暴風雨「デニス」の被害拡大 英当局が「大規模災害」を宣言

High water levels at the River Ouse Image copyright AFP/Getty Images
Image caption ヨークのウーズ川は記録的な増水に見舞われた

イギリス当局は16日、暴風雨「デニス」による被害を受け、ウェールズ南部とイングランドの一部地域に「大規模災害(major incidents)」が発生していると宣言した。

16日午後11時45分(日本時間17日午前8時45分)現在、ただちに行動が必要な「洪水警報」が、イギリス全土で700件以上出されている。

うちイングランドでは、命の危険がある「大洪水警報」が8件発令されている。

政府外公共機関環境エージェンシーの洪水・護岸担当、ジョン・カーティン氏によると、16日夜の時点で計624回と言う過去最多の浸水警報が発令された。先週の暴風雨「キアラ」によって、土壌が大量の雨水を含んでいることが、国内各地で15日以降に相次ぐ洪水被害につながっているという。

サウスウェールズ警察によると、「複数」の洪水や土砂崩れが発生しており、住民が避難できない地域もあるという。

また、多くの家屋が浸水したほか、交通機関にも影響が出ている。

イギリスでは先週にも暴風雨「キアラ」が全土を襲い、家屋数百棟が浸水したほか、50万人以上が停電に見舞われた。

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Image caption 洪水に飲み込まれたウェールズのクリックハウエル

英気象庁によると、暴風雨「デニス」による強風は15日に最大風速40メートルまで達した。

16日午後にはイギリス全土で、大雨被害への「要準備」を意味する「褐色」の気象警報が出された。強風については、一段階低い「黄色」の警報が出ている。

命の危険がある洪水に加え、停電や交通機関への影響などが懸念されている。

被害の大きいウェールズ南部では、警察と地元組織が協力し、洪水で取り残された住民などの安全確保に当たっている。

また、ウスターシャー州環境局のデイヴ・スループ局長は、「大洪水警報」が2件発令されていると警告。多くの家屋が浸水しており、住民は「慎重な対応」をするよう呼びかけた。

イングランド西部を流れるティーム川沿いでも、「大洪水警報」が相次いで発令された。

ウスターシャー州エシャム・ブリッジ近くでは、川に流された男性が救助され、病院で手当てを受けている。また、女性1人が行方不明になっているが、捜索は17日に持ち越された。

暴風雨「デニス」は英北部のスコットランドにも影響を及ぼしており、英気象庁は17日の午前中まで強風警報を出している。

1階は完全に浸水

モンマスシャー州在住のエイミー・プライスさん(20)はBBCの取材に対し、自宅の1階は電灯のスイッチまで浸水してしまい、家族は2階に閉じ込められていると語った。

「午前1時ごろに川が増水し始めて、3時には家に水が入ってきた」

「水をかき出し始めたけれど、朝6時には、堤防から川の水があふれてきた」

プライスさんの写真では、家の外で車両が水に沈んでいる様子や、1階の本棚が浸水した水に浮いている様子が見てとれる。

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Image caption モンマスシャーのエイミー・プライスさんの自宅も浸水した

暴風雨「デニス」により、16日朝には170便以上のフライトが欠航となり、少なくとも2万5000人が影響を受けた。

陸路ではウェールズ南部に加え、イングランドとスコットランドの一部地域で鉄道の運行に影響が出た。

また、強風によって、イングランドとウェールズを結ぶ高速道路M48号線が通行禁止になったほか、イングランド南西部や西部の主要道路が洪水で寸断された。

スコットランドでは、東部テイ湾にかかる道路橋が強風で閉鎖されている。

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Image caption ウェールズのナントガルで、救助隊に助けされる家族

政府の対応は?

グラント・シャップス運輸相はスカイニュースの番組で、イギリス政府は異常気象への対応を「加速させてきた」と述べた。

これまでにも、来年までの6カ年計画で24億ポンド(約3400億円)を費やしてきたと説明。次の6年では40億ポンドに増額すると話した。

また、先の内閣改造で就任したばかりのジョージ・ユースティス環境相は、政府が暴風雨「デニス」による洪水被害に不意を突かれたという批判を否定した。

(英語記事 Major incidents declared after storm flooding

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