中国アプリ、新型ウイルスの会話を年初から検閲か=カナダ研究所

smart phone with the icons for the social networking apps WeChat and others

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中国政府は長年、国民のオンライン通信を検閲している

中国のメッセージアプリで最も人気の高い「微信(ウィーチャット)」が、新型コロナウイルスのアウトブレイク(大流行)に関係するキーワードを早くて今年初めから検閲していたとする報告書を、カナダの研究機関が3日、公表した。

カナダ・トロント大学の研究グループ「シチズン・ラブ」は、中国企業の騰訊(テンセント)が提供するウィーチャットについて、新型ウイルス関連の言葉と中国の習近平国家主席に対する批判の組み合わせを排除していたとしている。

また、流行が拡大するにつれ、より多くの言葉をブロックしたと報告書に記している。

中国では何年も前から政府がインターネット上の通信を検閲している。しかし今回の報告書は、政府が新型ウイルス流行の危険性が高いと認める何週間も前から、関連の会話を検閲していたことを示している。

国家主席の公表は1月20日

中国政府が武漢でのアウトブレイクについて世界保健機関(WHO)に初めて注意を呼びかけたのは、昨年12月31日だった。

ただし、当局は国民に対して当初、この情報を明らかにしなかった。感染者数を少なく発表し、危険性を低くみせるなどし、人命を救えたかもしれないタイムリーな情報提供を怠った。

習氏が新型ウイルスについて最初に公に発言したのは、1月20日になってからだった。習氏は「断固として抑え込む」必要があると述べた。

ウィーチャットの検閲が政府の指示なのか、独自に実施したのかは不明だ。ただ報告書は、企業による「政府の叱責を避けるための過剰な検閲」だった可能性があると示唆している。

ブラックリストに追加

研究グループ「シチズン・ラブ」が調査したのは、ウィーチャットとライブストリーミングサイト「YY」。

報告書によると、YYは昨年12月31日に、45のキーワードをブラックリストに追加していた。それらのキーワードは、「未知の武漢の肺炎」、「武漢のSARSの大流行」など、当時は未確認だった新型ウイルスに言及するものだった。

一方、ウィーチャットは1月1~31日に132のキーワードを検閲対象にしていた。感染拡大が続いた2月1~15日には、さらに384のキーワードを追加した。

検閲対象の言葉には、習氏など中国指導者らに言及するものや、感染の流行に対する政府方針に触れるもの、香港や台湾、マカオにおける大流行への対応に関するものなどが含まれていた。

英雄の医師についても

報告書はまた、ブロックされた言葉の組み合わせの例として、「地方当局+伝染病+中央(政府)+隠ぺい」や、「武漢+明白に+ウイルス+ヒトからヒトへの感染」などを挙げている。

武漢中心医院の眼科医で、昨年12月後半に新型ウイルスについて最初の警告を発し、後に自ら感染死した李文亮氏(33)に言及する言葉も、検閲対象の19の組み合わせに含まれていた。

報告書によると、ウィーチャットは流行が続くなか、キーワードを検閲対象から外した可能性があるという。YYは特定のキーワードを対象外にしたことがわかっている。

これらのサービスが、現在も検閲をしている場合、どのキーワードを対象としているのかは不明だという。