その上で、労働党は今後、政権を奪取する能力を持った「現代的で先進的な連合体」となる困難に立ち向かうか、さもなければ「本来の目的が尽きた」と認めるしかないと述べた。

また、次期党首には女性議員か地方出身議員が良いとする党内の意見にも反対し、「(国民が)求めているのは、信頼できるプログラムでイギリスを動かせる人物だ」と語った。

ブレア氏への反論

こうしたブレア氏の意見に対し、バーゴン影の法相は、労働党の敗北はコービン氏の責任ではないと話した。

BBCの取材に対しバーゴン氏は、「たったひとりの党首や人物に全てを負わせるのは間違いだと思う」と述べた。

また、「右派メディア」がコービン氏を「有毒化」しようとしていると批判。労働党の「間違い」は、「人々がどれだけEU離脱の実現を望んでいるかについて誤解していたことだ」と説明した。

今回、初当選したサム・タリー議員(イルフォード・サウス選出)も、「ブレア氏にとって、こうした問題の簡略化はとても簡単なことだろう」と述べた。

「実際に労働党が有権者の信頼を失い始めたのは、ブレア政権時代のことだった」

労働党の次期党首は?

労働党内ではすでに、何人かの著名議員が党首に名乗りを挙げている。

最初に正式に次期党首への意欲を表明したのは、エミリー・ソーンベリ影の外相だ。サー・キア・スターマー影のブレグジット担当相もBBCの取材で、党首選への出馬を「真剣に考えている」と話した。

このほか、過去に影の雇用・年金担当相を務めたイヴェット・クーパー議員、クライヴ・ルイス議員、ジェス・フィリップス議員、デイヴィッド・ラミー議員、リサ・ナンディー議員などが候補として上がっている。

労働党党首選では、立候補に議員の10%の支持のほか、労働組合からの推薦か、選挙区団体の5%の支持が必要となる。

立候補者が決まると全国の労働党員によって投票が行われ、過半数票を集める候補者が出るまで続けられる。

(英語記事 Corbyn's 'comic indecision' on Brexit - Blair

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