米国の感染者数、100万人を突破 トランプ氏は食肉工場に継続命令

Tyson Foods poultry processing plant in Temperanceville, VA

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食肉加工工場の閉鎖は、すぐに食糧の流通にの影響が及ぶ

アメリカで新型コロナウイルスの感染者が100万人を突破したことが、ジョンズ・ホプキンス大学の集計で明らかになった。29日午後1時時点(日本時間)での感染者は101万2000人超と、全世界の感染者の3分の1近くを占めている。また、死者は6万人弱に達した。

アメリカで感染者数が多い理由としては、約3億3000万人という人口の多さに加え、検査数の多さも挙げられる。

同国のCOVID追跡プロジェクトによると、過去2カ月で約570万人が新型ウイルスの検査を受けた。

しかし、人口1000人当たりの検査数は16.3と、イタリアの30.6を大きく下回っている。1日当たりの検査数は現在、約20万件。

トランプ大統領は、近々1日当たり500万件の検査が可能になるとしているが、この想定は楽観的だとの指摘が出ている。

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食肉加工工場の操業継続を命令

トランプ大統領は28日、国内の食糧供給を守るため、食肉加工工場の操業継続を命令した。

アメリカでは新型コロナウイルスのアウトブレイク(大流行)を受け、中西部の22カ所の食肉工場が閉鎖されている。

これに対し、トランプ大統領は朝鮮戦争時代の「1950年国防生産法」を適用し、工場の操業継続を命令した。

この日の大統領令では、「こうした工場閉鎖は全国の食肉サプライチェーンの継続的機能を脅かし、国家緊急事態の中で重要なインフラに打撃を与える」と説明。

その上で、「不要な閉鎖はすぐに、食糧のサプライチェーンに大きな影響を与えるだろう」としている。

政府当局は、労働省と協議し、65歳以上や基礎疾患のある労働者については引き続き自宅にとどまるよう要請するなどのガイダンスを策定すると述べた。

これまでに食肉工場などで約3300人が新型ウイルスに感染し、20人が亡くなっていると推定されている。

業界は歓迎、労組からは懸念も

食品大手タイソン・フーズのジョン・タイソン会長は26日、ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズに「アメリカの食糧供給が崩壊し始めている」という一面広告を掲載した。タイソンは現在、アイオワ州ウォータールーの豚肉加工工場を閉鎖している。

広告でタイソン氏は、「豚肉、牛肉、鶏肉の工場が短期間でも閉鎖に追い込まれたことで、サプライチェーンから何百万ポンドもの食肉が消えてしまった。その結果、工場を再開するまではスーパーマーケットへの供給が限定されてしまうだろう」と訴えている。

一方で全米食品商業労働組合(UFCW)は、各企業が食肉工場の労働者に適切な防護具と新型ウイルス検査を提供するよう、トランプ大統領に要請した。

UFCWは声明で、「食糧供給に対する懸念は我々も共有しているが、今回の命令では、労働者の安全を最優先にすべきだ」と述べた。

また、今回の命令により、労働者が新型ウイルスに感染した場合、企業は法的補償を受けられるようになると指摘している。

BBCのジェシカ・ラッセンホップ記者は、食肉工場では従業員が接近して働かなくてはならないと指摘。また、従業員の多くは移民で、低賃金かつ時給ではたらいていており、感染の危険があっても工場が再開されれば働かざるを得ない人たちだと報じた。

議会再開は延期へ

アメリカの下院は28日、議会再開を延期すると発表した。

民主党が過半数を握る下院では、27日時点では予定通り議会を再開するとしていた。しかし民主党のステニー・ホイヤー下院院内総務は、議員からの反発や医師の助言を受けてこの計画を破棄したと発表した。

ホイヤー下院院内総務はまた、議会のリモートワークの可能性を探る超党派グループが協議を進めていることを明らかにしている。

議会のあるワシントンは5月15日まで自宅待機命令が出ており、1日当たりの感染者数もなお増加傾向にある。

メリーランド州やヴァージニア州の郊外も含む首都周辺では、これまでに3万8000人以上の感染が確認されたほか、1600人以上が亡くなっている。

なお、共和党が過半数を握っている上院は5月4日の再開を見込んでいる。