米大統領の対イラン交戦権を制限する決議案、上院も可決

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Image caption トランプ大統領はこの日可決された決議案に対し、拒否権を行使するとみられている

米上院は13日、ドナルド・トランプ大統領が議会の承認なしにイランと交戦することを制限する決議案を可決した。与党・共和党の議員からも賛成票が投じられた。

「イラン交戦権決議案」は、トランプ氏に対し、イランへの軍事行動の指令を出す前に議会に相談するよう義務付ける内容。

トランプ氏は投票を前に、決議案はアメリカのイランに対する安全を損なうものだと警告を発した。

しかし決議案は、賛成55、反対45で可決された。

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同様の決議案は、下院でも1月に可決されている。トランプ氏の命令で米軍が、イラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ将軍を殺害したのを受けて起案された。

トランプ氏はこの決議案に対し、拒否権を発動するとみられる。

共和8議員が造反

上院は共和党が多数派だが、この日の採決では同党の8議員が造反した。

トランプ氏は採決前日の12日、「我々の国の安全にとって、米上院がイラン交戦権決議案に賛成の投票をしないことが非常に重要だ」とツイートした。

さらに、「イランとはとてもうまくやっていて、今は弱さを示す時ではない(中略)私の身動きが制限されれば、イランはやりたい放題やるだろう。非常に悪いサインを送る。民主党はただ共和党に恥をかかせようとしてこれをやっている」と続けた。

「防御は妨げない」

決議案はトランプ氏に対し、議会が戦争を宣言するか、特定の軍事行動を認める決議案を可決しない限り、イランと交戦している軍部隊を撤退させるよう義務付けている。

同時に、「差し迫った攻撃に対するアメリカの防御を妨げると解釈される」ものではないとしている。

決議案の採決の前には米海軍が、イランの設計、製造とみられる武器をアラビア海上の帆船から押収したと発表した。

声明によると、米ミサイル巡洋艦ノルマンディーは、イラン製の対戦車誘導ミサイル150個と、地対空ミサイル3個、サーモスコープ、無人の飛行物や水上艦の部品などを押収したという。

議員らから賛否の声

決議案を共同提出した民主党のティム・ケイン上院議員(ヴァージニア州)は、「我々が軍の若者に対し戦争で命と健康をかけるよう命じるとしたら、それは慎重な検討に基づいたものであるべきだ」と述べ、可決を喜んだ。

一方、共和党のロジャー・ウィッカー上院議員(ミシシッピー州)はツイッターで、「現在の重大な時期に大統領が必要なのは、素早く対応する力であり、議会に細かく管理されることではない」と述べた。

同じ共和党のマイク・リー上院議員(ユタ州)は、決議案の共同提出者に名を連ねた。リー氏は、「私にとっては、これは外交政策を担うトランプ大統領への支持だ。アメリカがあまりに容易に、あまりに素早く、憲法に違反した方法でいかなる戦争にも関与しないように努めているトランプ氏への支持だ」と話した。

アメリカとイランの対立関係

米軍が先月、イラン革命防衛隊のソレイマニ将軍を暗殺したことで、両国が全面戦争に突入する危険性が急激に高まった。

イランはイラクの米軍基地を報復攻撃。米軍関係者109人が脳に損傷を負った。

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イラクの米軍基地攻撃、弾道ミサイル映像が公開 イラン国営テレビ

両国の対立関係は、1979年のイラン革命と、イラン米大使館人質事件にさかのぼる。

2015年にはイラン核合意が結ばれ関係改善のきざしが見えたが、トランプ氏は2018年にこの合意から離脱。イランへの経済制裁を再開した。

(英語記事 US Senate votes to curb Trump's war powers on Iran

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