イラン首都でソレイマニ司令官の葬儀に大群衆 最高指導者は涙

Huge crowds pack Tehran for the funeral of Qasem Soleimani Image copyright AFP
Image caption ソレイマニ司令官の葬儀に大群衆が集まった(6日、テヘラン)

米軍の空爆で死亡したイラン革命防衛隊コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官(62)たちの葬儀が6日、イランの首都テヘランで行われた。大群衆が参列し、祈りを主導した最高指導者アリ・ハメネイ師は司令官たちの棺を前に、涙を流した。

イラン国営テレビは、葬儀に集まった巨大な群衆の人数を「数百万人」と伝えているが、これは確認できていない。

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ソレイマニ司令官の葬儀に大群衆、涙と怒り テヘラン

放送された映像では、司令官の遺影を手にしながら泣く人たちの姿があった。「アメリカに死を!」という合言葉も繰り返し唱えられていた。

ソレイマニ前司令官の後任として、コッズ部隊の新司令官になったエスマイル・ガーニ将軍が、ソレイマニ氏の棺にすがって泣く姿もあった。

BBCのリーズ・ドゥセット国際報道主任特派員は、昨年末には反政府デモと激しい取り締まりが起きた地域でも、ソレイマニ司令官への弔意によって市民が団結していると指摘している。

一方で、すべてのイラン人がソレイマニ氏の死を嘆いているわけではないと、BBCのジェレミー・ボウエン中東編集長は言う。

ソレイマニ将軍は強硬派で、2019年末に国内各地で起きた反政府デモで多くの市民を殺害した政権の中枢にいた。また、アメリカの経済制裁が国民生活を圧迫するなか、レバノン、イエメン、イラクとシリアで親イラン派を支援し、現地の民兵組織の強化に莫大な国家予算をつぎ込んだ張本人だと反発する国民もいると、ボウエン記者は指摘している。

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Image caption ソレイマニ前司令官の棺にすがって泣く、後任のエスマイル・ガーニ司令官

イランはアメリカに「厳しい復讐」を誓っており、5日には2015年にアメリカなど国際社会と結んだ核合意に伴うウラン濃縮について、今後は制限を順守しないと宣言した。

コッズ部隊のガーニ新司令官は、アメリカを中東地域から追放すると宣言している。

ソレイマニ将軍の娘のザイナブさんは、アメリカは「暗黒の日」をいずれ迎えると警告した。「狂ったトランプ、私の父が殉教したからといって何もかも終わったなどと思わないように」と述べた。

ソレイマニ将軍の遺体はこの後、イスラム教シーア派の聖地コムに移動する。そこであらためて儀式が行われた後、7日に故郷ケルマンで埋葬される。

ソレイマニ将軍はイラクの首都バグダッドで殺害された。イラク議会は5日、法的拘束力はないものの、170対0で駐留米軍に国外退去を求める決議を可決した。イラクには現在、過激派勢力「イスラム国(IS)」と戦う国際有志連合に参加する形で、約5000人の米兵が駐留している。

また、イランを支持するレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラは5日、米軍の基地から軍艦や部隊に至るまで、あらゆるものが報復攻撃の対象だと警告した。

ソレイマニ司令官とは

1980年代のイラン・イラク戦争で軍功を上げたソレイマニ司令官は、国民的英雄として扱われ、イランで最高指導者ハメネイ師に次ぐ2番目の実力者とみられていた。

イラン革命防衛隊の中でも国外での秘密作戦を扱うコッズ部隊を、1998年以来率いた。コッズ部隊はハメネイ師の直属で、司令官がコッズ部隊を指揮した21年の間に、イランはヒズボラなど親イラン武装組織を各地で支援し、イラクやシリアでの軍事的影響力を拡大した。

シリア内戦におけるアサド政権の戦略、イラク国内の戦闘や過激派勢力「イスラム国(IS)」との戦いなど、中東における数々の戦線を組み立てているのは、ソレイマニ司令官だと考えられていた。

イラン政府はコッズ部隊が、シリア内戦においてアサド政権に忠誠を誓う部隊の軍事顧問を務めるほか、シリア政府軍と共に戦うシーア派武装勢力に武器を提供したことを認めている。

一方でアメリカ政府は、革命防衛隊とコッズ部隊をテロ組織と指定。ソレイマニ司令官をテロリストと呼び、「ソレイマニはアメリカの外交官や軍関係者に対する邪悪な攻撃を間もなく実施しようとしていた」と主張しドローン空爆で殺害した。

しかし、ソレイマニ司令官がアメリカに対してどのような攻撃を計画していたのか、ドナルド・トランプ米大統領も政権関係者も明らかにしていない。

これについて、米紙ニューヨーク・タイムズの記者はツイッターで、「ソレイマニ空爆後に諜報内容の説明を受けた2人の匿名米政府関係者を含む消息筋の話」として、「アメリカの標的に対する攻撃が急迫していたと示唆する証拠は『かみそりの刃ほど薄い』ということだ」と書いている。

トランプ氏の反応は

イランが復讐を誓うのに対し、トランプ大統領は5日、ツイッターで「この一連のメディア投稿は、米連邦議会への通達となる。もしもイランがいかなるアメリカの国民や標的を攻撃した場合、アメリカは直ちに全面的に反撃する。不相応な形での反撃もあり得る。こうした法的通達は不要だが、それでもやる!」と書いた。

また、イラク議会が米軍の国外退去を決議したことについては、「我々はあそこに、ものすごく高い空軍基地を置いている。建てるのに何十億ドルもかかった。向こうが払い戻さない限り、出て行かない」と記者団に述べた。さらに、イラクが米軍に退去を強制するようなら、「向こうが一度も見たことがないような制裁を科す。イランへの制裁がやや穏やかに見えるほどのをやる」と話した。

また、イランの文化も報復対象に含めていると4日にツイートしたことを、戦争犯罪の予告だと各方面から非難されている点については、「向こうはこちらの人間を殺しても許される。こちらの人間を拷問して一生の傷を負わせても許される。路肩爆弾を使ってこちらの人間を吹き飛ばしても許される。なのにこっちは向こうの文化遺産を触っちゃいけないって? そういうわけにはいかない」と記者団に述べた。

イランの文化遺産とは

米軍がイランの文化遺産を攻撃するかもしれないという事態に、世界的に懸念の声が上がっている。実際にそのようなことをすれば、国際法上の戦争犯罪とみなされる可能性がある。

イランには、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が世界遺産に登録した場所が20以上ある。その中には、紀元前518年にさかのぼるアケメネス朝ペルシャの宮廷遺跡、ペルセポリスや、17世紀にイスファハンに作られた世界最大級の広場のひとつ、「イマーム広場(メイダーネ・ナクシェ・ジャハーン 、世界の肖像の広場)」などがある。

ユネスコ登録の史跡のほかにも、イラン人にとって大きな文化的意味を持つ、イラン・イスラム共和国の創始者、ルホラ・ホメイニ師の墓廟などもある。

(英語記事 Soleimani: Huge crowds pack Tehran for commander's funeral

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