英下院、EU離脱協定法案を可決 年明けにも審議再開

Boris Johnson in the Commons Image copyright AFP PHOTO/Jessica Taylor/UK Parliament
Image caption 英下院でブレグジット推進の重要性を訴えるジョンソン首相(20日、ロンドン)

イギリス下院(定数650)は20日、欧州連合(EU)離脱協定法案を358対234の賛成多数で可決した。ボリス・ジョンソン首相は、「イギリスはブレグジット(イギリスのEU離脱)実現に一歩近付いた」と述べた。

この法案は、ボリス・ジョンソン首相が10月にEUと取りまとめた離脱協定を、国内で法制化するためもの。ブレグジット後にEUとの将来の関係について交渉する移行期間を、2020年末以降に延長しない条項などが含まれている。

ジョンソン首相はEUとの通商交渉を移行期間内に完了できると主張するものの、それは非現実的な見通しだという批判も出ている。

最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、「より良く、より公正な方法がある」として議員に反対票を投じるよう呼びかけたが、労働党からは6人が賛成に回った。

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与党・保守党は12日の総選挙で全野党を80議席上回る過半数を獲得したため、法案は容易に可決されるとみられていた。

下院は併せて、この法案をクリスマス休暇後の2020年1月7日からの3日間にわたり審議することを可決した。

「ブレグジットを確実にする」法案

ジョンソン政権は来年1月31日の離脱期日までに離脱協定を法制化する構え。

離脱協定法案は19日の議会開会を受けた女王の演説で発表され、ジョンソン政権の最優先事項と位置づけられた。

今回、下院に提出された離脱協定法案は、10月の法案をいくつか変更する内容となっていた。変更点には以下のものが含まれる――。

  • 政府がブレグジット後の移行期間を2020年12月31日以降に延長することを法的に禁じる
  • ブレグジット後にもイギリス法として残る欧州司法裁判所(ECJ)の判決について、イギリスの裁判所に最審理の機会を与える
  • 閣僚は、離脱協定によって起こるEUとの摩擦について、毎年、議会に報告する義務を追う
  • 「もはや役割を失った」法律を廃止する

前の協定法案に含まれていた、労働者の権利を強化するという条項も削除された。

政府は、この問題は別個の法律で取り扱うとしているが、労働組合会議(TUC)は、この変更は労働条件を「引き下げる」要因になると警告している。

ジョンソン首相は法案審議の冒頭で、この法案は「前回議会の教訓を受けて(中略)いかなる遅れも容認しないものになった」と説明した。

「この法案は1月31日の離脱を確実にする。この日にブレグジットは実現し、終わるだろう」

「イギリスの恥」

労働党のコービン党首はこれに対し、政府が「EU離脱の取り扱いを誤った」ことで「政治システムがまひ」し、イギリスが分断されたのは「国の恥」だと、審議で述べた。

また、下院議員は2016年の国民投票の「決定を尊重し」、「次へ進まなくてはならない」と言う一方、自分たち労働党が「党としての原理原則を捨てていいということではない」と釘を刺した。

「労働党はこの法案を支持しない。EU離脱に向けたより良い、より公平な方法があると確信しているからだ」と、コービン党首は述べた。

スコットランド国民党(SNP)のイアン・ブラックフォード議員は、「スコットランドはなお完全にEU離脱を拒否しているが、首相は盲目的に、国民を貧しくするブレグジット計画と共に崖っぷちへと向かっている」と批判した。

また、移行期間を2020年12月31日以降に延長しないという条項を加えたことについて、「この期限を設けたことで、我々が恐れている合意なし離脱が、再び可能性として復活した」と述べた。

北アイルランド・民主統一党(DUP)のサー・ジェフリー・ドナルドソン議員は、ジョンソン首相の法案には「非常に懸念される、大きな矛盾」があると指摘した。

北アイルランドはイギリス国内で唯一、EU加盟国のアイルランドと地続きで接している。この国境をブレグジット後にどう管理するかが離脱条件を決めるにあたり大問題となり、議会の膠着(こうちゃく)を招いていた。

ジョンソン首相の離脱協定では、アイルランドと北アイルランドの間に税関などを置かないとした一方、北アイルランドとグレートブリテン島の他地域の間に実質的な税関の境界線を置いている。

ドナルドソン議員は、離脱協定法案では北アイルランドにイギリス国内の取引について「自由なアクセス」があると書いているものの、新たな税関によって「自由なアクセス権が拒否されている」と述べている。

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2016年から二転三転の末

イギリスの有権者は2016年6月23日の国民投票で、52%がEU離脱を支持、48%がこれに反対した。

その結果を受けて、保守党のテリーザ・メイ前政権が2018年11月にEUと合意した離脱協定案は、英下院で3度にわたり否決され、これがメイ前首相の辞任につながった。

後任のジョンソン政権は10月31日だった離脱期限に向けて、その舵取りに与党議員からの造反を受けて議会を閉会するなど、ブレグジット政局で紛糾しながらも、あらためて離脱協定案をEUと妥結した。しかし、下院の支持が得られず、離脱期限を来年1月末に延期することを余儀なくされた。

その後、ジョンソン首相が解散・総選挙に打って出た結果、今月12日の選挙で大勝し、野党より80議席多い過半数を獲得した。これによって、ジョンソン政権はブレグジット政策を推進しやすくなった。

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【英総選挙2019】 大勝のジョンソン首相「団結とレベルアップ」

(英語記事 MPs back Johnson's plan to leave EU on 31 January

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