ウィキリークスのアサンジ被告、籠城中に2児の父に 「新型ウイルスで命の危機」

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パートナーのステラ・モリスさんによると、2人の息子はテレビ電話を通して父親のアサンジ被告と話をしているという
告発サイト「ウィキリークス」共同創設者ジュリアン・アサンジ被告(48)が、ロンドンのエクアドル大使館に身を寄せていた間に、2人の子どもをもうけていたことがわかった。同被告のパートナーが明らかにした。
アサンジ被告のパートナーで南アフリカ出身の弁護士、ステラ・モリスさんは12日付の英紙メール・オン・サンデーで、ロンドンの刑務所で服役中のアサンジ被告が「生命の危機」にあり、刑務所で新型コロナウイルスに感染すれば助かると思えないため、初めて家族関係を公表することにしたと語った。
モリスさんによると、在英エクアドル大使館にいたアサンジ被告を毎日訪ね、2015年から親密な関係となった。2年後に婚約し、男児2人をもうけた。子どもはモリスさんが1人で育てているという。
ウィキリークスが公開したユーチューブ動画では、モリスさんは2011年に弁護団に加わり、アサンジ被告と知り合ったと説明している。
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アサンジ被告(中央)とステラ・モリスさん(右から2人目)ら弁護団(撮影日時は不明)
アサンジ被告は、性的暴行の容疑をめぐってスウェーデン当局に身柄が引き渡されるのを避けるため、2012年に在英エクアドル大使館に逃げ込んだ。スウェーデン当局はその後、捜査を打ち切った。
被告は昨年4月にロンドン警視庁に逮捕され、ロンドンの裁判所で禁錮50週間の有罪判決を受けた。以来、ロンドンのベルマーシュ刑務所で服役中で、昨年5月には米司法省に機密漏えいなどの罪17件で起訴された。
ロンドンのベルマーシュ刑務所では現在、新型ウイルスの感染症COVID-19の流行が心配されている。
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米司法省による起訴を受けて、アサンジ被告の身柄引き渡しをめぐり、英裁判所で審理が続いている。
「意図的に家族をつくった」
モリスさんはメール・オン・サンデーで、子ども2人の出産をアサンジ被告がビデオ回線を通して見たと述べた。子どもたちは同被告に会うため、在英エクアドル大使館を訪ねたこともあったという。
現在3歳のゲイブリエルくんと1歳のマックスくんは現在、テレビ電話でアサンジ被告と会話をしているという。
ウィキリークスのユーチューブ動画でモリスさんは、「家族をつくることは、彼を囲む壁を壊し、あの捕らわれ状態を出た、その先の人生を考えられるようにするためだった」とした。
「あの状態で家族をつくるなど狂っていると多くの人は思うだろうが、私たちは正気で、確かな手ごたえを得るためのことだった」
また、「ジュリアンは子どもたちを見ると、多くの安らぎと元気の素、応援を感じる。2人はとても幸せな子どもだ」と述べた。
アサンジ被告には、別にも子どもがいるとされるが、詳しいことは不明。成人の息子ダニエル・アサンジ氏は、オーストラリアでソフトウェアデザイナーをしていると言われている。
刑務所で感染による死者も
イギリス当局の集計では、同国の刑務所の受刑者1000人以上が新型ウイルスによる症状を発症している。
司法省の内部資料によると、死者も数人出ており、うち1人はベルマーシュ刑務所の受刑者だとされる。
政府は新型ウイルス感染拡大の防止対策として、イングランドとウェールズの危険度の低い受刑者を最大4000人、釈放する予定だ。