イタリア、移動制限を全土に拡大 新型ウイルス対策で

A tourist wearing a mask sits at the tables of a restaurant in front of the Colosseum, in Rome, Italy, 9 March 2020. Image copyright EPA
Image caption イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は、新しい移動制限は、社会の中で最も弱い立場の人々を守るためのものだと説明した

イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は9日、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、北部地域に限定してきた移動制限措置を、10日から全土に拡大すると発表した。集会は禁止され、仕事や家族の緊急事態における移動のみ認められるという。

イタリア全土での移動制限は、10日から適用される。コンテ首相は、社会の中で最も弱い立場の人々を守るためだと説明した。

イタリア国内での新型ウイルスによる死者は、9日に97人増え、計463人に跳ね上がった。新型ウイルスが発生した中国に次ぐ人数となった。

イタリア政府によると、感染者数は9日時点で9172人に上っている。前日8日の7375人から24%増えた。

イタリア全20州で新型ウイルスの感染が確認されている。

世界の感染者数は11万1000人以上に上り、約3890人が死亡した。こうした状況で世界保健機関(WHO)は9日、新型ウイルスが世界的に流行する「パンデミック」になる恐れは「きわめて現実的」なものだと述べた。

WHOのテドロス・アダノ・ゲブレイエスス事務局長は9日の記者会見で、「ウイルスがこれほどたくさんの国で足がかりを得た今、パンデミックの恐れはきわめて現実的だ。しかし、制御できる史上初のパンデミックになる」と言い、「私たちはこのウイルスを前に決して無力ではない。それが大事なことだ」と強調した。

「イタリアのために犠牲を」

コンテ首相はこの日のテレビ演説で、イタリアの「習慣は変わらなければならない」とした上で、住民にとって自宅に留まることが最善の方法だと述べた。

「我々は、新型コロナウイルスの感染者数(中略)および死者数の重大な増加に直面している」と首相は言い、「誰もがイタリアのために何か犠牲を払わなければならない。まさにたった今。全員が協力し、この最も厳しい措置に順応するのが、唯一の方法だ」と強調した。

首相はさらに、「だからこそ、事態悪化を食い止めるために、(中略)そして全市民の健康を守るために、今まで以上に強力で厳格な措置を導入することにした」と説明した。

コンテ首相によると、国内全域の移動制限措置に伴い、サッカーの試合を含むすべてのスポーツイベントが停止されるという。

コンテ首相は以前、現地紙レパブリカのインタビューで新型ウイルスのアウトブレイク(大流行)について、「最近私は、(ウィンストン)チャーチル氏の古い演説について思い巡らせている。我々にとって一番苦しい時期だが、我々はやり遂げるだろう、という演説を」と述べた。

制限の内容は

コンテ首相が「自宅に留まる」措置と呼ぶイタリア全土での移動制限は、公共の場での集会を禁止している。

「ナイトライフはもうない。感染の機会になるので、もう許可できない」と、コンテ首相は述べた。

今回の移動制限は、新型ウイルスの影響を最も受けている北部地域で導入済みの措置と同様のもの。ミラノがあるロンバルディア州やヴェネツィアなど14県は、4月3日まで封鎖されている。

イタリア政府によると、国内全域での移動制限では、仕事や家庭の正当な理由がある場合にのみ移動が許可されるという。

短期滞在者を除き、空路での出国を予定している人については、空路で入国する人と同様に、その正当性を示す必要がある。

鉄道の駅では、体温を計る措置が取られている。クルーズ船については、各地で港への入港が禁止されている。

刑務所の面会停止、受刑者が反発

北部エミリア・ロマーニャ州モデナのサンタンナ刑務所では、新型ウイルスの感染拡大を受け、家族などのすべての面会が停止されると知らされた受刑者が反発した。9日早朝、この暴動で受刑者6人が死亡した。

報道によると、3人は刑務所で、ほかの3人は刑務所から移送された後に死亡した。

死者のうち少なくとも2人は、ヘロイン代用薬メサドンを目当てに刑務所病院を襲撃した後、薬物の過剰摂取で命を失ったとみられる。

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Image caption ローマのレビッビア刑務所で、面会拒否に抗議する受刑者の親族ら

当局によると、ミラノのサン・ヴィットーレ刑務所では、受刑者が同施設の6棟のうちの1棟にある独房棟に火をつけた。その後、窓から屋根へ上り、横断幕を振り始めたという。

南部プーリア州フォッジャの刑務所では、少なくとも20人の受刑者が抗議の最中に脱獄に成功した。その多くはすぐに拘束されたと、イタリアのアンサ通信が報じた。

同国北部の複数の刑務所や、ナポリや首都ローマの複数施設でも暴動が起きた。

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Image caption 北部エミリア・ロマーニャ州モデナのサンタンナ刑務所では、受刑者の親族による抗議を受け、刑務所の入り口に警備体制が敷かれた

世界各地の状況は

世界の感染者数は11万1000人以上に上り、約3890人が死亡した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は9日、同国への渡航者全員に14日間の自主隔離を義務づけると発表した。

イランでは、過去24時間で新たに43人の死亡が確認された。イランでは2月中旬以降、少なくとも237人が死亡しているほか、7161人が感染している。一方で、実際の人数は発表されている人数よりもずっと多いとみられている。

中国は8日、新たに確認された感染者は40人だったと発表。1日あたりの感染者数としては、1月20日以降で最小となった。

これは新型ウイルスの中国での広まりが減速しつつあることを示しているものの、複数の政府高官は、警戒感の低下に警鐘を鳴らした。

(英語記事 All of Italy to be placed on coronavirus lockdown

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