アメリカの失業保険申請、2週間で1000万件 過去最多を更新

US jobless claims

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アメリカの職業支援センター

新型コロナウイルスの影響で経済的損害が拡大する中、失業保険給付を求める米国人の数が、2週連続で過去最多を更新した。

米労働省は2日、先月第4週(3月22日~28日)の失業保険の申請件数が660万件以上に上ったと発表した。これは、前の週(先月第3週、15日~21日)のほぼ2倍。過去最多の申請件数を記録した第3週をさらに上回った。

アメリカでは、新型コロナウイルスの感染者数が23万6000人以上に急増。死者数は5600人以上に上っており、経済危機が深刻化している。

ホワイトハウスはアウトブレイク(大流行)を抑制するため、行動制限を維持するとしていた。

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「史上最悪の不況」も

バンク・オブ・アメリカのアナリストたちは、米国内の失業率が15%以上に達する可能性があるとの見通しの中、米国が「史上最悪の不況」に陥るかもしれないと警告した。

失業率が3.5%前後を推移していた世界の経済大国にとって、今後の見通しは一転した。

現在、米国人の80%以上が何らかのかたちで封鎖状態にあり、ほとんどの事業が閉鎖を余儀なくされている。

2週間で1000万人が失業

2週間前、330万人以上の米国人が失業保険を申請。過去最多だった1982年の69万5000人を上回り、申請件数は2週間で合わせて約1000万人に達した。

この申請件数は、多くのエコノミストが恐れていたよりも深刻だった。

米労働省の元チーフ・エコノミストで、現在は米シンクタンク「経済政策研究所(EPI)」の政策ディレクターを務めるハイディ・シャーホルツ氏は、「私は普段、公開データに目を通さないが、(今回の失業保険申請件数に)動揺し始めている。(中略)これは大惨事を表している。(中略)これまでに見たこともないようなことだ。信じられないほどの悲痛や苦難の現われだ」と述べた。

米労働省によると、宿泊施設や飲食業の労働者は、今週も大打撃を被った。しかし、「産業全体で、より広範な影響」が生じているとの報告が複数の州からあがっていると付け加えた。

金融サービス会社アリアンツで主席経済顧問を務めるモハメド・A・エル・エリアン氏は、「今回の発表には少しの疑問も生じないはずだ。(中略)米国はすでに深刻な不況に陥っているし、世界経済も同じような状況になるだろうから」とツイートした。

2兆ドルの景気刺激策

これは、新型ウイルスによる影響を受けている世帯や企業に対する、直接給付の経済支援や、失業保険の強化を可能とするもの。解雇ではなく一時的な休職状態にある人など、通常は失業保険の対象とならない人も支援を受けられる。米政府がさらなる救済を行うのではないかとの憶測もある。

イギリスなどのほかの国とは異なり、アメリカは労働者の雇用を維持するための、企業への財政支援策は実施していない。シャーホルツ氏は、「実施しようとはしている」としつつ、「経済が衰退している時に労働者の雇用を維持するという概念は、米国内では十分に社会に受け入れられていない。単純に、我々が過去にやってきたやり方ではないので」と述べた。

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アメリカと中国、イタリア、韓国……それぞれの新型ウイルス致死率

BBCのミシェル・フルーリ、ニューヨーク・ビジネス担当記者は、非常に恐ろしいのは、失業の規模だけでなく、米企業が従業員を解雇するスピードだと指摘。約1000万人がたった2週間で失職し、900万人もの雇用が失われた2008年の世界金融危機を上回ったと説明する。

歴史的な失業増加の背景には、より多くの州が必要不可欠ではない事業の閉鎖を命じたことや、トランプ大統領が失業保険の強化を可能とする景気刺激策に署名したことなどがあると、フルーリ記者は言う。