BBC受信料について与党有力議員、首相官邸に警告 

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イギリス政府が英公共放送BBCを「大幅に刈り込む」方針だと報じられたことについて、与党・保守党の有力下院議員らが、BBCを危険にさらすのは「ばかげている」と首相官邸に警告した。

英日曜紙サンデー・タイムズは16日、首相官邸がBBCの受信料を廃止し、チャンネルごとの定額制への切り替えを考えていると報じた。

これに対し閣僚経験者のデイミアン・グリーン議員は、公共放送局を危険にさらすのは「馬鹿げている」と反論。受信料の廃止は保守党の選挙マニフェストに入っていないと釘を刺した。

BBCに関する全党派議会グループの会長を務めるヒュー・メリマン議員も、BBCに対して「不愉快な報復を激化させる」のは良くないと警告し、BBCを「標的」にすべきではないと述べた。

メリマン議員は英紙デイリー・テレグラフへの寄稿で、「これはBBCが仕掛けたけんかではないし、保守党が選挙で公約した闘いでもない」と指摘。「もしBBCが衰退する羽目になれば、政府は次の選挙で支持を必要とするその人たちから批判されるはずだ」と書いた。

17日の記者会見で首相官邸の報道官は、「BBCの運営方針はBBCの問題だ」とした上で、ボリス・ジョンソン首相は過去に受信料の今後は「点検」が必要だと公に発言していると指摘した。

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サンデー・タイムズは官邸高官の話として、ジョンソン首相はBBCに大きな改革が必要だと「声高に」主張していると伝えた。また、BBCを縮小し61のラジオ局の大半を売却することについて、首相官邸内でも賛成の声が出ていると報じた。

ジョンソン首相は昨年12月に行われた総選挙の選挙期間中、米ネットフリックスのようなオンデマンド・ストリーミング・サービスに人気が集まる中、BBCの長年の資金モデルが今なお「意味があるのか」疑問だと述べていた。

また、国民にひとつの放送局に一律の受信料を払うよう求めるのが「正当化」されるのか見極めたいと話した。ジョンソン首相自身は何十年にもわたり、テレグラフ・グループや週刊誌スペクテイターといった競合メディアでジャーナリストとして働いてきた。

イギリス国内でBBCを視聴するには今年4月から3ポンド上がり、年間157ポンド50ペンス(約2万2000円)の受信料がかかるようになる。これはBBCの運営方針を定める王室認可に含まれており、2027年まで効力がある。

現在は受信料の不払いは刑事罰の対象だが、英政府は昨年12月、刑事罰の廃止について検討を開始した。

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Image caption 現在、イギリス全体の2700万世帯のうち約95%が、BBCの受信料を支払っている

「守るに値する機関」

サンデー・タイムズの記事を受けてグリーン議員は、「この記事では匿名の人物が、『協議してからBBCをぶっ叩く』と話している。このことから、この協議は本当の協議ではないことが分かるし、それについては法的な問題がある」と指摘した。

議員はさらに、自分の意見は「下院全体」で共有されているものだと主張。確かに多くの議員が「常にBBCにいらだっているし、BBCはばかな真似をすることもあると思っている。そして、BBCは傲慢なこともあると思っている」ものの、「それでもこの機関は守るに値するものだと」、ほとんどの議員は同意見だと主張した。

一方で多数の下院議員が、受信料を払いたくない、あるいは払えない人を刑事訴追するのは不適切だという立場だ。これについてBBCは、受信料未払いに対する刑事罰を廃止すれば組織の財務状況に大きな打撃となり、制作にも影響が生じると警告している。

BBCのサー・デイヴィッド・クレメンティ理事長は、BBCの番組やコンテンツを課金制にすれば、「イギリスをひとつにまとめる」力が弱体化してしまうと指摘している。

これまでに10万人以上が、BBCに対する「政治的攻撃」をやめ、BBCが持つ「独立して政府の責任を問う」役割を支援するよう政治家に求める署名活動に参加している。

「局内を整える」べき

一方で、BBCが現在の体制を維持したいのなら、「局内を整える」べきだと指摘する保守党議員もいる。

下院・北アイルランド委員会のサイモン・ホーア委員長は、BBCはただちに、今年6月から実施する予定の、75歳以上の視聴者に対する受信料徴収を撤回すべきだとツイートした。

また、ジョナサン・グリス議員(ストーク・オン・トレント・ノース選出)は受信料制は「流行遅れ」だと述べ、広告収入などの代替モデルを考えるべきだと述べた。

最大野党・労働党のトレイシー・ブラビン影の文化相は、先の内閣改造で就任したオリヴァー・ダウデン文化相に対し、公共放送について「はっきりと意見を述べ」、BBCが「将来も通用する」形を維持できるよう保証するべきだと述べた。

(英語記事 Tory MPs warn No 10 against conflict with BBC

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