インド工場でガス漏れ、13人死亡 無人状態で化学反応か

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インド化学工場でガス漏れ、13人死亡 ロックダウンから再開直前

インド東部アンドラ・プラデシュ州の化学工場で7日未明、ガス漏れが発生した。少なくとも13人が死亡、800人近くが体調不良により病院に運ばれた。新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)によって無人となった工場で、化学反応が起きたとの見方が出ている。

ガス漏れは、同州ヴィシャカパトナムにある「LGポリマーズ」の工場で、午前3時ごろ発生した。

同州の環境汚染規制当局の幹部はBBCに、漏れ出たのはスチレンだと述べた。通常は冷凍されていたという。

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ガス漏れで体調に異常が出る人が続出し、当局は工場周辺の住民に避難を指示した

LGは声明を発表。原因を調査するとともに、影響を受けた人々に「迅速に治療を提供する」方針だとした。

ナレンドラ・モディ首相は、緊急の災害対策会議を招集した。

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子どもを含む数百人が病院で治療を受けている

当局は、工場側の不注意が原因とみられるとしている。ガス漏れの発生時、工場内には一部の従業員がいたとされるが、当局はそれらの人々に関する情報はないとしている。

体調不良になった人々が搬送された病院によると、数百人のうちの多くが、目の激しい痛みと呼吸困難を訴えているという。

工場から300メートルほど離れた場所に住むヤシュワンス・サイクマー・アンバティさんはロイター通信に、「目がかゆくて、気だるくなった。目まいがして少し息がしにくくなった」と述べた。

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インド東部アンドラ・プラデシュ(ANDHRA PRADESH)州ヴィシャカパトナム(Visakhapatnam)のLGポリマーズ(Polymers)の工場でガス漏れが発生した

地元保健当局の職員はロイター通信に、「病院に運ばれた全員の容態は現在、安定している」と述べた。

医師らによると、86人が人工呼吸器を装着して治療を受けている。その他の多くの負傷者はすでに退院したという。

この工場は、インドが新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)を開始した3月24日から閉鎖されていた。ちょうど再開するところだったという。

警察当局はAFP通信に、ロックダウンで無人となった工場のタンク内で化学反応が起こり、熱が発生して、ガス漏れに至ったとの見方を示した。

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LGポリマーズの工場ではガス漏れに続き煙も上がった

同州のグータム・レディ産業相は、工場は操業再開に当たって適切な手順を経ず、ガイドラインも守っていなかったと思われると、BBCテルグ語に述べた。

また、「この事故が欧州連合(EU)やアメリカで起きたときと同水準の補償を求める」とし、LGを相手取った法的措置を進めているとした。

漏れたガスは、工場から半径約3キロの範囲に広がったとみられている。当局は周辺住民に避難を指示している。

ガス漏れを受け、近隣住民たちはパニック状態で自宅から飛び出した。ソーシャルメディアでは、失神したり意識を失ったりした人々が路上に寝そべる痛ましい場面の画像が拡散している。

当局の幹部職員によると、ガス漏れを抑える最初の試みは失敗に終わったという。地元報道機関は、事態はその後、収束したと伝えた。

1984年には数千人死亡

インドでは1984年に中部ボパールの化学工場でガス漏れが発生し、数千人が死亡する惨事となった。被害者は35年以上がたった現在も、障害のある新生児が生まれるなど、影響は続いているとしている。

スチレンは、特有のにおいがある無色またはわずかに黄色がかった液体で、合成樹脂や合成ゴムの原料などとして使われる。

スチレンを含んだ空気を吸った場合、頭痛や吐き気、めまいなどの変調が起こることがある。脈拍異常が起きたり、昏睡状態に陥ったりする場合もある。