シリア軍、17年に化学兵器で攻撃 禁止機関が結論

Remnant of yellow gas cylinder that struck a make-shift hospital in al-Latamina on March 25, 2017 according to a Syria Civil Defense member

画像提供, Abd al-Munaf Faraj al-Saleh via Human Rights Watch

画像説明,

2017年3月25日に攻撃されたシリア・ラタミナ病院に落ちてきたガス円筒の写真。写真は救援隊員から人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」に送られたもの

化学兵器禁止機関(OPCW)は8日、シリアで2017年3月に反政府勢力が支配する地域が攻撃された際に、シリア空軍が神経剤サリンと塩素ガスを使用したと結論付けた。

この報告はOPCWの「調査・特定チーム(IIT)」がまとめた。反政府勢力が支配していたシリア北部ラタミナでの攻撃で、106人が化学兵器の被害にあったと説明している。

シリアのシャール・アル・アサド政権は、化学兵器の使用を一貫して否定している。

しかし、国連とOPCWの「共同調査メカニズム(JIM)」も以前、イドリブ県ハーン・シェイフンでの攻撃にサリンが使われたとして政府を非難。ラタミナの直後に攻撃されたこの街では、80人以上が亡くなっている。

JIMはまた、シリア軍が内戦中に塩素ガスを兵器として使っていたと結論付けている。

JIMは昨年、シリア政府を支援しているロシアが国連安全保障理事会で存続に拒否権を発動したために解体された。

今回の報告を発表したIITは、JIMの解体後にOPCWが発足させた組織で、化学兵器の使用者を特定するミッションを負っていた。

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IIT初となる今回の報告は、ラタミナで2017年3月に行われた攻撃に注目している。

調査チームは目撃者を取材したほか、攻撃現場で採取したサンプルや残骸を分析し、犠牲者や医療従事者の症状を調べた。また、画像分析や専門家の助言なども参考にした。

こうした情報に基づき、IITは以下の3点について十分な根拠があると結論付けた。

  • 2017年3月24日、シリア空軍第22航空師団第50航空団が所有するソ連製爆撃機「Su-22」がシャイラト空軍基地を出発。サリンの入った航空機搭載爆弾「M4000」1基をラタミナ南部に投下し、16人が被害を受けた
  • 同25日、ハマ空軍基地を出発したシリア空軍のヘリコプターが、ラタミナ病院に円筒を投下した。円筒は屋根を突き抜けて破裂、塩素ガスを放出し、30人が被害を受けた
  • 同30日、シリア空軍第22航空師団第50航空団が所有するソ連製爆撃機「Su-22」がシャイラト空軍基地を出発。サリンの入った航空機搭載爆弾「M4000」1基をラタミナ南部に投下し、60人が被害を受けた

IITのコーディネーター、サンティアゴ・オニャテ=ラボルデ氏は、「このような戦略に基づく攻撃は、シリアアラブ共和国軍司令部の上層部からの命令に基づかなければ、起こりえないものだ」と指摘した。

一方でOPCWのフェルナンド・アリアス事務局長は、IITは「個人の犯罪責任を問うような法的・準法的機関ではない」と強調した。

その上で、「今後はOPCW理事会、化学兵器禁止条約(CWC)の締約国会議、国連安保理、そして国際社会全体が、適切かつ必要とされる行動を取るかどうかにかかっている」と述べた。

IITはまた、OPCWの「シリア事実調査ミッション(FFM)」が化学兵器が使われたと結論付けた6件の攻撃についても調査するよう求めている。

FFMの報告には、2018年4月7日にシリアの首都ダマスカス近郊ドゥーマで行われた政府軍の攻撃も含まれている。救助隊などによると、この攻撃で40人以上が死亡した。

FFMは昨年、現場のデータから「有毒な化学物質を兵器として使った十分な根拠」が示されており、「塩素の影響を受けたさまざまな化学物質」だと報告した。ただし、化学兵器の使用の責任者を追及する立場にはないとして、言及しなかった。

アメリカやイギリス、フランスは、シリア政府がドゥーマで化学兵器を使ったとして非難している。一方、シリアとロシアはこの攻撃が救助隊による「でっち上げ」だと主張している。