米共和党の上院院内総務、「大統領弾劾は有毒な前例」

McConnell and trump Image copyright Reuters

米共和党のミッチ・マコネル上院委内総務は19日、下院によるドナルド・トランプ大統領の弾劾決議は史上「最も慌しく、最も雑で、最も不公平な」ものだと批判した。

また、民主党が過半数を占める下院が「党派に固執した怒り」で「将来にまで影響を及ぼす有毒な前例」を作ったと述べた。

一方、チャック・シューマー上院院内総務(民主党)は、マコネル氏は大統領の言動については全く弁護していないと指摘している。

下院は18日、トランプ大統領が軍事援助の凍結解除などを取引材料にウクライナに働きかけ、来年の大統領選を有利に進めようとしたとして、権力乱用と議会妨害についての弾劾決議を可決。トランプ氏はアメリカ史上、下院に弾劾訴追される3人目の大統領となった。

トランプ氏は今後、上院で弾劾裁判にかけられる。ただし、上院が大統領を罷免するには3分の2以上の賛成が必要なため、共和党が過半数を占めている上院では、大統領職から罷免される可能性は非常に低いとみられている。

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「説得力に乏しく、根拠も弱い」

マコネル氏は演説で、12週間にわたる弾劾調査がアメリカの民主主義機構を傷つける可能性があると警告。下院はトランプ氏が違法行為したという証拠を見つけられなかった述べた。

また、民主党はトランプ氏が大統領宣誓を行う前から弾劾を考え、「弾劾条項を探すために弾劾手続きを開始した」と批判した。

さらに、今回の弾劾調査は、過去に弾劾訴追されたビル・クリントン氏やリチャード・ニクソン氏へのものより非常に短期間で行われたと話した。

「これはアメリカで行われた大統領の弾劾訴追の中では最も説得力が薄いものだ。最も説得力に乏しく、根拠も弱い。圧倒的に弱い」

民主党の反応は?

シューマー氏はこれに対し、マクドネル氏はトランプ氏の言動をまったく弁護できなかったと指摘した。

「共和党の上院院内総務は、大統領への批判に反論できなかった。大統領の行動を弁護する議論を展開しなかった。そのこと自体、大統領の弁護がどういう状態にあるか、その問題点を決定的にさらしている」

その上でシューマー氏は、民主党は「公正かつ迅速な」弾劾裁判を望んでおり、4人の証人を召喚するとともに、各行程に時間制限を設けると述べた。

今後の予定は?

弾劾裁判にあたり、民主党と共和党はその進め方で合意する必要がある。

マコネル氏はすでに、上院がトランプ大統領を有罪にする可能性はないと発言。共和党の過半数議席を武器に、証人の証言なしで裁判を早々に終わらせられると示唆している。

シューマー氏は、弾劾裁判を証人なしで終わらせるというマコネル案について、「下院の弾劾決議がそれほど根拠薄弱だと言うなら、なぜマコネル院内総務は証人や証拠資料を恐れているのか」と批判している。

こうした中、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)は、上院への弾劾条項送付を遅らせる可能性を示唆している。弾劾裁判が無期限に延期される可能性もあり、そうなればトランプ氏にいつまでも無罪判決が出ないことになる。

トランプ大統領、なぜ弾劾訴追?

下院民主党による弾劾調査は、情報機関の匿名告発者が今年9月に、トランプ氏とウクライナ大統領との電話会談に問題があったと議会に報告したことを機に始まった。

ホワイトハウスが公表した通話記録によると、トランプ氏は7月25日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との電話で、来年の大統領選で対立候補になるかもしれない民主党のジョー・バイデン前副大統領と、その息子でウクライナ企業の役員を務めていたハンター氏について捜査するよう働きかけていた。

民主党が進めた調査によると、トランプ氏は政敵に対する捜査要求と引き換えに、すでに米議会が承認していたウクライナへの軍事援助4億ドルの凍結解除を提示したほか、ホワイトハウスでの首脳会談の実現を提示したとされている。

ロシアとの対立が続くウクライナはアメリカにとって重要な同盟国。そうした相手にトランプ氏が個人的利益のために圧力をかけたのは大統領権限の乱用であり、国家安全保障を危険にさらしたと、民主党は主張している。

また、トランプ氏が下院への協力を拒否し、弾劾調査を妨害してきたとして、議会妨害に当たるとしている。

18日の本会議では、ほとんどの議員が党に沿って投票したものの、権力乱用では1人、議会妨害では3人の民主党議員が造反した。

民主党のジェフ・ヴァン・ドリュー議員(ニュージャージー州選出)は先に、弾劾決議に反対票を入れると表明。18日にはホワイトハウスでトランプ大統領と会談し、共和党への鞍替えを明らかにした。

トランプ大統領は、一連の弾劾手続きは「うそっぱち」で「でっち上げ」だと批判している。

上院での弾劾裁判では、ホワイトハウスのパット・シポローニ大統領法律顧問が代理人となり、大統領を弁護する予定。

(英語記事 Impeachment driven by 'partisan rage' - McConnell

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