イギリス、欧州連合を離脱 47年間の関係に終止符

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イギリス、EU離脱の瞬間 ビッグベンの録音で

イギリスは1月31日午後11時(日本時間2月1日午前8時)、47年間加盟していたEUを離脱した。ロンドン・ダウニング街の首相官邸の壁に投影されていたカウントダウンの時計が「00:00」を表示し、ビッグベンの鐘の映像と共に、録音された鐘の音が鳴らされた。イギリス国旗を手に議事堂前の議会広場に集まった人たちからは、大歓声が上がった。

これに先立ち午後10時には、ボリス・ジョンソン英首相が「これは終わりではなく始まりだ」と述べる演説が公開された。事前に録画されていた演説で首相は、EU27カ国との関係を断つことは「国家として本当に再生し、変わる瞬間」だと説明した。

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ただし、イギリスは31日午後11時から「移行期間」に入るため、直ちに変わることはあまりない。移行期間中のイギリスはほとんどのEU法を遵守し、予算も拠出するなど、イギリスは離脱前とほぼ同じ関係をEUと保つ。EU域内の自由移動も、12月末までは認められる。

イギリスは今年12月31日までに、EUとの通商交渉などを終えたい考え。

欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長はこれに先立ち、ツイッターで、「欧州が直面する課題や、欧州がつかむことのできる機会は、ブレグジットでも変わっていない。これに関して私たちはイギリスとできる限り最善な関係を持ちたい。しかし、加盟関係ほど良いものには決してならない。#新しい始まり」とツイートした。

「大きな希望の瞬間」

ジョンソン首相は演説で、「多くの人にとって、これは大きな希望の瞬間、実現しないと思っていた瞬間だ」と話した。

「もちろん、多くの人が不安や喪失感を抱えているだろう。あるいは最も多いのは、この政治論争が終わらないのではと心配し始めていた人たちかもしれない」

「こうした気持ちは全て理解できるし、政府の仕事、私の仕事は、イギリスを一致団結させ、前進させることだ」

また、「あらゆる力、あらゆる立派な資質にも関わらず、EUはこの50年超の間に、イギリスには合わない方向に進化してしまった」と語った。

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ブレグジットへの道 43カ月を116秒で

31日にはEU離脱を象徴するさまざまな出来事があった。

  • ブリュッセルのEU省庁から、イギリス国旗「ユニオン・ジャック」が取り除かれた
  • ジョンソン内閣は、2016年の国民投票で最初にEU離脱支持が多数と発表されたイングランド北東部サンダーランドで閣議を開いた
  • 首相官邸ではプロジェクトマッピングによるカウントダウンが行われ、バッキンガム宮殿前の大通り「ザ・マル」にはユニオン・ジャックが掲げられた
  • EU離脱を記念する50ペンス硬貨の流通が始まった

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「後戻りはできない」

ウェストミンスター宮殿前の議会広場では、EU離脱を祝うイベントが開かれている。

ブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首は特設ステージで演説を行い、「もう後戻りはできない。一度離脱したら、二度と戻ることはない」と述べた。

EU離脱のカウントダウンが終わると、議会広場では国歌の大合唱が行われた。

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Image caption ブレグジットを歓迎する人たち(31日、ロンドン)

ロンドン在住のブレンダさんは、「私はこの日を40年待ち続けていた」と話した。

「きょうは人生で最高の日のひとつです」

東部ノーフォークからバスでロンドンまで来たというジェシーさんは、最初はEUを支持していたものの、その「拡大主義」に疑問を持ったという。自分はここ数年「差別主義者の中年右派女などと罵倒されてきた」が「ここにいる人たちを見れば分かります、みんな普通の人ばかり」と言い、これからは国内の分断がやわらぐことを期待すると話した。

親EU派は抗議デモ

一方、ブレグジットに反対する学生たちも、この広場に集まった。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のアダムさんは、EU離脱の「理由が分からない」と話した。

「でも今まさに起きようとしているし、それが私たちの未来を作る」

エマさんは、クラスのほとんどの人がブレグジットに反対していると述べた。

「EU離脱に賛成している人なんて空想だと思っていたけど、今夜はとても現実的に感じる」

議会広場では31日の日中、親EU派が「別れを告げる」行進を行った。

ロンドン以外でも、親EU派のデモンストレーションが行われた。南西部ドーヴァーのホワイト・クリフには、EU加盟を象徴する星が映し出された。

また、EUと唯一陸続きで国境を接する北アイルランドでも、国境近くで抗議活動が行われた。

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Image caption 親EU派はドーヴァー海峡の崖にEU加盟を現す星と、「これが私たちの星。代わりに面倒を見てあげて」というメッセージを映しだした

スコットランドでは「欧州の歌」

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Image caption スコットランド議会前でスコットランドとEUの旗を振る残留支持の人たち(31日、エディンバラ)

スコットランド・エディンバラの議会広場では、バグパイプで「欧州の歌」とされるベートーヴェンの「歓喜の歌」が演奏され、大勢がEU離脱の瞬間に立ち会った。

スコットランドは2016年の国民投票で、圧倒多数がEU残留を表明した。残留派の人々はスコットランド各地でろうそくを灯すキャンペーンを展開した。

与党のスコットランド国民党(SNP)は、独立に向けた住民投票を再び実施したい意向だが、イギリス政府は認めていない。

SNPのニコラ・スタージョン党首は、「ブリュッセルの欧州委員会の建物が、スコットランドのためにライトアップをしてくれた!」とツイートし、EU再加盟への希望を表した。

また、午後11時のEU離脱の瞬間にはEUの旗の画像と共に、「スコットランドは独立国として欧州の中心に戻ってきます」とツイートした。

次の焦点は通商交渉

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Image caption EU理事会から、イギリス国旗「ユニオン・ジャック」が取り除かれた

イギリスは今後、EUを含む世界各国と個別に通商協定などを結ぶ必要がある。

欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、イギリスとEUは通商交渉において、互いの利益でぶつかるだろうと話している。

一方で、「これまでEUを強くしてくれた」イギリス国民に感謝の意を表明するとともに、イギリスのEU加盟最後の日は「心を動かされた」と語った。

欧州理事会のシャルル・ミシェル常任議長(大統領に相当)は、「イギリスがEUの基準から離れれば離れるほど、EU単一市場へのアクセスは制限されるだろう」と警告している。

(英語記事 UK leaves the European Union)

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