「政争に巻き込まないで」 閣僚の写真で英紅茶メーカーが悲鳴

Yorkshire Tea

画像提供, PA

イギリスの大手紅茶メーカー「ヨークシャー・ティー」が、政治論争に巻き込まれている。与党・保守党の閣僚が同社商品と共に写真を撮ったことから、一部のユーザーがボイコット運動を始めた。

先の内閣改造で財務相となったリシ・スーナク氏は21日、財務省職員に紅茶をいれる様子をツイッターに投稿。この写真に同社のティーバッグの包装が写っていた。

ヨークシャー・ティーはこうした動きに「非常にショックを受けている」と声明を発表。最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首も2017年に同社商品と一緒に写真を撮っていると指摘し、政治との関連を否定した。

同社は40年前にイングランド北部ヨークシャーの小さな店舗から始まった。

ヨークシャー独自のブレンドを取り扱った商品は、現在ではイギリス最大の輸出品のひとつへと成長し、オーストラリアや中国でも販売されている。

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ノース・ヨークシャー選出のスーナク財務相は21日、ヨークシャー・ティーのティーバッグ1040個入りの大きな袋と共に写った写真をツイッターに投稿。ツイートには、2週間後に迫った予算案発表に向けた準備に追われる職員らに「紅茶をふるまった」という説明と共に、「ヨークシャーの紅茶に勝るものはない」と書かれていた。

このツイートにすぐにヨークシャー・ティーは反応し、その日のうちに写真とは何の関わりもないこと、スーナク氏がツイッターで同社製品を取り上げることについて事前連絡などはなかったことなどを説明した。

さらに24日にはツイートを連投し、「週末の3日間、苛烈な批判とボイコットを求める声にこたえ続けた」と発表。

「政治の泥試合に私たちを巻き込もうとする人たちを見るのはとてもショッキングでした。一方で、私たちのために声をあげてくれる人がいたことは嬉しいことでした。礼儀正しく対応してくれた人たちには感謝しています。(この一件に乗じてさらに悪いことをしようとした人たちはうんざりでしたが)」と述べた。

さらに、こうした批判の波にさらされるのは「個人よりも企業の方がたやすい」と述べた上で「インターネット上で怒りをあらわにしようとしている人たちは、たとえ相手が企業であっても、その向こうには人間がいることを思い出して、やさしくあろうとしてください」とさとした。

ヨークシャー・ティーの紅茶を使って市民へのアピールを試みた政治家はスーナク財務相だけではない。2017年には労働党のコービン党首がヨークシャーを訪れた際、自分が首相となったあかつきにはドナルド・トランプ米大統領にヨークシャー・ティーをいれ、気候変動などの問題を協議したいと語った。