米ボーイング、マレンバーグCEOを解任 墜落事故受け

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Image caption 解任されたデニス・マレンバーグCEO

米航空機大手ボーイングは23日、デニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)兼会長を解任したと発表した。737マックス8型機の墜落事故からの信用回復につなげたい考え。

737マックス8型機をめぐっては、昨年10月、インドネシアの首都ジャカルタ発バンカ島パンカルピナン行きのライオン航空機がインドネシア沖に墜落し、189人の犠牲者を出した

今年3月には、エチオピアの首都アディスアベバからケニア・ナイロビに向かっていたエチオピア航空302便が離陸直後に墜落し、乗客乗員157人全員が死亡した。

後任には、2009年からボーイングの取締役を務めているデイヴィッド・カルフーン氏が選ばれた。

墜落事故の遺族は、マレンバーグ氏の解任は事故から時間がたちすぎていると述べた。また、長年の役員が後任になったことについては、同社に変革の意思があるのか疑わしいとしている。

「必要な」変化

737マックス8型機が5カ月間で2回墜落して以降、ボーイングは厳しい目にさらされている。同型機は3月以来、全世界で運航を停止している。

ボーイングにとって、737マックス8型機はベストセラーの旅客機だった。年末までに運航を再開したいとしていたものの、アメリカ当局は先に、再開許可にはさらに時間がかかると釘を刺した。

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Image caption エチオピア航空機の墜落現場

ボーイングは先週、737マックス8型機の生産を一時停止すると発表している。

20日には、宇宙船スターライナーに技術的な問題が生じ、国際宇宙ステーションへのドッキングに失敗。同社の評価にさらに傷がついた格好だ。

ボーイングは、「規制当局や顧客、あらゆるステークホルダーとの関係修復に取り組み、ボーイングの信頼を回復していくには、リーダーシップの変更が必要だと判断した」と説明している。

対応になお批判

マレンバーグ氏が解任されたにも関わらず、社内改革実現へ向けたボーイングの覚悟のほどには疑問の声があがっている。

アメリカのリチャード・ブルメンソール上院議員(民主党、コネチカット州選出)はツイッターで、「ボーイングは役員会全体に、安全性を真剣に考える新しいリーダーシップが必要だ。同時に、機体の不備の可能性に関する書類や従業員間のやりとりを全て公表すべきだ」と指摘した。

エチオピア航空機の事故で娘を亡くし、遺族団体を結成したミカエル・ストゥモさんは、マレンバーグ氏の解任は「ボーイングを安全性とイノベーションに注力する企業に戻す最初の良い一歩だ」と述べた。

その上で、「次の一歩は、働きが不十分の、あるいは能力不足の役員を解任することだ」と釘を刺した。

同じくエチオピア航空機の事故で妻と3人の子ども、義母を亡くしたポール・ヌジョロゲさんは、「マレンバーグ氏の解任は正しい方向への一歩だが、ボーイングがコーポレート・ガバナンス(企業統治)を一新しなくてはならないことは明らかだ。(カルフーン氏は)適任ではない」と話した。

同じ事故で父親を亡くしたジッポラ・クリアさんもBBCの取材に対し、マレンバーグ氏は「もっと遠い昔に」解任されているべきだったと指摘した。

また、事故の責任は1人のものではなく、「次のCEOになる人物も含め、もっと多くの人が解任されるべきだと感じている」と述べた。

「ソフトウエアの問題」

事件の調査当局は、2度の事故の原因となったのは、機体の失速を防ぐ目的で搭載されていた操縦特性向上システム(MCAS)だと特定している。

ボーイングは、単一センサーに依存するMCASが誤情報を受け取ったため、機首を上げようとする操縦士の指示に反して機首を下げる誤作動が起きたと説明している。

同社はMCASのソフトウエアを修理するとともに、機体の検査手続きを一新したとしている。

しかし米上院の商業科学運輸委員会は、ボーイングはこのソフトウエアが信用できないかもしれないと承知していたと指摘。リスクを隠し、737マックス8型機の運航を再開しようとしていると非難した。

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Image caption マレンバーグ氏は解任を求められていた

ピーター・デファジオ委員長は、先週末に発行された米紙ニューヨーク・タイムズの取材でマレンバーグ氏の解任を求めていた。

また23日に発表した声明で、経営陣の交代は「もっと早く実施するべきだった」と述べている。

(英語記事 Boeing chief fired but 737 concerns persist

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