トランプ米大統領、移民受け入れを停止すると発言 新型ウイルス受け

People at queue for tests in New York

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アメリカは世界で最も新型コロナウイルス患者が多い。写真はニューヨークで検査に並ぶ人々

ドナルド・トランプ米大統領は20日夜、新型コロナウイルスの流行を受け、アメリカへの移民受け入れ手続きをすべて一時停止する大統領令に署名する意向を明らかにした。

トランプ大統領はツイッターで、新型ウイルスを「見えない敵からの攻撃」と呼び、アメリカ人の雇用を守る必要があると話した。一方で、大統領令の詳細については語らなかった。

どの移民プログラムが影響を受けるのか、大統領がこうした措置を実際に実施できるのかも、不透明だ。

このため、政権発足当初から厳しい移民制限を実施しているトランプ政権が、パンデミック(世界的流行)を移民取り締まりに利用していると批判する声も出ている。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカではこれまでに78万7000人以上がCOVID-19を発症し、4万2000人以上が亡くなっている。

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ホワイトハウスは、パンデミックの最悪の時期は過ぎたとして、経済活動を再開させる方針を固めている。

アメリカでは新型ウイルスの感染拡大を防ぐために各州が移動制限などを設けており、一部経済がまひ状態にある。

この4週間で失業手当を申請した市民は2000万人以上に上る。これは過去10年間の新規創出雇用と、同規模だという。

3月から一部手続きが停止

トランプ氏の決定でだれが影響を受けるのかははっきりせず、ホワイトハウスも声明を出していない。アメリカではすでに3月、移民を含むビザ(査証)手続きのほとんどが停止している。

また、国境を接するカナダとメキシコとは、5月半ばまで国境を越える不要不急の移動を制限することで合意済みだ。

欧州で特に感染の拡大している国や中国からの渡航も厳しく制限されているものの、期限付きの就労ビザや学生、企業活動での出張は例外となっている。

最近では、3月21日に発動した公衆衛生上の非常事態宣言を受け、メキシコ国境に滞在していた不法移民数千人が追放された。この非常事態宣言は移民法に優先し、追放の手続きを短縮できる。

BBCのアンソニー・ザーカー北米記者はこうした移民排除の背景について、トランプ氏や主要顧問たちは長年、移民はアメリカの利益を損なうという姿勢だったと指摘。

2016年の大統領選でもトランプ氏はムスリムの入国禁止などを含む攻撃的な反移民政策を掲げ、政権発足直後から実行に移した。再選を目指す今年の大統領選に向けて、似たような戦略を取っているようだという。

経済活動再開の動きが加速

民主党所属の州知事らは20日、ホワイトハウスに対し、各州の外出制限命令を守るよう国民に呼びかけてほしいと訴えた。

トランプ大統領は、制限解除を求める住民デモに対処するのは各州知事の仕事だと述べる一方で、デモ参加者を称賛。ロックダウン中の州を「解放しろ」などとツイートし、州政府に対する反政府行動をそそのかしていると、批判されている。

州知事らはホワイトハウスが示した3段階の経済活動再開の施策を従っているとしているが、トランプ氏はここ数日、デモ参加者を支持する発言を繰り返している。

アメリカでは今なお、新型ウイルスの感染拡大が続いているものの、南部では複数の州が制限を緩和しつつある。

サウスカロライナ州では、百貨店を含む小売店が営業を再開。テネシー州でも5月1日からほとんどの企業が営業を再開する。

ジョージア州知事は24日からジムや美容室、マッサージ店、タトゥースタジオに、27日からレストランや映画館に行くことを許可すると発表した。

この3州の州知事はいずれも与党・共和党所属だが、経済活動を再開しても、他者と距離を置く社会的距離の施策は続けていくとしている。

世界保健機関(WHO)は先に、新型ウイルスの再流行を防ぐため、移動制限の緩和は時期尚早だと警告している。

トランプ氏は先週、厳しい外出制限に一部の住民が抗議行動を起こした州について、「解放しろ」と大文字で強調したツイートを連投。18日の記者会見では、知事による制限に反発する人々は「素晴らしい人たちだ」と称賛していた。